- EVO_Hitachi
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フジキド・ケンジのニューロンに根を張る邪悪なニンジャソウルは誘惑する。((もっとも今のオヌシにできるか?大人しく儂に体))((黙れ!))ニンジャスレイヤーはそれを一蹴し黙考する。接近戦に持ち込むには、敵の足を止める必要がある。 21
2014-05-26 21:48:43一方、タタミ5枚の距離を走向していたクワドラプルは、ニンジャスレイヤーがカラテ警戒したまま微動だにせぬことに勝利を確信していた。さしもの死神も、クワドラプルのフーリンカザンを打ち破ることはできなかったのだ。 22
2014-05-26 21:51:16このままキンボシを取れば、このフリープログラムは必ずやアマクダリの伝説となろう。怪我で引退を余儀なくされ、選手生活では決して得られなかった輝く大金星。そのチャンスが目の前にあるのだ!彼の精神は高揚した。 23
2014-05-26 21:54:32しかし、二人のニンジャが己の世界に没入しているこの時、床の冷たさで意識を取り戻した男がいる。そう、この場にはもう一人、クワドラプルに敵対する男がいる!彼は青黒い色つきの風を認識した。ゴーグルの補正がなければ、彼の視界に写るクワドラプルを捕らえることは難しいか?否! 24
2014-05-26 21:57:17「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは、飛来する物体を察知し、掴み取った。「これは……」フックロープだ。ドウグ社製よりやや質の落ちるそれは、倒れたヒキャクが打ち出した物のようだ。そして、一瞬両者に張り渡されたロープに、獲物がかかる! 25
2014-05-26 21:59:37「グワーッ!」クワドラプルだ!ロープに接触、転倒!なんたるブザマ!スケーターの敵は審査員でも他の選手でもない。己だ。己とのイクサにおいて慢心など言語道断である。ニンジャスケーターとなり演技への情熱が歪んでしまった故か。ヒキャクが小さく「好きにさせッかよ」と呟いた。 26
2014-05-26 22:00:22転倒したクワドラプルは、今宵数度にわたり己の美しい滑走を無粋に邪魔したヒキャクを睨んだ。「オノレーッ!」銀盤はクワドラプルにとっては賞賛と殺戮と自己礼賛の神聖な舞台。ネズミの分際で、その舞台を汚した罪業は重い。両脚切断だけでは足りぬ! 27
2014-05-26 22:02:44クワドラプルはオジロへ向けて怒りのスリケンを投擲!しかしそれは別のスリケンによってインターラプトされた!「貴様の相手は私だ」ジゴクから吹き上がる亡者の怨嗟じみた、禍々しい声。クワドラプルはそのアトモスフィアに圧倒され、振り返る。 28
2014-05-26 22:04:56陽炎がゆらめいている。クワドラプルが切りつけた足の傷口から流れた血が、赤黒い炎となって覆っているのだ。その不浄の炎を足に纏った死神が氷を踏み締める度、足元の氷が蒸発し、陽炎を作っている。クワドラプルは戦慄した。 30
2014-05-26 22:07:47「ジャンプ回転ならば私でもできる。採点してみるが良い。できるものならば!」ニンジャスレイヤーは炎を纏った足で高々と跳躍!そして、おお、見よ!あれは!「イイイイイヤァァァァァーッ!」あれは!奥義ヘルタツマキ! 31
2014-05-26 22:10:57「グワーッ!」クワドラプルに雹めいて襲いかかる全方位スリケン放射!広い空間がアダとなり、隠れる術もなし!死神の周到な計算と跳躍角度により、ヒキャクはクワドラプルの影となりスリケンは当たらない。タツジン! 32
2014-05-26 22:13:21クワドラプルの伸縮性は富むが薄い装束がスリケンによって切り裂かれる。「ヌゥーッ!」辛うじてその場で頭部をガードしつつ高速スピンすることで、致命的な一撃だけは避けた。死神は着氷する。その足元の氷が音を立てて蒸発した。 33
2014-05-26 22:16:26その着氷を狙い、クワドラプルは連撃!「イヤーッ! イヤーッ!」連続バタフライキック! しかし一撃が軽い! 死神はクワドラプルのキックを片手でいなすと、蹴り足に渾身のカラテチョップを叩き込む!「イヤーッ!」 34
2014-05-27 18:14:29「グワーッ!」クワドラプルの右膝から下があらぬ方向に曲がる!「イヤーッ!」しかしクワドラプルは無事な軸足を更に回転、勢いを乗せた回し蹴り!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは踏み込むことで蹴りを回避し、ポン・パンチ!「グワーッ!」クワドラプルは吹き飛ばされ、倒れた! 35
2014-05-27 18:17:03「イヤーッ!」追いついた死神は、倒れたクワドラプルの左膝を容赦ないストンピング!「グワーッ!」クワドラプルの左膝から下があらぬ方向に曲がる!インガオホー!「氷遊びは終わりだ」クワドラプルは恐怖に血走った瞳で、死神を見た。 36
2014-05-27 18:20:04「ハイクを読め、クワドラプル=サン!」「最終滑走/キスアンドクライは/ひとり」クワドラプルはハイクを読んだ。ニンジャスレイヤーはその頭部を、燃える足で踏みつけた。「サヨナラ!」クワドラプルは爆発四散した。 37
2014-05-27 18:22:57朦朧としたオジロの耳に足音が聞こえる。赤黒いニンジャの傷だらけの足も見えた。そのキリングオーラを間近に浴び、オジロは赤黒いニンジャを畏れた。((ダメだ))オジロは身じろぎした。端末だけは守らなくては。 38
2014-05-27 18:24:57赤黒のニンジャは、オジロの前でかがみ込む。「忍」「殺」のメンポがオジロの網膜に焼き付く。「ダメだ」((やめてくれ! そいつだけは!))しかし赤黒ニンジャは、その腕に巻いたホルダから端末を抜き取ってしまった。 39
2014-05-27 18:27:34オジロが目をさますと、そこはサイバネ専門病院の大部屋だった。ベッドのすぐ両隣は白いカーテン。薄い水色の病院着にはモンキーレンチのロゴ。オジロのかかりつけだ。((端末は!)) 41
2014-05-27 18:32:54意識を取り戻すと同時にオジロは跳ね起きようとし、失敗した。サイバネ脚がまるごと接合部からなくなっており、バランスが取れなかったのだ。 42
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