福田尚代/MOTアニュアル2014 フラグメント―未完のはじまり

MOTアニュアル2014 フラグメント―未完のはじまり 出品作家 青田真也|髙田安規子・政子|パラモデル|福田尚代|宮永亮|吉田夏奈 会期 2014年2月15日(土)―5月11日(日) 続きを読む
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福田尚代 @fukudanaoyo

あ、もちろんよい意味で。と云うのか、よい意味にしてゆける事柄だと思っています。

2014-06-02 19:10:44
福田尚代 @fukudanaoyo

東京都現代美術館の企画展が始まる(=開館する)ので書いておきますね。回文の本『仮名齧り』は、館内ミュージアムショップに、まだ暫し置いていただいています。よろしければ、ついでにごらんください。naoyon.web.fc2.com/kaibun.html

2014-06-05 21:15:17
福田尚代 @fukudanaoyo

雨の夕方は、しんみりとする。暗くなるまで、本を読んでいた。 絵を描くことも、字を書くことも、彼方へ触れることそのもので、美術だとか作品とは、別の話。

2014-06-06 17:20:42
福田尚代 @fukudanaoyo

環境とは別に性質として、年老いるまで生きてゆける気持ちを自然と持てる者と、生き延びることへの覚束なさを抱えざるを得ない者がいる、その深遠。どちらがどうではなく、遠くから互いが見えていることの。

2014-06-06 19:34:08
福田尚代 @fukudanaoyo

先週は、梅雨というより秋のような寒さと雨と気圧で、なんだか物悲しくなり、雨の中、図書館へ『冬の犬』(アリステア・マクラウド)を借りに行った。どの物語もすばらしいのだが、『島』は何度読み返したろう。

2014-06-11 03:30:13
福田尚代 @fukudanaoyo

最もたくさん本を読んでいたのはきっと子供時代だけれど、多くの本は図書館で借りたものだったから、題名も作者も不明なまま、無数の情景の断片だけがのこされていた。もう探し出せないことがわかってからは、情景が消えないように、繰りかえし思い浮かべては見つめていた。

2014-06-11 04:01:12
福田尚代 @fukudanaoyo

大人になってから読んだ多くの本は作品として手放してしまったので、やはり残像を頼りに繰りかえし思い浮かべている。そんなふうに深めてゆかざるを得ない愛のようなものとは、もしかしたら子供の頃、本を手許に置けなかったことと結びついているのかもしれない。

2014-06-11 04:06:08
福田尚代 @fukudanaoyo

『冬の犬』もそんな本の一冊だ。借りるまでは反芻するばかりだし、借りてからも直ぐには読むことができない。本を前にいっそう鮮やかになった残像を見つめてしまう。なかなか頁をひらけない。その残像の切実さを引き延ばしたくなる。

2014-06-11 04:18:06
福田尚代 @fukudanaoyo

「その人を愛している」ということと、「その人の存在だけが、私の愛をひらいて彼方へ向かわせる」ということの遠い差異は、作品という孤に深くかかわっている。

2014-06-16 23:38:29
福田尚代 @fukudanaoyo

こんな世の中だからこそ、美術の、ある種の悪をも含む、いや、悪も善もない領域をたもちたいと、ひしひしと願う。でも同時に、ほんとうにろくでもない私などは、汚れるたびに自浄する制作というものがなければ生きていけない。制作は、まずみずからを恢復させ、還元する。どんなに酷くても。何度でも。

2014-06-22 09:43:12
福田尚代 @fukudanaoyo

窓をあける。扉をひらく。空から部屋へ、廊下へ。階下へ、階上へ。ただサーッ、ザァーッとつづく音を追いかけて歩く。今日は、風だけの作品。

2014-06-22 11:06:48
福田尚代 @fukudanaoyo

見えないけれど、呼ばれる、招かれるっていうことがある。たとえば、美術をのぞみながら、ほかの何かに呼ばれる。そのよろこびと苦痛。

2014-06-22 12:20:56
福田尚代 @fukudanaoyo

ある人がつたえてくれた。作品の個々の虚だけではなく、作品のまわりの空気の虚、広すぎる余白に、見えないものが充満していた。そうなのだ。作品の奥の虚も、まわりの広漠とした虚も、みたされている。でもその核心は、たいがいは見えないまま。

2014-06-22 14:00:02
福田尚代 @fukudanaoyo

虚が隔てていて、触れることができない。時間とか体とかのせいで。でもその絶望を越えてみちているものがある。物であって物ではない美術にも。たとえば、その女性とは私的なつながりはないけれど、ごくたまに美術を介して言葉をかわす。わたしを射抜く言葉が、すでにその人ではないその人から、届く。

2014-06-22 14:08:43
福田尚代 @fukudanaoyo

言葉というものへの深刻さゆえの失語状態と、無関心はことなる。そこには、かならずや時間をかけて生まれてくるものの種があります。覚悟も。

2014-07-02 08:19:35
福田尚代 @fukudanaoyo

先日、作品の題名の一部である「透明インク」という言葉について訊かれた。作品とは、透明インクで書き続ける返信の手紙ではないでしょうか、と答えた。

2014-07-05 21:39:51
福田尚代 @fukudanaoyo

サリンジャーの短篇の中で、少女が接吻とともに時計を送りますよね。小説家だったけれど今は軍隊にいる人に。届いた時には割れちゃってる。子供の頃って、たしかにそんな感じだった。郵便で何でもどこへでも届くと思って、そのまま剥き出しにして送って、割れてしまう。あるいは料金不足で返ってくる。

2014-07-05 22:17:27
福田尚代 @fukudanaoyo

他のお話にでてくる、貰ったけれど食べられなくて、でも捨てられない、ポケットに入れたままになったチキンサンドイッチのこととか、道端に落として粉々になってしまったレコードの欠片とか。そんなふうに傷つきながら捧げられてゆく小さな物たちのこと。

2014-07-05 22:23:37
福田尚代 @fukudanaoyo

作品は「返信」だと書いたのは、すでに手紙を受けとっているから。

2014-07-05 22:42:54
福田尚代 @fukudanaoyo

朝方の夢うつつに書きとめたこんなひと言から、縷々と綴りが流れはじめる。「わたしはこの手紙をあなたにだけわかる言葉でかきます。」

2014-07-10 19:29:18
福田尚代 @fukudanaoyo

そのようにしてわたしは誰かあなたへと書き、誰かは無数の誰かわたしへと書く。

2014-07-10 20:06:43
福田尚代 @fukudanaoyo

外部へとあいする才能をもつ者とそうでなくあいする者とが対話をかさねた果てに、どちらかが搾取されるのでもなく。

2014-07-10 20:17:38
福田尚代 @fukudanaoyo

じつは何カ月も、とくにこのひと月あまりは、いよいよ人間ということに追いつめられてゆくばかりで困難な日々であった。そこへ、救いのような書物が顕れる。その人にいちばんふさわしい時を射抜いて、書物は、見えない手で置かれるのだろうか。

2014-07-11 15:36:04
福田尚代 @fukudanaoyo

言葉を辿るとはこういうことか、と衝撃をうけた。これまでの生を以って相手へと接近してゆく。その人だけに許される読み方で読むと云うこと。隔たりを乗り越えよう、対象を理解したいと心から願う時、人はこんなにも正直であるのか。

2014-07-11 15:38:50
福田尚代 @fukudanaoyo

『晩禱』(志村ふくみ著、人文書院)これから何度も読み返すだろう。

2014-07-11 15:40:22
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