日弁連シンポ/深刻化する経済的理由による受診抑制(平成26年5月16日)

平成26年5月16日(18時〜20時) 日弁連弁護士会館1701会議室 講演 経済的理由による受診抑制の現状と課題    後藤道夫氏(都留文科大学名誉教授) 続きを読む
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小久保 哲郎 @tetsurokokubo

日弁連シンポ「深刻化する経済的理由による受診抑制」開始。都留文科大学名誉教授の後藤道夫氏による「現状と課題」。過去1年間に受診抑制したことがある人が14.2%。未受診経験の直接的経済的理由の中心は一部負担金支払いの困難にある。

2014-05-16 18:33:28
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

未受診理由のうち「時間がなかった」が6割。フルタイム労働者の平日の労働時間は増加。しかも、長時間労働なのに低賃金の人が増加。働かないと生きていけないから病院にも行けないという意味で、これも経済的理由の受診抑制。

2014-05-16 18:37:26
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

生活保護と医療保険制度との間に巨大な谷間が存在する。一部負担金3割が受診抑制の中心だが、減免制度については機能していない。医療保険側の負担金減免制度の整備と生活保護の利用促進の両面からの谷間の縮小が必要。

2014-05-16 18:39:58
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

日本医師会副会長の中川俊男氏。最近患者さんが減っている。2003年自己負担割合が2割から3割に引き上げられて以来、受診延べ日数は顕著に減少している。日本医師会が行った「患者窓口負担についてのアンケート調査」。負担割合が多いほど負担感は強い。

2014-05-16 18:43:36
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

3割負担の人の7割が負担感を感じている。今後窓口負担が増えた場合、2割負担3割負担の5割以上が受診抑制すると回答。受診回数経験のある人は8割がさらに受診抑制すると回答。今後の窓口負担割合の引き上げへの賛成はわずか6.6%。

2014-05-16 18:46:23
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

保険診療と保険外診療の混合診療は、問題発生した場合、保険診療全体の信頼性が失わせるので禁止されている。保険外併用療養として現在も混合診療は一部解禁されているが、混合診療解禁による弊害が及ばない7つの評価療養の場合に限定されている。

2014-05-16 18:51:01
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

しかし、それが拡大していくと、制約メーカー等による自由価格の部分が拡大し公的保険部分が縮小していく。規制改革会議が提言している「選択療養制度」は公的保険の市場化につながり到底容認できない。現在の先進医療は、将来の保険導入を前提として安全性有効性の確保を絶対前提としている。

2014-05-16 18:55:15
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

しかし、規制改革会議が提言する「選択療養」は、患者が自己選択すれば保険外診療の併用を認める。藁にもすがりたい患者にとって対等なインフォームドコンセントが担保できるか疑問。「選択療養」には安全性が必要という視点がない。断じて導入を許してはならない。

2014-05-16 19:00:37
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

厚生労働省保険局総務課長の大島一博氏。「受診抑制に対する国の政策」。国民皆保険制度。所得の少ない方などが入る後期高齢者(1400万人)と国民健康保険(3800万人)をどう支えるかが最大の課題。協会けんぽや健保組合からの拠出金によっても支えられているが、その緩和の要求も最近ある。

2014-05-16 19:05:19
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

市町村国保と後期高齢者医療の平均所得は80万で、その他保険者の140万~230万より相当低いが、加入者一人当たり医療費は多く、公費投入額も3.4兆円、6.5兆円と大きい。

2014-05-16 19:08:31
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

従前の窓口の医療負担は1割、2割、3割と分立していたが3割負担に統一。月々の医療費の頭打ちの制度が、高額療養費制度。厳密にいうとかかった医療費によって上限が変わるが、だいたい8万円強で済むことが多い。70歳以上の場合には15000~44400円とさらに軽い負担になっている。

2014-05-16 19:16:33
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

高額療養費制度の見直し案。27年1月から、年収370万以下については57600円に下げる一方、770万円以上は167400円+α、1160万円以上は252600円+αに上げることが予定されている。

2014-05-16 19:19:10
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

国保の一部負担金減免制度については確かにあまり利用されていない。保険料も低所得者対応としては重要。保険料は応益部分と応能部分があるが前者については所得に応じて7割、5割、2割と権限されている。保険料の減免制度があるが、金額的規模は小さい。

