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地獄鎮守府の日常 #18~20

#15~17 http://togetter.com/li/657317 #-19842014(過去編) http://togetter.com/li/664619 #イベント海域編 続きを読む
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白金桜花 @YamanekoOuka

「司令官、大丈夫?」 そう雷は浸透圧で薬物を浸透させるタイプの棒型注射器のようなものを私の目の前で投げ捨てて言った。 舗装された地面に倒れた私が覗きこむ、雷の先の世界は曇った夜の空と、電灯で照らされる香港の路地の世界だ。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:45:36
白金桜花 @YamanekoOuka

私は立ち上がる、体はいたって快調だが、雷に何かされたかと思うと気が気でない。 「何をしたんだ?」 「何をって、ただ薬を盛られて倒れてたから薬を打って治療しただけよ?感謝してね」 「それだけかい?」 「それだけよ」 雷のそっけない言葉だが、信用はできない。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:46:17
白金桜花 @YamanekoOuka

だが、嘘だとしても彼女が本当の事を言うとは思えない、思考の迷宮に入らないように、そこで思考を停止させる。 周囲を見回すと、陽炎と黒潮の姿は見えない。 「陽炎と黒潮は?」 「ううん、見てないわ」 嫌な予感がした、何をされたか、どうしてこうなったかを考察する。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:47:41
白金桜花 @YamanekoOuka

恐らく三人で毒を盛られ、2人が誘拐されたのだろう。 では誰がそんな事を?何のために? 記憶を辿る、そして、目星はすぐについた。 「雷、ちょっと二人を助けるために力を貸してくれ」 私は、この悪魔の力を頼る事にした。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:49:13
白金桜花 @YamanekoOuka

「ええ、その言葉待ってたわ」 雷がにっこりと、笑顔を見せる。 もっと自分に頼っていいと示すように。 そうして、私は容疑者の場所へと向かった。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:50:53
白金桜花 @YamanekoOuka

まず私はラーメン屋に向かった、食べ物を盛られたとしたら、ここか、酒場しかない。 ラーメン屋もう閉店しており、扉を突き破り入る。 この手の問題行動なら器物損壊の範囲なら弁償をする伝手はあるため容赦はしない。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:51:53
白金桜花 @YamanekoOuka

店の中に入り、奥に、そして店長が暮らしてるとされる2階まで向かう。 だがそこには二人はいなかった。 しかし私室に手製コンピュータがあるのを雷が発見し、彼女はコンピュータと接続し、情報を抜き出す。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:53:22
白金桜花 @YamanekoOuka

「うん、どうにも前海湾の倉庫のひとつに仕事場があるみたいね」 「仕事場、か」 「肉の仕入先よ」 雷はニッ、と笑いながら、私にそう告げた。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:53:53
白金桜花 @YamanekoOuka

前海湾の倉庫、雷に告げられた場所に二人で忍び込む。 手持ちの武器は愛用のマチェットとトカレフだけ、幸いにして忍び込んだ先は警備もなにもいない、ザルな環境だった。 だが、その倉庫の中を見て私は驚いた。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:56:21
白金桜花 @YamanekoOuka

キンキンに冷えた空調。 無機質な、食肉の保存庫が倉庫内の全容であった。 だが、そこ吊り下げられているのは豚ではなかった。 吊り下げられているのは、首のない、人間。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:57:59
白金桜花 @YamanekoOuka

いや、開かれた胸から腹に見えるのは内部には人でない金属質の骨格と、胸の、肋骨のあたりに存在する無機質な動力系。 そしてすべてが小柄な、中学生~小学生程度の少女。 つまり、首の無い駆逐艦娘が吊り下げられて、並べられていた。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:58:30
白金桜花 @YamanekoOuka

陽炎と黒潮は無事なのだろうかと、不安になりながら足音を立てないように私は進む。 「奥に加工室はあるから、大丈夫よ」 雷が私に囁いた。 希望と、絶望が待っているかのように。 そしてそうしてすぐに、奥の加工室前に到達する。 私は、扉に耳を当てた。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:00:37
白金桜花 @YamanekoOuka

