地獄鎮守府の日常#0

前日談なので#0です。 ハッシュタグに変なのが混じるのはまとめ時にツイート欠けが発見された為です、ご了承ください。 #1~3(本編) http://togetter.com/li/634092
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白金桜花 @YamanekoOuka

「悪くない所ね、リゾートみたいだけど、それが?」 「……私はそうは思わないんです。どうにも司令の陰口が多かったり、司令に対して不信感や嫌悪感を抱く発言が増えて来てるように見えます」 「まぁ、第一艦隊の方でも出撃中はね……」 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 19:58:14
白金桜花 @YamanekoOuka

「それだけならいいんですけどね、派閥を形成したり、その中では同性愛的な行為をしてたりする人も居るみたいで……」 「風紀の乱れは最悪ね、解体しないの?」 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 19:59:07
白金桜花 @YamanekoOuka

「ええ、あの人……じゃなくて司令は優しい人なんです、だから甘くて、そこが素行の悪い艦娘を許す所になってるんです。だけど、みんなどんどん司令なんてどうでもよくなってる気がするんですよ」 深刻そうに吹雪は語る。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 19:59:50
白金桜花 @YamanekoOuka

その左手の薬指には指輪がつけられたのが眼に入ったけど、その時はその指輪が何を意味するか考えてもいなかった。 ただ、何処か彼女には、一緒に戦った思い出以上の、懐かしさがあった。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:00:38
白金桜花 @YamanekoOuka

「大丈夫よ。吹雪も、私も司令官をいたわってあげれば、それで居場所になってあげれば済む問題でしょ?」 私は笑顔を作って安心させるように語りかける。 「うん、そうだね……ありがと、叢雲」 そう、悩みが吹っ切れたように、吹雪は笑顔を浮かべた。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:01:19
白金桜花 @YamanekoOuka

  そうして彼女は遠征に向かい、その遠征の途中、深海棲艦に襲われ、吹雪は死んだ。   #地獄鎮守府の日常

2014-04-20 02:33:14
白金桜花 @YamanekoOuka

強襲だった、吹雪は一人仲間を逃がす為、戦って、轟沈したという。 葬儀は行われない、鎮守府の艦娘はヒトでなくモノだから、死んだとしても慰霊碑が残されるだけだ。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:02:46
白金桜花 @YamanekoOuka

執務室で私と提督はウィスキーを飲む、彼は私を私室に入れない。プライバシーがあるのだろう、私に見られたくないものがあるのだろう。 「吹雪はな、最初にここに来た艦娘なんだ」 司令官は悲しげに語る、まるで居場所が消えたかのような悲しさだ。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:03:58
白金桜花 @YamanekoOuka

「彼女は艦娘として、役目を果たしたはずよ」 嘘、私はこんなこと思っても居ないのに、そんな言葉を吐く。 「そうか」 窓から港の様子を覗きながら、私と提督は酒を静かに呑む。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:04:37
白金桜花 @YamanekoOuka

父と娘が、母の死を悼むような、そんな時間だった。 「この刀はな、私が彼女に渡したものなんだ」 そう、司令官は寂しげに、テーブルにかけてあった彼女の遺品であった刀を鞘から手に持つ。 彼女は最後に仲間にこの刀を託し、そして一人殿を勤めたのだという。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:06:06
白金桜花 @YamanekoOuka

「夜戦になったら格闘戦になる事も多い、だからそのための気休めみたいな品さ」 不恰好な刀、不器用な司令官なりの、彼女への思いやりの品。 「きっと、吹雪も心から喜んでたわ。だから貴方に返したのよ、きっと」 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:06:51
白金桜花 @YamanekoOuka

「そうだな……」 私の言葉に、何か思うところがあるかのように、司令官はウィスキーを飲む。 「他の艦娘の反応はどうだい?」 「冷淡よ、戦って死ねただけ幸せ、そんなドライな意見ばかり」 #地獄鎮守府の日常