2014-05-16 19:23:38
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

諸外国と比べると日本は国民皆保険。いきなり大病院にも行けるというフリーアクセスが保障されている点。アクセスの良さが特色だが、一部負担金があるというつらいところもある。イギリスは原則窓口負担なし。アメリカは公的医療はメディケア等のみで民間保険中心。日本からすると恐ろしさも感じる制度

2014-05-16 19:30:14
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

2025年をめどに医療、介護、生活支援を一体提供する地域包括ケアシステムの構築。行政、病院、企業、NPO,ボランティアなど多様な人が連携して地域生活を支える仕組み。

2014-05-16 19:32:40
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

「日弁連イタリア調査報告」尾藤廣喜弁護士。2013年5月に約1週間、イタリアへ。財政赤字の深刻なイタリアでなぜ無料の医療保障が維持されているのか。イタリア健康省健康計画局長の話。医療費は低廉で医療の質は高く、EUの周辺国からもイタリアに医療を受けにくる。

2014-05-16 19:36:28
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

イタリアでも2年前から救急医療については一部負担を導入したが、高齢者、難病者、貧困者については一部負担は課さない。財政対策はその国の医療の倫理性や文化の在り方を正面から国民に問うことではかるべきである。

2014-05-16 19:38:17
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

イタリア健康局長の話。自己負担の増額による財政対策は、政策プランナーとしては最悪の方策。貧困者の受診抑制を招き却って長期的には病気を悪化させ医療費の増大を招く。応益負担でなく応能負担が必要。高齢者、貧困層、難病者は一部負担を求めるべきでない。地域医療の充実によって医療費削減は可能

2014-05-16 19:44:21
小久保 哲郎 @tetsurokokubo

尾藤弁護士。44年前に3年間だけだが当初厚生省保険局に所属。当時は、どうやって1割負担にそろえて国民の負担を下げるかという議論をしていた。高額療養費制度の構築にも関与していた。今の日本では国民負担の強化が志向されており危惧している。

2014-05-16 19:46:36
尾藤廣喜 @kenzanbitou

日弁連会館17階1701号室で。内容は、講演 「経済的理由による受診抑制の現状と課題」後藤道夫氏(都留文科大学名誉教授)、講演 「受診抑制に対する日本医師会の見解と提言」中川俊男氏(日本医師会副会長)、 講演 「受診抑制に対する国の施策」大島一博氏(厚生労働省保険局総務課長)。

2014-05-17 12:41:17
尾藤廣喜 @kenzanbitou

その後、報告 イタリアの医療保障制度(国民保険サービス)について。これは、昨年5月日弁連のイタリア調査に参加したメンバーの中から私が行うことになる。最近とみに深刻化する経済的理由による受診抑制の問題が、厚生労働省の担当者も含めてまとまって議論される、貴重な機会になるはずであった。

2014-05-17 12:43:44
尾藤廣喜 @kenzanbitou

石田法子日弁連副会長の医療と貧困についての開会挨拶のあと、後藤道夫さんが、医療未受診と経済的理由との相関関係について、社会保障・人口問題基礎調査の結果から報告。受診できない社会保障制度の谷間の問題、真に医療を保障するためにどういう制度が必要かについての話。

2014-05-17 12:48:35
尾藤廣喜 @kenzanbitou

ついで、日本医師会の中川俊男副会長が、高齢者の経済状況と一部負担による受診機会の制限、所得の減少、自己負担の引き上げと受診抑制の実態について詳細なデータに基づいて報告. 窓口負担の引き上げについて、患者アンケートの結果が、反対・どちらかといえば反対は合計81・3%であることが注目

2014-05-17 12:51:24
尾藤廣喜 @kenzanbitou

また、混合診療の問題点についても報告。さらに、現在規制改革会議が創設を主張している「選択療養制度(仮称)」が、保険の守備範囲を大きく狭め,所得の多寡によって医療の格差を発生させるものであることも指摘。イレッサの事例を引用し、副作用の十分な点検なくして開発を認めるべきではないと強調

2014-05-17 12:53:24
尾藤廣喜 @kenzanbitou

続いて、「受診抑制に対する国の施策」について大島一博厚生労働省保険局総務課長からの話。国民皆保険の体系、国保と後期高齢者医療制度における公費負担制度、高額療養費払い制度(この創設には私も関係)とその見直し、国民健康保険料等の軽減措置、各国の医療制度都医療費の比較など報告

2014-05-17 12:55:20