モーサイダー!~Second Lap~Episode I

@mor_cy_darにて投稿している連作バイク小説モーサイダー!~Second Lap~Episode I のまとめです。テキスト版はこちら(http://ncode.syosetu.com/n1122cd/)からどうぞ
1
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「で、志智。どうなんです?」 「どうって何がだよ」 「大型免許ですわ。取るんですね? わたくしがすすめるんですからね」 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:33:21
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「何でお前に言われたら取らなきゃならないのかは知らないけど……まあ、そうだな。  興味はあるけどな。加速とか凄いんだろうな……」  ━━振り返ってみれば。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:33:30
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

(亞璃須のXR650Rは当然として……あの『深紫(ディープパープル)のYZF-R1』も大型バイクだよな……)  もう1年近く前だというのに、その後ろ姿は。  そして、尋常でないブレーキングと加速力は、志智の心に強烈な印象を残している。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:35:17
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

(大型バイクに乗れば、俺でもああいう走りができるのかな……?)  漠然とそんなことを思う。  けれど、大型バイクだからといって、何か決定的に変わるのだろうか、とも考える。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:35:24
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

(バイクなんて、腕だって言うじゃないか。  そもそも、ただ加速が速いっていうなら……)  4気筒も2stも追いかけた。400ccのマシンと競ったことも、一度ではない。  そのいずれもが、VT250スパーダより加速力は勝っていた。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:35:58
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 なにより、志智は日原院亞璃須という一流の技量を持ったライダーがあやつる、XR650Rの性能を知っている。  その爆発的な加速力を、しかし大型バイクだからといって、完全無欠ではないことも。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:36:22
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「………………まあ」  けれどあくまで━━それは実際に乗ったことのない自分の感覚だという事実も。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:36:34
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「春休みにずいぶん働いて、バイト代は結構入ったし……大型免許、取ってみるのも悪くないかな」  他人事のように呟きつつも、既に志智の心には。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:36:44
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

(とにかく乗ってみたいよな……大型二輪)  そして、その性能を味わってみたいという期待感が芽生えていたのだった。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:36:53
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

~~~~~~Motorcycle Diary~~~~~~ #mor_cy_dar

2014-05-30 21:39:45
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「さてと、手続きはこれで終わりか……あっさりしたもんだな」  念のためにと用意してきた住民票は、すでに免許証があるならいらないと言われ、写真撮影機までしっかり完備されている。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:39:56
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 教習待ちのサロンには、フリードリンクコーナーがあり、係員の説明もやたらと丁寧で、まるでお客様になったような気分である。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:40:09
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

(いたれりつくせり、ってのはこういうことかな……)  教習コースにあふれる二輪車を、なぜか腕組み仁王立ちで見つめている亞璃須の背中をながめつつ、志智は思った。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:40:21
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

(でもまあ、教習所って結構経営とか厳しくて、ちょっと前にもこの辺りで一つ潰れたっていうもんな……印象よくしないといけないのかな)  そんなことを考えながら、所内を見て回っていた志智が、廊下の角を曲がったそのとき。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:40:32
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「……きゃっ!!」 「おっと」  胸元に重量感のある何かがぶつかった。志智はすぐにそれが人間の頭だということに気づく。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:40:45
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「いったぁ~!」 「悪いな、大丈夫か」  見下ろす先には、栗色の尻尾があった。  少女━━と言ってもぎりぎり通じるであろう、やや幼い顔立ちの女性が、額をおさえてぷるぷると震えている。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:40:59
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「い、いえっ、あたしも前を見てなかったですから……あっ」 「書類、落ちてるぜ」  足下に転がった数枚の紙を志智がひろうと、そこには顔写真や名前が記されている。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:41:09
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 志智自身も先ほど同じものを渡されたばかりだった。  この後のオリエンテーションが終わったら、教習所へあずけることになってる個人用のファイルである。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:42:02
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「す、すいませんっ」 「いや、別に。それじゃ」 「あ、あのっ!」  足早に立ち去ろうとする志智を、ポニーテールの女性はどこか切羽詰まった声で呼び止めた。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:42:48
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「その格好……えっと、あなたも二輪の教習ですかっ?」 「ああ、今日入ったばかりだけど……大型二輪だよ」 「わっ、それじゃあこれからオリエンテーションですよね?  あたしも大型二輪なんです!!」 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:43:08
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「へえ、そうなのか。じゃあ仲間ってわけだな」  志智はなんとなくそう口にしただけだった。特別な興味を目の前の彼女にもったわけでもなかった。  だが、栗色のポニーテールはやたらとうれしそうに揺れている。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:44:37
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「はいっ、おんなじ仲間ですねっ!  あたし、瀬尚玲矢(せなお れや)っていいます。よろしくお願いしますね!!」 「………………あ、ああ」  その笑顔は、疑問を差し挟む余地なく、快活で。健全で。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:45:31
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「俺は三鳥栖志智だ。よろしく……って言えばいいのか?」 「はいっ!!」  どこか志智にとっては、戸惑いをもたらすほどのまぶしさだった。 #mor_cy_dar

2014-05-30 21:45:51
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

~~~~~~Motorcycle Diary~~~~~~ #mor_cy_dar

2014-05-30 21:46:03