2014-04-20 02:36:48
白金桜花 @YamanekoOuka

「それが本音か」 「ええ、彼女は私にとってたった一人の友達だったわ」 「……他に友達はいないのか」 「話が会わないのよ、致命的に、どこかがズレちゃって、ね」 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:09:05
白金桜花 @YamanekoOuka

「ズレ、か……ああ、そういえば知っているか?」 司令官はグラスを揺らし、ウィスキーを飲み干す。 「何を?」 「艦娘は人間を基に改造されると言う話さ」 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:09:41
白金桜花 @YamanekoOuka

「記憶にあるわね、志願者を募り、その巫女に艦の魂を宿し、艤装を着込み、戦うと言う話ね」 最初にその話と、同じ顔、同じ記憶の艦娘がいるとを聞いた時はパニックになった。 私は私でない気がした、だけど、吹雪にあなたはあなたと諭され、私は何とか正気を保てた。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:10:30
白金桜花 @YamanekoOuka

「ああ、知ってるなら聞いてみるが、君は改造される前の記憶と言うのが、あるかね?」 「無いわね……あったとしたら、どうなってたかしら?」 私は聞かれた通りの事を返す。 その言葉が、致命的な断絶を産むことを知らずに。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:12:08
白金桜花 @YamanekoOuka

「……そうか、付き合わせてすまなかったな」 司令官はウィスキーを更にグラスに注ぎこみ、一気に飲み干した。 次の日、私は秘書艦の席から降ろされ、予備戦力となった。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:12:59
白金桜花 @YamanekoOuka

私に仕事は割り当てられなかった、何回か暇をした艦娘達に出会ったが、薬にハマってるか、倒錯的な同性愛に没頭しているか、まるでギャングのようにつるんでるか、どれもか、そんな奴らばかりだった。 司令官なんてどうでもいいみたいだった。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-20 02:39:18
白金桜花 @YamanekoOuka

司令官の言葉を出しただけで嫌な顔をする艦娘もいた。 まるで司令官の居場所なんてないと示すように。 まるで司令官に出て行ってもらいたいように。 それぞれが、それぞれの世界を作って行く。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-20 02:39:58
白金桜花 @YamanekoOuka

吹雪が居ない世界が、恐ろしく感じた。 気持ち悪く感じた。 私は提督に会おうとしたが、執務室には入れなかった。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:17:00
白金桜花 @YamanekoOuka

そんな時だった。 執務室の扉の先で、女の、叫び声がした。 男の、罵る声がした。 銃声が鳴る音がした。 #自鎮

2014-04-20 02:47:26
白金桜花 @YamanekoOuka

何なの、何なの、何なの、何なの。 「提督さ、ここ数日の間こんな感じなんだよ」 私は声の先に振り向く、そこに居たのは重巡洋艦、加古だ。 「あ、え……え?」 かつて私が救おうとして、救えなかった艦娘、その彼女から放たれる言葉が、脳を揺るがす。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:19:33
白金桜花 @YamanekoOuka

「まぁ吹雪とあんたぐらいしか気に留めなかったからね、そのアンタも拒絶して、とうとう壊れちゃったのさ。ああやだやだ、とうとう提督まで狂っちゃったよ」 他人事のように、彼女は語る。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:20:05
白金桜花 @YamanekoOuka

私はその他人事であるかの様子に、怒りを感じる。 誰が壊した。 誰が壊した。 誰が壊した!!! 私は足を踏みこみ、彼女の顔面をグーで殴った。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:21:27
白金桜花 @YamanekoOuka

殴られ、吹き飛び、加古は壁に激突する。 私の力を和らげるための受け身をとった結果だ。 駆逐艦は近接戦闘に於いては戦艦に拮抗する、戦艦に匹敵する一撃を叩き込まれた結果、加古は倒れ込む。 死んでるのか生きてるのか私にはわからない。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-21 20:22:25
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