study2007氏「UNSCEAR2013報告から読み解く原発事故後の被ばく防護の不備」『科学』6月号

宗教学者 島薗進氏のツイートと、関連する環境省HPの資料をまとめました。
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島薗進 @Shimazono

『科学』6月号。重要論考が目に止まりました。study2007氏「UNSCEAR2013報告から読み解く原発事故後の被ばく防護の不備」『科学』6月号。国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書(4/2に詳細版公表)の解説。政府側専門家や環境省や全国紙科学部の説明とは異なります。

2014-05-25 22:05:38
島薗進 @Shimazono

1study2007「UNSCEAR2013報告から読み解く原発事故後の被ばく防護の不備」『科学』6月号。まず、UNSCEAR報告書の被ばく量推計の方法を解説。「外部被ばく」は土壌に残された放射性核種濃度の測定から推計。「吸入摂取による内部被ばく」も土壌沈着のデータから推計。

2014-05-25 21:36:22
島薗進 @Shimazono

2study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』6月号。「経口摂取による内部被ばく」は食品検査データからの推計。その他、不確実性の高い推計を重ねているが著者は概ね妥当と評価している。「日本的な食習慣によるヨウ素取り込み量の影響」については取り入れていない、

2014-05-25 21:36:46
島薗進 @Shimazono

3study2007「UNSCEAR…報告…事故後の被ばく防護の不備」『科学』6月号。建物の遮へい・低減係数を一律に0.4とし、「年間追加被ばく1mSv=0.23μSv/h」という線量指標を導いていることについては過小評価であり、0.15μSv/h程度に見なす必要があると批判。

2014-05-25 21:37:32
島薗進 @Shimazono

4修正study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』6月号。放医研をはじめとする日本の専門家が重視した甲状腺スクリーニングやWBCの計測データ等の生体データは用いられていない。それらが妥当なら採用された推計は過大評価ということになると捉えられている。

2014-05-25 21:58:16
島薗進 @Shimazono

5study2007「UNSCEAR2013報告から読み解く原発事故後の被ばく防護の不備」『科学』6月号。3月末に行われた飯館村、川俣町、いわき市での1080人の甲状腺スクリーニング調査については、バックグラウンドのデータを着衣の測定データとしていたことの不備が考えられる。

2014-05-25 21:38:08
島薗進 @Shimazono

6study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』「甲状腺等価線量を大幅に過小評価した結果がUNSCEAR側に提出されていた可能性がある」①。UNSCEAR側はそのことを分かっていたか不明だが、日本側のその誤りは以下の国内会議で取り上げられることになった。

2014-05-25 21:38:55
島薗進 @Shimazono

7study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』6月号。第3回東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議(2,014年2月26日)。env.go.jp/chemi/rhm/conf… しかし専門家は誤りを認めていないのでは?

2014-05-25 21:39:11
島薗進 @Shimazono

8study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』6月号。事故後数か月の内部被ばくの推計の困難は測定値が少ないことと、日本の食品流通のあり方による影響がよく分からないで推計していること。「1年目経口摂取のほとんどは事故後1カ月の寄与によるものと評価されている」

2014-05-25 21:39:36
島薗進 @Shimazono

9study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』6月号。「これは、(事故直後の吸入摂取の懸念も含め)被災住民に対するWBC測定や尿検査を事故後数日から数週間伊奈藍に実施することが急務であったことを示している」②。①②は「被ばく防護の不備」について述べたもの。

2014-05-25 21:40:00
島薗進 @Shimazono

10study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』「本報告書の線量評価は、先行して公表されたWHO2013報告と大きくは違わない。ただし避難区域の住民については、行動調査に基づいた18の避難シナリオを反映した評価を行っており、結果が大きく異なる地域もある」

2014-05-25 21:40:27
島薗進 @Shimazono

11study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』富岡町や大熊町では推定回避線量がたいへん大きい。「その一方、避難が遅れた飯館村や川俣町山木屋地区などは初期被ばくのほとんどを回避できなかったことがわかる。さらに問題なのは3月15日以前に避難した自治体でも」

