街の散策(運び屋さん)

主人が末娘と運び屋さんのお宅に行きました。
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運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier この屋敷は気に入っていただけましたか?…ふふ、御用事の無い際にも立ち寄って頂いて構いませんよ。私は美しいものを愛しておりますので。紅茶で宜しかったでしょうか? (男はティーセットを運んで来ると、少女と男性に向かって微笑んだ)

2014-05-23 12:57:29
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 「えぇ、とても素敵なお屋敷ですね。この子も少し苦手が克服できたようで…ありがとうございます。紅茶…!いいですね。ちょうど喉が渇いていたんです。あぁそうだ、桃」 名を呼ばれた少女が、はにかみながら椅子から立ち上がり、枇杷の入った果物を差し出した。

2014-05-23 13:10:05
運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier それはそれは…ああ、門前のルヴァイアンのことで御座いますね。お役に立てて何よりです。……ミルクと砂糖は如何なさいます?おや、これは……有難う御座います。 (男はティーセットを机に置くと少女からプレゼントを受け取って嬉しそうな声をあげた)

2014-05-23 13:15:08
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 「桃には砂糖をお願いします。私はそのままで…。あぁネコさんは『るばぁいあん』さんと言うお名前だったのですね」 少女は頭を下げると、少し照れたように微笑み、小声で告げた。 「お加減が良くなってよかった。…すみません、父様はカタカナ言葉が弱いのです」

2014-05-23 13:24:59
運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier …あの青年は少し変わり者でして、宝石商の荷車に勝手に乗り込んでこの街までやって来たそうなのですが………ええ、気付いていましたよ。御忠告感謝します。 (紅茶を注ぎストレートを男性に、少女に砂糖の入った紅茶を渡し、そっと囁いて髪を撫でた)

2014-05-23 13:37:21
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 「私も発音はまだまだなのですが、父様のはなんというか…。ふふ、くろにあ様同様、とても紳士的なネコさんでした。」 少女は髪を撫でられて、擽ったそうに笑う。 「それにしてもこの紅茶はとても素敵な香り。」 少女の言葉に主人も大きく頷いた。

2014-05-23 13:54:34
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 「通りで嗅いだ事のない香りだとおもいました。…と、言う事はくろにあさんのお屋敷には薔薇が咲くんですね。花の季節が楽しみですね」 主人は少女が座ったのを見届けると、少女に紅茶を飲むように薦める。 「お世話もくろにあさんがされるのですかい?」

2014-05-23 14:15:23
運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier ええ、この薔薇はとても珍しいので、少しでも育て方を違えてしまうと咲かないのですよ。開花するのは大体冬頃ですので、その時にまたお越し下されば庭をお見せしましょう…ええ、世話は私が焼いております。(男は頷いて答えた後、棚からガラス瓶を持ってきて)

2014-05-23 14:22:30
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 「それは楽しみです。きっと見事な薔薇が咲くのでしょうね。ウチの工房でも、薔薇染めの為に時々、薔薇の花びらを仕入れるんですがね。こんなに香りの良い薔薇は然う然う無い。」 主人は紅茶のカップをソーサーに戻すと、相手の手元に視線を向け 「それは?」

2014-05-23 14:40:42
運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier ええ、それはそれは美しい花を。…薔薇染め、ですか……素敵ですねえ。手を掛けて丁寧に育てれば、どんな花よりも美しく咲いてくれるものですよ。ふふ、これは……… (男は茶菓子を乗せた皿と、瓶を机に置いた。ガラス瓶の中では、美しい薔薇が咲き誇っている)

2014-05-23 14:45:02
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 「ウチは染色工房がありますから…お花も布も、手間暇愛情を込めれば応えてくれる…という事でしょうかね」 主人は相手の言葉に深く頷いた。 「…それは、生花ですか?これはまた不思議な…」 驚く主人の隣で、少女は声も出せずに、じっと美しい薔薇を見つめる

2014-05-23 14:58:07
運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier ほう、それは是非拝見させて頂きたいところですね……きっと似ているのでしょうね。………そう。まさに生花で御座います。触ると消えてしまうので、こうしてガラス瓶に閉じておくのですよ…(男はガラス瓶の中から一つ、ピンセットで薔薇を取り出してみせた)

