裁判と書体選び、文字の文化史

大飯原発再稼働差し止め判決の伝令「びろーん」がポップ体であったことに端を発する、博物学たん @museology_tan による裁判と書体選び、文字の文化史のまとめ。
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ミュゼたん @museology_tan

さて、判決の書体選びと隷書と篆書の話はこれでおしまいです。けど、せっかくなので、現代を生きる我々になじみのある書体で、ポップ体(笑)以外で候補に挙がった、楷書と明朝体について、ザックリと話を続けます。蛇足。

2014-05-23 22:00:51
ミュゼたん @museology_tan

まず、隷書の後にじわじわと出てきたのが楷書です。字体の特徴は何と言っても字画の位置取りでしょうか。筆画の「きまりかた」があまりに普遍的で、楷書の出現から千年以上経っても、それ以上の字体は出てこなかったと言えます。現代でも中国初頭の欧陽詢や虞世南の文字を習字のお手本にしますね。

2014-05-23 22:01:26
ミュゼたん @museology_tan

隷書は固い毛質の筆で木簡などに書かれていたのに対し、楷書は紙が発明され、その基盤に合うように筆も柔らかい毛質の筆(ウサギの毛)に変えられています。隷書から楷書への変化は緩やかに、でも確実に行われ、漢隋のころには確立したようです。

2014-05-23 22:01:52
ミュゼたん @museology_tan

はしょりながら説明すると、日本に伝わった楷書はだんだん和様と呼ばれるような書体に崩されていきます。真行草、つまり、楷書→行書→草書の順に文字をくずしていきます。

2014-05-23 22:03:10
Νᴀʀɪᴛᴀ Κentarō @10ti3pin

@museology_tan 中国にも行書・草書はあって、楷書とともに日本に伝わったはずですけどね。

2014-05-23 22:05:27
ミュゼたん @museology_tan

@10ti3pin 語弊がありましたことお詫び申し上げます。たしかに誤解を与えるつぶやきですね。

2014-05-23 22:08:28
囧TL @acaxinoya

@museology_tan 拝見しております。書体の成立は、篆書→隷書→草書→行書→楷書の順番でしょう。草書は漢代に隷書と平行して使われていました。和様は、楷書でなくて、中国の行書草書を摂取して発展した字様ですね。日本では楷書はあまり使われず、発展しなかったようです。

2014-05-23 22:19:35
Νᴀʀɪᴛᴀ Κentarō @10ti3pin

たしかに、和樣の楷書といふのは無いのだな。いま當り前に使ってゐる楷書は近代國民國家のもろもろとともに普及したといってもよい。

2014-05-23 22:26:20
ミュゼたん @museology_tan

そう、くずし字に対して一言もの申すと、文字のくずし方には決まりがあります。よく字の汚い人が適当に文字をくずして、読めないような文字を書いているけど、あれ一応ルール違反だからね!!

2014-05-23 22:03:27
ミュゼたん @museology_tan

それから、明朝体について。今まで話していた書体は毛筆(篆書隷書はは石や金属に彫ることもあるけど)が基本でしたが、明朝体は完全に印刷用の書体です。でも、その前身の宋体から話をします。

2014-05-23 22:04:55
ミュゼたん @museology_tan

中国中世の宋は、出版が盛んだった時代です。それゆえ、たくさんの出版工房があり、木版で書物を発行していました。しかし宋の時代はまだ「工房の職人さんの技」な感じの書体で、厳密なルールはなかったようです。

2014-05-23 22:05:06
ミュゼたん @museology_tan

明の時代になり、宋よりもさらに出版が盛んになると、一人の職人で版木を完成させるのでは効率が悪いので、流れ作業になります。そこで、書体のルールがより明確になったのが明朝体です。

2014-05-23 22:05:15
ミュゼたん @museology_tan

指定管理者を選定する行政側が、対象文化施設の理念や目的を理解してくれないと困るわ。コストが下がればどこの企業でも構わないという判断で「低コストに抑えるため貸館業務だけ行う」っていうのはダメでしょう。もっと安定した組織・体制作りをしたいけど、経済的な問題も関係してうまくいかないわ…

2014-05-23 22:09:24
ミュゼたん @museology_tan

…と、最後の蛇足の部分はだいぶ駆け足になりましたが、付け焼刃で用意できた文字の文化史のお話はこんな感じです。今回は判決の伝令の書体から話をはじめ、主に隷書・篆書に焦点を当ててみました。。。ちょっとテーマが地味だったかな?

2014-05-23 22:10:54
ミュゼたん @museology_tan

和様の書の話や、明朝体宋体などの木版印刷の書体、活版印刷の話、それから写植に入って、最近のDTPデザインについて、まだまだ文字の文化史については興味深いテーマがたくさんありますが、またいつか機会を作ってできたらいいな。 っていうか、博物館学と関係なくてごめん。ほんと、ゴメン。

2014-05-23 22:14:43
ミュゼたん @museology_tan

参考文献の紹介 石川九楊『書と文字は面白い』1993.新潮社 藤枝晃『文字の文化史』1999.講談社 んー、たしかに空リプのあったように、参考文献の出版年古いねー。また時間をつくって、文字のことも細々と勉強を続けていきたいものです。

2014-05-23 22:21:21
ミュゼたん @museology_tan

専門家の方から不足な点を多々指摘されて、あぁ詰めが甘いなぁと反省してます。

2014-05-23 22:31:16
明日佳 @mizoo_sai

@museology_tan 勉強になります。全く本筋とは関係のない点で恐縮ですが、文化史業界では宋は中世に分類されるのでしょうか? 東洋史学の中でも宋の位置付けは微妙なところで、中世と近世どちらとする研究も多いもので、少し気になりました。

2014-05-23 22:33:01
ミュゼたん @museology_tan

@mizoo_sai こんばんはー、うーん、どうなんでしょうねぇ…とはいえ宋は長いので、北宋と南宋で分けることもできそうですね。今回は中国の歴史の中で宋が何度も出てくるので、イメージがつきやすいように敢えて書きましたが。

2014-05-23 22:36:51
囧TL @acaxinoya

@museology_tan 楷行草の成立の事は、高校の国語の教科書なんかでも間違いやらかしてるので、お気になさらずに!一応、書の方面から参考文献を挙げておきますと、伏見冲敬著 筒井茂徳編『新訂 書の歴史 中国篇』を見れば中国の文字史は概観できると思います。

2014-05-23 22:43:55
ミュゼたん @museology_tan

.@akarinoya おぉ、ありがとうございます!むかし、筆触や字体に魅せられて調べた手持ちの資料のみで今回の原稿を(ほんの短い時間で)作りましたが、久しぶりすぎて復習に手こずっております。 和様の楷書はない、という示唆は、眼から鱗でした。

2014-05-23 22:52:10
ミュゼたん @museology_tan

@akarinoya 普段は、甲骨文字から、毛筆、先のとがったペンも文字、活版、タイポグラフィまで幅広く扱っております(汗)ぜひ、これからも宜しくお願いします。

2014-05-23 22:53:16
🖖dr. mnemonic @mnemonic573

@museology_tan 昨夜は連ツイ楽しかったです。ご存じかもしれませんが、POP体について、こんな説もあるようです。 twitter.com/tokyopasserby/…

2014-05-24 12:58:59
passerby @tokyopasserby

人はなぜポップ体を使ってしまうのか。過去にやむにやまれずWindows PCで貼り紙をつくった経験からすれば、ポップ体を用いるのは「標準インストールされている中で最も太い書体だから」。他に理由はない。 #なんでPOP体 pic.twitter.com/pJvTbBrPZQ

2014-05-05 20:37:59