地獄鎮守府の日常 #18~20

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白金桜花 @YamanekoOuka

「私は君を愛してる、だから、君にこの指輪を渡す。これは契約、これは私が君というモノに押し付ける絆の証明にして、愛を誓わせる契約の証として、私は使うよ」 普段なら言ったら赤面するだろう言葉を、私は真顔で答える。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:01:21
白金桜花 @YamanekoOuka

すると、彼女の無機質な顔が、機嫌のよさそうな笑顔に変わる。 「ありがとう、あなたがそう言ってくれるなら、わたしも受け取る事ができるわ」 自分をモノだというのに、使い方をライフスタイルの提供と称し指図をする、面倒くさい彼女。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:05:17
白金桜花 @YamanekoOuka

だが、かわいらしい笑顔に、しぐさの「かたち」に、そんなことはどうでもよくなっていた。 そうして、私は彼女の、彼女は私の左手薬指に指輪を嵌める。 「どうだい?」と、私は聞くと「いい気分よ、本当に、特別な気分」 そう、彼女は指輪を眺めながら、私に返した。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:06:12
白金桜花 @YamanekoOuka

月明かりが海面を照らす、闇の世界。 私は彼女の体を動かし、海の上で供に戦っていた。 指輪の力による精神同調は、私からすれば艦娘を自分の意思で動かしてるのに近い形となる。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:08:48
白金桜花 @YamanekoOuka

だが彼女の肉体を乗っ取った訳ではない、彼女と私の二人で、状況を見据え、そして最適な動作を選択して戦っているからだ。 反重力エンジンにより海上スレスレを浮遊し、電磁フィールドで夜間でも襲い来る敵のUAVの攻撃を逸らしながら、接近する。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:10:45
白金桜花 @YamanekoOuka

目標は戦艦、だが、その目前に敵の軽空母が盾となり立ちはだかる。 彼女は迷わず左腕から魚雷を撃ち出す。 魚雷を打ち出した艤装は改装を繰り返し左腕全体を覆う鎧へと変貌しており、脚部の反重力展開機も鎧のように太股までを覆う装甲化しているのが肌で確認できる。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:12:23
白金桜花 @YamanekoOuka

まるで戦国武将か何かだ、そう思ってる間に、魚雷は敵に向かい直進し、そして着弾する。 卵に手足が映えたような敵軽空母が爆ぜ、火を吹き、沈んでいく。 沈み行く軽空母を踏み台にするため、反重力エンジンを一端切り足を敵の体に付け、跳躍する。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:15:29
白金桜花 @YamanekoOuka

艦娘のリミットを解除された筋力による跳躍はまるで空を飛んでるかのような浮遊感があり、彼女の肉体に、私も風が当たる感覚が伝わる。 島風の連装砲を彷彿とさせる砲撃ユニットにて弾幕を貼り続ける敵の戦艦、白を基調とした水兵のような恰好は戦艦タ級、彼女の頭上に躍り出る。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:17:19
白金桜花 @YamanekoOuka

そして降下する中、彼女は刀を鞘から抜き、振り上げた。 叢雲が持つ刀は異物、つまり本来は艤装の一部でない、強引に付けた増加装備の一つである。 故に叢雲の本能が害物と認識すれば、電磁障壁が作動して周辺からはじき出そうとする。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:19:00
白金桜花 @YamanekoOuka

これは一見デメリットに見えるが、実際には攻撃に転用可能なメリットポイントと言える。 なぜかと言うとうまく害物だと叢雲が本能を制せば、振り下ろす力に更に電磁障壁の拒絶の為に使われたローレンツ力を相乗させ、高速の抜刀を可能とするのであるからだ。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:21:16
白金桜花 @YamanekoOuka

だが、近接戦闘では電磁障壁は相互干渉し無効化される、それを解決するのが、干渉域に突入する寸前での斬撃である。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:23:23
白金桜花 @YamanekoOuka

砲撃が電磁障壁により射線を歪められ頬をわずかに掠る中降下し、抜刀による加速が相手の障壁に阻害されず、こちらの障壁によって加速される一瞬、その一瞬に刀を振り下ろす。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:23:59
白金桜花 @YamanekoOuka

