地域分散型電源としてのごみ発電のすすめ
1.脱原発をめざして
ある方とツイッターでやりとりして、使用済み核燃料の処理・処分は、原発敷地内で行うしかないが、原発が立地している自治体や住民の方々の同意を得るのは難しく、先が見えないなぁという話になった。
2014-04-21 21:53:28私見では、先の見えない状況で原発を再稼働して使用済み核燃料をさらに増やすことは、自殺行為のように思える。脱原発の方向へ明確に舵を切り、将来ビジョンを確立したうえで、使用済み核燃料の処理・処分場所の提供をしかるべき自治体にお願いするしかないだろうと思う。
2014-04-21 21:54:092.原発からの長距離送電は送電ロスを増やす
沖縄電力を除く電力9社の送電ロス量とロス率(2010年)を図示した。ソースは電気事業連合会のHP/電気事業60年の統計である。 http://t.co/agJMQNPsAL http://t.co/JoJOcXiI8d
2014-04-21 21:57:15送電ロス量は1689 GWh(北陸電)から11091 GWh(東電)までの幅があり、9社合計で39133 GWh。送電ロス率は4.2%(東電)から6.2%(北海道電)までの幅があり、9社合計で4.8%である。
2014-04-21 21:58:22送電ロスが電力会社間で異なるのは、送電量(=発電量)、送電回線長、送電時電圧などの違いによるものと思われる。送電ロスが少ない50万V以上の高圧送電線の回路長は東電4405 km、関電3363 km と続き、北海道電の0 km(!)が最も短い。
2014-04-21 21:59:30いずれにせよ、送電距離が長いほど送電ロスが多くなるのは自然の理であり、送電時の発熱は温暖化の進展にも一定程度関与していると考えられる。このような送電ロスは、原発よりは火発の稼働、また、小規模であっても送電距離が極端に短い地域発電の拡大によって、抑制できるはずである。
2014-04-21 22:00:303.必要悪としての廃棄物焼却
以下で「ごみ」は一般廃棄物を指す。堆肥化処理等を除けば、ごみは焼却(中間処理)を行わずに直接埋立処分するのが最も望ましい。しかし、日本は国土が狭く最終処分場の確保が困難であり、図の如く一般廃棄物処分場の埋立残余容量は年々減少している。 http://t.co/yIheNVf5Yt
2014-04-21 22:03:02前ツイの図では、残余容量が減少しているにもかかわらず、残余年数は年々延長されている。この原因の一つは、このツイでの図示のように排出ごみ量の減少である。 http://t.co/aVmpX4Sl7a
2014-04-21 22:04:39二つ目の原因はごみのリサイクルの進展である。図のように、現在のリサイクル率は20%をほんの少し超えるまでに上昇している。リサイクル率(%)=(集団回収量+直接資源化量+中間処理後再生利用量)/総排出量 × 100 http://t.co/Mj2WmfCnCr
2014-04-21 22:05:55三つ目の原因は、ごみ焼却処理率の上昇である。2011年では、ごみの焼却処理量は3399万トン(焼却率98.6%)で、焼却残渣として埋立処分されるのは873万トン、約5分の1に減る。先の図にもある如く、処分場の残余容量は容積で推計され、容積は焼却で約10分の1から20分の1に減る。
2014-04-21 22:08:27繰り返しになるが、ごみは焼却処理を行わずに直接埋立処分するのが最も望ましい。しかし、日本のように国土が狭く最終処分場の確保が困難な地域では、ごみ焼却は処分場の残余年数を維持するための必要悪である。その必要悪で生じる排熱を活用する技術の一つがごみ発電だ。
2014-04-21 22:09:334.地産地消と環境配慮につながる ごみ発電
ごみ発電では、ごみを焼却処理して生じるエネルギーの一部を電気に変える。発電に伴うCO2増加などの追加的環境負荷がなく、新エネルギーの中では安定的電源であり、さらに、小規模だが電力需要地に直結した分散型電源である。
2014-04-21 22:10:32ごみ発電は、その他の余熱利用(たとえば、温水プール)とともに、焼却の結果として発生し、主に煙突から出ていく排熱を減らす。それゆえ、ごみ発電を伴わない焼却処理と比較すると、ヒートアイランドや温暖化への悪影響を低減する方向にはたらく。
2014-04-21 22:11:39全国のごみ発電能力は、図のように増加傾向にある。ソースは環境・循環型社会・生物多様性白書平成25年版である。 http://t.co/DmKXOIx0PP http://t.co/NpONtmsDaN
2014-04-21 22:12:53ごみ発電による年間発電量は2011年には7500 GWhであった。この実績は、電力9社の送電ロス量の約20%に相当する。これをどう評価するかは、人によって異なるだろう。
2014-04-21 22:14:33ごみ発電量をさらに増やすことは可能だろうか? 現在、処理能力ベースでは60%の施設でごみ発電が行われている。ドイツのように処理能力ベースで100%を達成できれば、ごみ焼却量が変わらない場合、年間発電量は12500 GWh(送電ロス量の32%)まで増えることになる。
2014-04-21 22:15:44さらに、2011年のごみ発電効率は全国平均12%で、初期の施設の発電効率が5%程度であったことが尾を引いている。近年新設の施設では20%あるいはそれ以上の発電効率が実現されており、今後の古い焼却施設の建て替えにより、発電量の増加が期待できる。
2014-04-21 22:17:11仮に発電効率が焼却施設の建て替えによって全国平均で15%になるとすれば、年間ごみ発電量は約13000 GWh(送電ロス量の33%)に増加する。
2014-04-21 22:18:16ごみ発電に関する連投では、複雑な燃焼・汚染防止のプロセスには、あえて触れていない。実際には主にダイオキシン類発生防止のため、900℃前後でのごみの燃焼→発生ガスの200℃までの急速冷却、処理後の再加熱など複雑なプロセスをたどる。単純なプロセスでないことはご理解願いたい。
2014-04-24 22:24:34ごみ分別の推進で焼却するごみの発熱量が減っていて問題だというコメントがあった。大阪におけるごみの低位発熱量(水分を含むごみの発熱量)の推移を図示しておく。1990年頃からほぼ横ばいで、減少していないことが理解できよう。 http://t.co/aQKdYIHlzQ
2014-04-24 23:37:10