2014-05-25 21:40:57
島薗進 @Shimazono

12study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』「避難先が福島市、二本松市、及び郡山市などであった場合、その避難先において40mGyから50mGyの被ばくをしていたことである」「これらの評価結果は福島市や郡山市など、原発から60km以上離れた大都市でさえ」

2014-05-25 21:41:43
島薗進 @Shimazono

13study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』6月号「避難先として十分に安全だったとはいえず、かつ、事故後数日以内の緊急的な避難もしくは退避が必要であったことを強く訴えている」③。「さらに事故の進展や気象・地形的条件によっては半径100km程度の範囲は」

2014-05-25 21:42:09
島薗進 @Shimazono

14study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』6月「安定ヨウ素剤の配布を含め、住民退避を検討する必要があったことも示唆している」④。「被ばく防護の不備」③④。報告書はさらに「一般公衆の線量評価と今後の健康管理のあり方に対し、一定の指針を与え得ると思われる

2014-05-25 21:42:51
島薗進 @Shimazono

15study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』6月「特に小児甲状腺被ばくについては、(study2007氏により『科学』4月号掲載論文で)再評価された飯館村、川俣町、およびいわき市の実測データとUNSCEAR、およびWHO報告の評価に大きくかい離はなく」

2014-05-25 21:43:22
島薗進 @Shimazono

16study2007「UNSCEAR…被ばく防護の不備」『科学』「福島県内や近隣地域の小児を保護し続けなければならない必要性を示している」チェルノブイリのUNSCEAR2008報告書の事故後1年後の甲状腺吸収線量と、今回報告書のいわき市と福島市の平均甲状腺吸収線量を比較すると」

2014-05-25 21:43:54
島薗進 @Shimazono

17study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』6月号。「(チェルノブイリの)汚染地域に対しては約1/4程度、3ヶ国全体の平均線量に対してはやや上回る水準にあり決して小さいとは言えない。しかしながら事故後の被ばくリスクを防げなかった理由のほとんどは」

2014-05-25 21:44:09
島薗進 @Shimazono

18study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』6月号。「(本稿で見てきたように)原発事故への準備不足と、事故後の対応の不適切さにこそある。発がんリスクに限定すれば、福島県内の一部地域を除き過剰発症数の増加を統計的に明らかにするのは困難かもしれない」

2014-05-25 21:44:25
島薗進 @Shimazono

19study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」『科学』6月号。「しかしそれは「リスク(被害)がない」ということを意味するものではない(p.76段落167)。線量率や核種濃度は低減しても、これまで蓄積したリスク(被害)総量は減らない。今後も確実に積み重なっていく」

2014-05-25 21:44:49
島薗進 @Shimazono

20study2007「UNSCEAR…報告…被ばく防護の不備」「これまでの無責任な対応の連鎖を断ち切り、真に被災住民・児童の利益と被害の回復をはかることを最優先の課題に据える必要がある。」これは国連科学委員会2013報告が暗黙の内に語っている内容を著者が敷衍したもの(以上)

2014-05-25 21:45:24

環境省
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html
第3回(2014年2月26日)
議事録
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-03b.html

議事概要
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-03a.html

事務局配布資料
1 被ばく線量に係る評価について(第2回会議でのコメントへの回答)(PDF)
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-03/mat01-1.pdf

http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-03/mat01-2.pdf
(今中哲二氏資料)
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-03/mat01-3.pdf

事務局配布資料 2
被ばく線量に係る評価について(今後の線量評価・再構築に係る事項について) [PDF 3,172KB]
(WHO、国連科学委員会の評価に関する内容を含む)
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-03/mat02.pdf

事務局配布資料3
川俣町公民館での3月28日~30日の甲状腺サーベイについて [PDF 337KB]
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-03/mat03.pdf

遠藤委員提出資料
「放射性ヨウ素と甲状腺」 [PDF 408KB]
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-03/ext01.pdf