  その一撃の反動で水面に巨大な水柱が放たれ、水柱が収まると、異形の戦艦が、真っ二つとなり海に沈んで行った。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:24:15
白金桜花 @YamanekoOuka

そうして戦闘を終えると、彼女と二人で私室に向かう。 精神を同調しての闘い、心躍る、海上での死闘。 だが、私も彼女も嬉しい顔はしていなかった。 「どうすんのよ、これ」 テーブルを間に置いて、向かいの椅子に座った彼女が、私に問い掛ける。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:25:05
白金桜花 @YamanekoOuka

私はテーブルに置いてあるタブレット型のコードレス端末に表示された、資源や高速補修材の数を確認する。 どちらも昨日まであった三分の二の量が、無くなっていた。 理由は単純である。 ケッコンを終えた後、ある任務の一つが提出されていた。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:26:51
白金桜花 @YamanekoOuka

<二人でする初めての任務> そう書かれてた任務はリランカ島にある敵艦隊ハイヴの襲撃が達成条件となっている任務である。 曰く、指輪を渡した提督が真っ先に行う任務と他の提督に聞いたことがある。 それをクリアすると寝具がタダで贈呈されるとも言われていた。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:27:22
白金桜花 @YamanekoOuka

だが、タダより高いものはないとは言われるもので、見事に私はその沼にハマった。 行動指標を行う羅針盤はハイヴへの入り口を示さず、羅針盤の制御のために編成した重巡洋艦は脆く大破を何度も経験。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:29:41
白金桜花 @YamanekoOuka

何度もぼろぼろになっては結婚後のテンションで全員がハイになって様々なリソースを投入、大和までもテンション高く大暴れした結果、修復材や資源が瞬く間に消えて行ったのである。 「数日は倹約だね」 「そうね……本当に、ハイになりすぎたわ」 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:30:16
白金桜花 @YamanekoOuka

「うん、正直私も、ここまでハイになるなんて思ってなかった」 静寂が、あたりを包む。 気まずく、重たい空間と言うわけではない。 ただ、あまりの滑稽さに、笑えてきたが不謹慎で笑えず、どちらが先に笑ってしまうか、その我慢比べが始まってしまったというだけである。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:31:34
白金桜花 @YamanekoOuka

「ぷっ」 先に彼女が、噴出した。 続いて私も笑い出し、彼女と私で爆笑する。 おかしい、あまりに可笑しすぎるから私達は笑って、机を何度もどんどんと叩いてたけども、笑いすぎてお腹がいたくなり、笑いも止まる。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:32:58
白金桜花 @YamanekoOuka

「ほんっと!世の中上手く行かないわね!契約とかカッコつけてタダの布団目当てに突っ込んで資材融かすとかあーもー本当にバッカみたい!」 「全くだよ、これが若者向けの漫画だったら、カッコつけて一発でクリアできたよ!」 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:34:37
白金桜花 @YamanekoOuka

「でも思い通りに行かないから、世界って素敵よね!」 椅子から立ち上がり、両手を横に広げ、叢雲は宣言する。 「全くだ、だからこそ私達はこうやって必死に頑張って、生を謳歌できる!」 「だからこそ、わたしはあなたの都合のいいモノであろうという、異議が出来る!」 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:35:57
白金桜花 @YamanekoOuka

「不自由な人生万歳!」 「ナルシストに冷や水を与える世界万歳!」 そうして、互いに立ち上がり笑顔を渡し合う。 それが終われば、彼女は刀を、私は鉈を取り出す。 互いの愛用の武器を取り出し、刃を掲げ合せる。 それは戦士同士の、古来からあった絆の証明の仕草だ。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:38:42
白金桜花 @YamanekoOuka

「カッコつけた言葉を渡すよりも、こっちの方がやっぱりしっくりくるわね」 ニヤリと、叢雲が笑う。 「これも十分恰好つけてる感じだけどね」 私も、彼女に対し笑顔を向けた。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:40:04
白金桜花 @YamanekoOuka

そうして互いに愛剣を鞘に納めると、彼女がテーブルの上に手を付け身を乗り出す。 そして私の唇に、間髪言わず唇を重ね合わせた。 ただのフレンチキスなのに、心が、ドキッとした。 #地獄鎮守府の日常

2014-04-08 22:42:35
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