「やぁ……ひぎゃぁぁぁぁぁっ!」 喚く陽炎の声がした。 「うるさいなぁ」 微かな男の声がした。 心臓がばくんばくんと、高鳴る。 すぐにでも飛び出たい、その衝動を押さえ込む。 私はそっと扉を開け、忍び込んだ。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:02:31
白金桜花 @YamanekoOuka

薄暗い電気、緑色の床、手術台を思わせる機材が並んだ部屋。 「やだ!やだぁぁぁぁ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……帰して、お願い、お願い、あの人に会いたいの」 「よっぽど好かれてるのね、司令官さん」 泣き叫ぶ陽炎の声と、もう一人の少女の声がする…… #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:03:52
白金桜花 @YamanekoOuka

すぐさま部屋においてあった移動式棚のひとつに隠れ、覗き見ると、ラーメン屋の店主と、舞風の姿があった。 どうにも二人はグルだったらしく、そして陽炎と黒潮はここからでは良くわからないが、背中からフックのような何かで吊るされている様子だ。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:06:16
白金桜花 @YamanekoOuka

陽炎の両腕は切り落とされ、腹部からは腸が露出し、それを肉屋が手で掴み、引きずり出して行く。 彼女の下を見ると糞尿が漏れ出しており、その臭気が部屋に充満している。 #自鎮

2014-04-20 21:32:55
白金桜花 @YamanekoOuka

痛覚がある程度抑制されているとしても、彼女の叫び方からするとショック死できない程度に抑制を緩める薬を使われた可能性が高い。 黒潮に至ってはまだ無傷だが、陽炎の作業が終わったら彼女が次の犠牲者だろう。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:08:35
白金桜花 @YamanekoOuka

「堪忍な、うちがこんなん止めれば、こんな事にならなかったかもしれんのに」 「別に殺しはしないんだから安心しなよ、首はそっちの運び屋がもってって、そっちで修復して使ってくれるんだからさ」 麺屋が、何の罪悪感もないような語り口で告げる。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:09:41
白金桜花 @YamanekoOuka

「そういう事、ね、鎮守府なんかより楽しいよ?ダンスだっていくらでも踊れるし、権限だって今よりいっぱい、自由だっていっぱい、ね?」 たんたんたん、と舞風が踊りながら、楽しげに語る。 「うう……っぐ、そんなの、いらない……」 「何で?」 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:10:35
白金桜花 @YamanekoOuka

「裏切り者に……嘘つきに、思われたく……ないもん」 彼女の裏切り思われたくないと言う言葉。その言葉に、私はあの時の言葉が、まだ後を引いてるのかと考える。 考えると、胸が痛くなってきた。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:11:42
白金桜花 @YamanekoOuka

「何を裏切ったの、ねぇ?」 「それは……」 そこで、陽炎は私の姿に眼が合い気づく。 その顔から感づかれては終わりだ、私は咄嗟に行動に移っていた。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:12:30
白金桜花 @YamanekoOuka

相手が気づかぬ間にトカレフを左手で持ち構え、まず麺屋の頭に一撃銃弾を放つ、銃弾は命中、麺屋は頭から血を流し全身の力が抜け、倒れこむ。 そしてすぐに銃声に気づき、拳銃を抜き取ろうとする舞風の目前まで走り寄り、腰に持ったマチェットを右手で抜き、首に叩きつける。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:14:48
白金桜花 @YamanekoOuka

一撃、しかし金属質の骨格に刃が阻まれ、両断には至らない。しかしそれで十分だ、私が山刀を引き抜くと、舞風の首からピューっと血が吹き出て、そして絶望と苦悶に満ちた顔のまま、倒れこんだ。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:16:46
白金桜花 @YamanekoOuka

解体された艦娘ならこれで普通は死ぬ筈だが、私は念入りにトカレフの弾を全弾舞風の頭に叩き込んだ。 一発、二発、三発と金色の髪がきれいな彼女の頭に穴が空き、虫食い穴のような姿に変える。 返り血が、私の赤いコートに浴びせられる。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:18:18
白金桜花 @YamanekoOuka

正直赤くても汚れにはなるが、気にせず吊るされてる二人を、黒潮から先に解放した。 「悪いね」 「いんや、おおきにな」 黒潮が微かな笑顔で帰す。 すると雷が終わったのを見計らって居たのか、私の近くに既に居て、白いコートを黒潮に着せる。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 23:19:22
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