地域教育力崩壊と国民総サラリーマン化社会

ゆとり教育の狙いだった「子どもを地域に育ててもらう」は完全に裏目になり、学校以外の時間も塾通いで座学ばかりとなり、体験貧弱となって学力が低下した。裏目に出た理由、それは国民総サラリーマン化社会にあるのではないか。
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shinshinohara @ShinShinohara

あまり好きな呼称ではないが「ゆとり教育」では「地域と家庭で教育する」ことを重視していた。学校の座学だけではなく、地域の人達とふれあい、親子兄弟が触れ合う時間を増やすことで、学校だけでは学べないものを学んでもらおうとした。しかし完全に裏目に出た。

2014-04-29 23:03:50
shinshinohara @ShinShinohara

ゆとり教育に対する不信・不安から塾通いが圧倒的に増えた。学校以外の時間もすべて座学ばかりとなり、ゆとり教育の狙いは完全に裏目に出た形となった。なぜ当初の狙い通り、地域との触れあい、家族と過ごす時間は増えなかったのだろうか?それは、「国民総サラリーマン化」社会にあるのではないか。

2014-04-29 23:08:24
shinshinohara @ShinShinohara

子どもがゆとり教育で早く帰るようになっても企業は早い帰宅を許してくれるわけではない。企業は会社のある地域に一定の配慮はしなければならないが、社員の住む地域に配慮する義務はない。「なんで子どもが早く帰るからってお前が早く帰る必要があるんだ?」といわれれば反論できない。

2014-04-29 23:15:24
shinshinohara @ShinShinohara

今の勤め人のほとんどが、住んでいるところとは違う場所にある企業に勤めている。このため、企業は社員の住む地域にいちいち配慮していられない。企業は働いてくれることだけを希望し、子どもが早く帰宅して家で孤独に待っていたとしても「知ったことか」になってしまう。結果、「塾にでも」となる。

2014-04-29 23:18:26
shinshinohara @ShinShinohara

ゆとり教育が失敗に終わった原因は「国民総サラリーマン化による地域経済の崩壊」を見誤ったこと。子供を早く帰宅させても親は会社に長時間縛り付けられ、地域の人もほとんどが会社の中に閉じこもっており、子どもの目に触れる場所にいない。地域にも家庭にも子供を迎え入れるべき人はいなかったのだ。

2014-04-29 23:21:46
shinshinohara @ShinShinohara

かつては自営業の人が多くいた。本屋、文房具屋、靴屋、パン屋、散髪屋、などなど。地域に経済の実態があり、地域経済はそこに住む人のことを考えないわけにはいかなかった。もちろん子どもも。しかし多くが大店舗化し、働く人もサラリーマンとなり、勤める場所と住む場所が経済的に関係なくなった。

2014-04-29 23:26:02
shinshinohara @ShinShinohara

サラリーマンにとって地域の仕事やPTAは面倒でしかない。職場は「住んでいる地域から頼まれた」と言っても「なんで引き受けた?」と叱られるのがオチ。勤めている企業は住んでいる地域となんの利害もないから、地域の仕事は厄介事としてなるべく引き受けないようにするしかなくなる。

2014-04-29 23:29:20
shinshinohara @ShinShinohara

かつてのように自営業が多く地域に経済があった頃ならこうはいかない。地域の仕事やPTAを頼まれて断るわけにいかない。その地域の人たちに支えられているのだから、そのお返しをしないわけにはいかない。もし断れば、その地域で商売できなくなるリスクさえある。

2014-04-29 23:31:55
shinshinohara @ShinShinohara

しかしサラリーマンなら地域の仕事やPTAの仕事を断っても実害が起きることは滅多にない。地域はそのサラリーマンの勤める企業に文句をいう術がない。国民総サラリーマン化は、地域を崩壊させ、地域の教育力を削ぎ、家庭の教育力をも奪った。やむなく、塾通いさせるしかなかったのだ。

2014-04-29 23:34:54
shinshinohara @ShinShinohara

この結果、ゆとり教育では塾通いを圧倒的に増やし、子どもは座学漬けの毎日を送るようになり、遊ぶ時間もなく、地域とも家族とも触れる時間を失い、積むべき体験を乏しくして、結果的に学力を落とした。国民総サラリーマン化した日本では、子どもに座学を与える機能しか残らなくなっている。

2014-04-29 23:37:55
shinshinohara @ShinShinohara

国民総サラリーマン化社会は、日本の教育力を大幅に低下させている。地域は自分たちの場所に住む子どもたちに何の手もさしのべられず、サラリーマンである親は早く帰宅することも許されず、子どもは学校か塾のような座学をする場所でしか時間を潰せない。子どもは体験が非常に貧弱になってしまう。

2014-04-29 23:43:15
shinshinohara @ShinShinohara

「グローバル人材」といわれるが、体験が乏しく座学漬けの毎日を過ごした子ども時代を過ごさざるを得ない状況を放置して、何が達成できるだろうか。国民総サラリーマン化社会のままでは、子どもの体験値の深さ、広がりをもたせることは難しい。習い事を増やしても型にはまった経験値しか増えない。

2014-04-29 23:46:21
shinshinohara @ShinShinohara

今の日本には地域に「利害」がない。国民総サラリーマン化した日本では、学校からモンスターペアレンツと呼ばれても地域からクレーマーと呼ばれても、会社の中で大人しくしていれば給料がもらえる。地域で起きることは自分の利害と全く関係ない。地域に利害がないから、地域を無視できるのだ。

2014-04-29 23:49:23
shinshinohara @ShinShinohara

状況を改善するには、地域に利害を取り戻すことだ。たとえば学校の先生は地域の会議と選挙で採用を決める、とする。担任が誰になるかで我が子の将来が決まると思えば、イヤでもその会議に出ざるを得なくなる。会社も容認せざるを得ない。地域に利害を決定する機能があると、地域に求心力が生まれる。

2014-04-29 23:52:42
shinshinohara @ShinShinohara

たとえば「犯罪者の牢屋は事件が発生した地域で用意すること」となったらどうなるか。牢屋を確保する経費、食事などの維持費が顕在化し、そのコスト負担に地域が耐えられないとなったら、必死に犯罪を未然に防ごうとするだろう。今のように地域に利害がないとそうした動機が働きにくい。

2014-04-29 23:55:47
shinshinohara @ShinShinohara

地域に「利害」を取り戻せば、地域に求心力が生まれる。住む人が積極的に地域に関わり、地域の将来を考え、ひいては子どもたちを地域で育てることを真剣に考えるようになる。国民総サラリーマン化社会により地域が崩壊した日本に地域の教育力を取り戻すには、地域に利害を取り戻すことだ。

2014-04-29 23:59:23