2014-05-23 15:14:10
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 「是非、遊びにいらしてください。工房は店の奥にありますから…ハンカチなんかは直ぐに染まりますよ。…ほう、触れると消えてしまうのですか…なんだか雪みたいな薔薇ですね」 「…瓶から出してしまって、平気なの?」 少女の声は心配そうに震えている。

2014-05-23 15:18:33
運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier 良いですね、是非お願いしたいです。この薔薇の名前は白雪と云うのですよ。綿太様の云う通り、雪のように消えてしまうことから、ね。ああ御嬢様、そんなに御心配なさらないで下さい。この薔薇には術を掛けてございます。(男は少女の手を取り、そっと薔薇を乗せた)

2014-05-23 15:26:30
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 「…えっ!」 儚げな薔薇が己の手の上で消えてしまう瞬間を見たくなくて、少女は思わず目をつむる。 「くろにあ、様…父様」 瞼を閉じたまま、少女は二人の名を呼ぶ。

2014-05-23 15:33:36
運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier クロニア、で宜しいですよ……御嬢様。瞼を開けて、美しい瞳で御覧なさいませ。薔薇は貴方の手の内。悠然と咲き誇っておりますよ。…御嬢様は本当に美しいですねえ。(男は少女の手の甲にキスをして嬉しそうに囁き、男性に向かって耳打ちをした)

2014-05-23 15:39:00
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 声に励まされるように少女は恐る恐る、瞼を開ける。黒く澄んだ眼が凛と咲いたままの薔薇を映すと、漸く安心したように微笑んだ。 「…あぁ、よかった。ね、父様…とっても綺麗よ」 「ははは、誰に似たんでしょうねぇ」 主人は少女を撫でてやりながら、笑っている

2014-05-23 16:10:03
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 「まだまだ子供ですから、色々美しいものをみせてやりたいんですがね。中々機会がなくて…素敵なモノを見せて下さって有難うございます」 主人はふと懐中時計に目をむけ、少し驚いた表情で立ち上がる 「おやこんな時間だ。長居をしてしまったようで…申し訳ない」

2014-05-23 16:13:39
運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier いえいえ、礼には及びませんよ。それに……おや、本当に。もうこんな時間ですか…ではお送り致しましょう。 (男は言いかけた言葉を飲み込むと、扉に目をやる。瞬間、扉が次々に開いて行き、玄関までの道を作る。そして男は手土産にと少女に紙袋を渡した)

2014-05-23 16:26:19
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 少女は手の上の薔薇をそっとテーブルにもどすと、主人に続いて、椅子から立ち上がり、深々と頭をさげた。 「おや、それは…?」 主人が少女の手の紙袋に気づいて首をかしげる。

2014-05-23 16:39:07
運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier 帰ってからのお楽しみ、にございます。さ、お気をつけておかえり下さいませ。今日は楽しい一刻を有難う御座いました。では、また。(玄関先には馬や車に小さな飾りがついている美しい馬車が待機しており、男は一礼をしてどうぞ、と言った。)

2014-05-23 16:54:10
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 「…だそうだよ、良かったね。桃」 主人が礼をすると、少女は受け取った紙袋を大事に抱えなおして、もう一度、同じように頭を下げる。 「…また、遊びに伺ってもいいですか?」 主人と共に少女は馬車に向かいながら尋ねた。

2014-05-23 17:04:17
運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier ……ええ、もちろん。貴方のように美しい方ならば、いつでも歓迎致しますよ…御嬢様。ああそれと、そのお土産は早めにお召し上がり下さいませ。是非、皆様で。(男はにこりと笑って自分の胸に手を当てた。)

2014-05-23 17:49:56
仕立て屋『野鼠和裁』 @Couic_Couturier

@hakobiyasan_bot 「ふふ、良かった。では…さようなら」 「何から何まで、ありがとうございます。店のものといただいますね。さようなら」 少女は小さく手を振る。屋敷が馬車の窓から見えなくなってしばらくしてから、主人の手の上で小さな鼠が寝息を立てた。

2014-05-23 18:07:46
運び屋 @hakobiyasan_bot

@Couic_Couturier …ええ、ではまた。(男は馬車が見えなくなると踵を返して歩き始めた。男の通った扉は次々に閉まって行く。男は満足そうに笑って、気にいただけるといいなぁ、と呟いた)

2014-05-23 18:14:33