茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1239回「居場所」

脳科学者・茂木健一郎さんの5月18日の連続ツイート。 本日は、今空港でホットドッグを食べながら思ったこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1239回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今空港でホットドッグを食べながら思ったこと。

2014-05-18 06:58:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

い(1)このところ、大学で授業をする機会が多く、大学って何なのだろうと今更ながら考えていた。日本のMOOCのかなりインサイダーの話を聞くと、learningの未来が、MOOC側にあることは間違いないと確信される。そんな中、大学という「囲い込み」ビジネスはどうなるのか。

2014-05-18 06:59:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

い(2)現象論として、大学という場に「囲い込まれている」学生や教員を、野に放たれているニート、フリーランスと比較すると、前者は圧倒的に「安心している」というのが良い意味でも悪い意味でも特徴なのだと思う。つまり、「居場所」である。

2014-05-18 07:00:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

い(3)人間、居場所を得ると安心する。学費だけ払って、8年間在籍して中退、みたいな演劇人がかつてはいたのは、大学に在籍して(実際には授業一切行かないで)いることが、一つの「居場所」だったのだろう。つまり、大学は、居場所ビジネスだということだね。

2014-05-18 07:01:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

い(4)私が大学に反発するのは、おそらく、「居場所」を得た人間の精神的堕落(学生も教員も)に敏感なのと、居場所を得ている人間と得ていない人間(フリーターとか、フリーランスとか)の間の非対称性がキライなんだろうけど、それはともかく、「居場所」の必要性は普遍的なものだ。

2014-05-18 07:02:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

い(5)居場所はどうしても身体的なものだから、ネットだけでは難しい。依然、掲示板を運用していたことがあって、出入りする人にとっては、居場所になっていた。このツイッターのアカウントも、@メンションで会話する人、絡んでくる人を含めて、一つの居場所ではある。

2014-05-18 07:03:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

い(6)しかし、居場所は、おそらく、全人格的なもので、身体的な要素が強く、ネット上のコミュニティでは、包摂することが難しい。MOOCは、質問などをし合うコミュニティ構築のノウハウが本質だが、それは、伝統的な大学ほどの居心地の良い「居場所」を提供するのだろうか。

2014-05-18 07:04:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

い(7)人間は、本能的に居場所を求めるものであり、居場所をオープンで誰でもアクセスできるものにするイノベーションは価値あるものだと思う。一方で、あらゆる居場所(大学、会社、議員会館、行きつけのクラブ、同好会、サークル)が、人間を安心させると同時に堕落させることは認識したい。

2014-05-18 07:06:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

い(8)私自身を振り返ってみると、ある特定の「居場所」に落ち着いてしまうことを本能的に警戒する傾向が強いように思う。だから、こんな、ノマド的人生を送っている。一方、一つの居場所でどっかり腰を下ろして苔が生える人生は、それはそれで良いと思う。

2014-05-18 07:07:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

い(9)それぞれの人が、「居場所」に対するさまざまな態度、戦略を持っているのであって、人生における居場所の意味について、自省してみることは有益だろう。私個人の感想としては、一つの居場所に落ち着いてしまわない人生も、そんなに悪くないと言いたいだけです。

2014-05-18 07:09:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1239回「居場所」でした。さて、飛行機の搭乗口の方にそろそろ向かわなくてはなりません!

2014-05-18 07:09:35