simesaba0141氏の「ガンマカメラ」のお話

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simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

今回は、今が旬(?)なガンマカメラについて、その撮影法や、放射性物質の体内での動向などについて、かなり誤解が多いようなので連ツイしてみます。

2014-05-25 21:43:35
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 皆さん、目の前に何でもいいから好きな果物を思い浮かべて見て下さい。その果物の種が、ある一定のところに集まっていて、そこを取れば皮をむいて丸かじりで味わう事が出来るとします。

2014-05-25 21:47:04

レントゲンやCTやMRIと、ガンマカメラの本質的な違い

simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 外から放射線を当てて、この果物の種がどこにあるかを、予め探ろうとするのがX線による単純写真だったり、CTやMRIによるスキャン法。この場合、得られる写真は一般的に鮮明ですが、種や周囲の果肉が、もしも毒を持っていたとしても、画像では判りません。

2014-05-25 21:47:33
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 逆に、種自体に放射線を放つ薬剤を予め吸わせておき、種が内部から放つ放射線を、外から検出して、種のありかを探ろうとするのがガンマカメラなのです。

2014-05-25 21:48:23
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 ガンマカメラの欠点は、画像がボンヤリとボケてしまい、細かい構造がどうなっているか全く判らない点。しかし、観察する側はそんな事をあまり気にしません。なぜなら写真やスキャン法では判らない、ガンマカメラでしか取れない情報があるからです。

2014-05-25 21:48:44
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 いまでこそ、一部MRI検査で代替が効く様になりましたが、かつて、このような「種が毒を出すかどうか」と言う情報(これを機能情報と言います)が収集できる診断機器は、ほぼガンマカメラの独壇場でした。そして今でも、ここぞと言う時に威力を発揮しています。

2014-05-25 21:49:03

被曝を伴う検査によるリスクと、検査によるベネフィットを比較し検討

simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 さて、サラリと言いましたが、果実ならともかく、人間の体に置き換えて考えたら、体内に放射性物質を入れるわけですから恐ろしい話ですよね?患者さんを安心させるために嘘を言うわけには行きません。たしかに放射性物質を入れて被曝させるリスクはあります。

2014-05-25 21:49:51
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 しかし、そのリスクを上回る有効な情報が得られるのですから、医師は、利害のバランスを考えて、それが個人の決定的な利益に繋がるのだと確信した段階で、利益を優先して検査の判断を下しています。

2014-05-25 21:50:21
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 ここで例によって脱線ですが、50年前の、医師が絶対的な権威を持っていた、田宮二郎版、白い巨塔の世界ならいざ知らず、いや、当時であったとしても、まともな医師ならば、過去の事例や、その道に通じた専門医の意見を効いて治療方針を決めるのは当然です。

2014-05-25 21:51:06
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 特に現代医療では、EBMと言って、様々なデータの蓄積によって充分な裏付けが取れるか否か、が治療方針を決める基本原則となっています。あまり無茶をやらかすと、百パーセント訴訟沙汰になる今の時代、医師、それも専門医が、患者の被曝と、そこからの回復。

2014-05-25 21:51:38
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 それらの兼ね合いを、単なる経験とカンに頼って決めていると考える方がおかしい。相手が人間の体である以上、不測の事態や、思った事と違う事象が起こることも珍しくないし、薬剤の添付文書ですら、良く良く読めば100パーセント断言してはいません。

2014-05-25 21:52:02
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 まあ、少なくとも過去に数万件の蓄積がある事象を基本に議論している相手に、例外的な事象をぶつけてみても、「ふーん、そう。で?」で済まされるのが関の山ですが、なんでツイッターには、敢えて山に挑もうとする猛者が後を絶たないゲフンゲフン(笑)。

2014-05-25 21:52:41
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 いずれにしても、ここでも言っておきますが、人間には放射線のダメージから回復する力が備わっておりその回復力と、腫瘍が持つ放射線に対する脆弱性との兼ね合いで治療方針は決まり、そこには長い知見の裏打ちがある事だけは理解して欲しいです。

2014-05-25 21:53:25

診断したい部位・疾患によって放射性物質の種類を選ぶ

simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 さてガンマカメラに話を戻します。このように、放射性物質を体内に入れる検査なのですが、体のどの部分を見たいか、あるいはターゲットとする疾患が、どのような性質を持っているか、で使用する放射性物質が異なります。

2014-05-25 21:54:44
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 しかし、それぞれの放射性物質には個性があります。放射線には、α、β、γなどの種類があり、また、それぞれの固有エネルギーも異なります。ところが、名は体を表すではありませんが、ガンマカメラは、放射線の種類のうち、γ線しか撮像できません。

2014-05-25 21:55:13
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 そもそもα線やβ線は、エネルギーは高くても、物体を通り抜ける力は弱いので、体内から外には殆ど出られません。しかしγ線だけは透過する力がとても強いので、これを検出するのは比較的容易です。ガンマカメラは、目に見えないγ線を検出しています。

2014-05-25 21:56:43
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 現在主流になっている検出方法は、目に見えない放射線を、ある物質に当てる事で目に見える光に変えて、それを測定しています。この原理は放射線測定の基本である「シンチレーション型サーベイメータ」そのものです。

2014-05-25 21:57:07
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 要するにガンマカメラは、直径6センチほどのサーベイメータを平面に敷き詰めたようなものだと思えば、そう遠くは無いでしょう。さて、ガンマカメラはγ線しか測定できないのだから、検査目的に使用するなら、α線やβ線を出さない核種を使う方が安全です。

2014-05-25 21:58:00
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 また、光に変換するためには、強からず、かつ弱からずと言った適当なエネルギーの幅が必要になります。あまりエネルギーが強すぎると、充分な発光が得られる前にカメラを突き抜けてしまうため、装置側である程度コントロールする必要があります。

2014-05-25 21:58:29
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 ところが、そう上手く行かないのは世の常でして、コントロールを強めると、測定できる量が減ってしまいます。そうは言っても調整しないとデータは取れないので、量が減るのは承知の上で調整を決行しなければなりません。

2014-05-25 21:59:00
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 なぜ、このような事を述べているかと言うと、放射性ヨウ素を用いた検査薬には、123Iと131Iと二種類あって、どちらも化学的特性は全く同じだからです。このうち前者は検査目的では比較的良く使われるもので、後者は治療目的に使われています。

2014-05-25 22:01:54
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@simesaba0141 厳密に言うと、131Iでしか出来ない検査もあるので、その場合はやむなく使用されるようですが、できれば検査目的での131Iの使用は避けたいところです。と言うのは、131Iは①γ線以外にβ線も放出する。②γ線エネルギーが高くて検出効率が悪い。からです。

2014-05-25 22:02:28