大飯原発差止め判決を読む

待望の原発稼動差止め判決。この判決は国民の声を代弁したもの。高らかに叫ぼう、原発再稼動反対!
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深草 徹 @tofuka01

5月27日、原子力学会が大飯判決批判の見解をプレスリリースした。批判の第一点は、事故原因が解明されていないとの指摘は事実誤認である、当学会が本年3月、最終報告書を取り纏め、直接の原因のみならず、根本原因まで明らかにしたと。たいした自信だが、原発推進のための原因解明ではノーだ。

2014-05-28 23:26:27
深草 徹 @tofuka01

原子力学会の判決批判の第二点は、ゼロリスクを求める考え方は科学技術に対する裁判所の判断としては不適切である、いかなる科学・技術も人間の環境に対してリスクをもたらすが、科学技術によってリスクを十分に低減させた上で、その恩恵とのバランスで社会はそのリスクを受容するべきだとのご託宣。

2014-05-28 23:27:18
深草 徹 @tofuka01

原子力学会の立場は、かって公害と経済との調和を求めた旧公害対策基本法の立場と同じだ。それは公害問題噴出の中で行われた1970年のいわゆる公害国会において、公害対策基本法から経済との調和条項を削除することにより克服された。リスクと恩恵との調和。40年前の死者の亡霊がよみがえった。

2014-05-28 23:28:44
深草 徹 @tofuka01

「ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められるべきである。」と判決は言う。原子力学会の言い分と比べるがよい。人間と社会を見る目の格調の高さが際立っている。

2014-05-28 23:30:28
深草 徹 @tofuka01

「このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を問わず、全ての法分野において、最高の価値を持つとされる以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である」と判決は言う。「原発維持、推進をよって立つべき解釈の指針とする原子力学会とは違うのだ。

2014-05-28 23:32:47
深草 徹 @tofuka01

原子力学会の批判の第三点は、原子力発電所のみ工学的安全対策を認めないという考え方は公平性を旨とする裁判所の判断としては不適切だとの被害者意識の表出。原発事故の深刻・重大性を指摘し、原発に求められる安全性、信頼性は極めて高度なものでなければならないとの判決の指摘を無視するものだ。

2014-05-28 23:34:33
深草 徹 @tofuka01

一部の学者、評論家、政治家らが、判決をあれこれ解釈し、批判をしている。しかし、彼らは原発こそが自分たちのポスト、名誉、利権、権益の源泉だからそうしているのだ。 「絶望の裁判所」にも微かな良心のともし火は残っていた。大飯判決に、多くの人が勇気づけられたように私も勇気づけられた。

2014-05-28 23:35:55
深草 徹 @tofuka01

大飯判決の真骨頂は福島の被害をしっかりと受け止めた点にある。「15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。」と述べる。

2014-05-30 00:01:08
深草 徹 @tofuka01

公害裁判は被害に始まり、被害に終わると言われる。原発事故災害は現代の最悪の公害である。大飯原発差止訴訟はこれを未然に防止するための裁判、原発事故による被害がどのようにとらえられるかがアルファでありオメガである。原告側がしっかり主張・立証し、裁判所は人間の心でこれを受け止めたのだ。

2014-05-30 00:04:22
深草 徹 @tofuka01

人格権は憲法上の権利(13条、25条)であり、中でも生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害に対しては、受忍限度を問うことなく差止めが認められること、これはごく常識的な法理だ。大飯判決も、勿論、そのような考え方に依拠している。大飯判決の特質はその先にある。

2014-05-30 00:05:16
深草 徹 @tofuka01

大飯判決は、原発に求められるべき安全性、信頼性は極めて高度なものでなければならない、万一の場合にも放射性物質の危険から国民を守るべく万全の措置がとられねければならない、と指摘し、放射性物質を放出する事故を招く具体的危険性が万が一でもあるかどうかが判断の対象とされるべきだと言う。

2014-05-30 00:06:17
深草 徹 @tofuka01

大飯判決は言う。福島原発事故の後においては、放射性物質を放出する事故を招く具体的危険性が万が一でもあるかどうかの判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる、と。裁判所はこうあって欲しいものだ。

2014-05-30 00:07:51
深草 徹 @tofuka01

たとえば航空機の離発着の騒音、新幹線の騒音・振動、道路供用によるは大気汚染物質、騒音、振動の差止め訴訟では、生命、健康を侵害する蓋然性(相当程度の確からしさ)の有無が判断対象だった。大飯判決は福島後の原発差止め訴訟は具体的危険性が万が一にもあるかどうかが判断対象だというわけだ。

2014-05-30 00:11:18
深草 徹 @tofuka01

大飯判決は、福島事故を素直に人間の心で捉えた。あんな事故が二度と発生してはならない、万が一にも発生する具体的危険性があれば、原発の稼動を認めないと、社会一般の通念の沿う判断をした。原子力学会、その他がこれを批判するのは福島事故を忘れたか、どうでもいいと考えていたかどちらかだろう。

2014-05-30 00:12:22
深草 徹 @tofuka01

原子力学会見解は40年前の死者の亡霊のごときものだが、もっとひどいのが産経新聞。「万が一のリスクについて多くが述べられながら、原発を稼働させないリスクについては、ことごとく一蹴した。『電気代の高い低い』は、多くの人や企業にとって死活問題そのものである。」。何とかにつける薬はない。

2014-05-30 00:13:55
深草 徹 @tofuka01

大飯判決の文中にこんな文章がある。「危険性を一定程度容認しないと社会の発展が妨げられるのではないかといった葛藤が生じることはない。原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分明らかになったといえる。」多くの国民の心をズバリ表現してくれた。

2014-05-31 00:35:39
深草 徹 @tofuka01

大飯原発3号機、4号機の運転によって、放射性物質を放出する事故を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められる。そうするのが福島後の裁判所に課せられた使命である。こうした崇高な使命を自らに課し、自らを奮い立たせ、樋口英明裁判長ら3名の裁判官は諄々と論を進めていく。

2014-05-31 00:36:55
深草 徹 @tofuka01

判決は言う。安全性に関しては、原子炉規正法により原子力規制委員会が新基準に基づいて専門技術的審査をすることになっているが、具体的危険性が万が一にでも発生するおそれがあるかどうかの判断はそれとは無関係である。これは高度の専門技術的な知識、知見を要するものではない。確かにそうだ。

2014-05-31 00:37:47
深草 徹 @tofuka01

判決は大飯原発を襲うことがあり得る地震を検討する。被告も手の施しようがないことを認める1260ガルを超える地震も起こり得る。基準地振動700ガルを超える1260ガルまでの地震ではどうなるか、700ガル未満の地震の場合はどうなるか、順次、冷却不全に陥る可能性を認定していく。

2014-05-31 00:38:43
深草 徹 @tofuka01

福島第一では、4号機の使用済燃料プールから放射性物質が大量放出される具体的危険性があった。斑目原子力安全委員長は、強制移転、避難区域が250キロ圏まで及ぶ事を想定、気も動転するばかりであった。そうならなかったのは偶然がもたらした幸運だった。大飯でも同様の危険性があると判決は認定。

2014-05-31 00:42:04
深草 徹 @tofuka01

かくして万一の具体的危険性は幾重にも認められた。最後は、被告が原発停止⇒円安で高止まりした石油を輸入⇒貿易赤字で国富の流出と恫喝したが、「豊かに国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富」であり「これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失」と微動もしなかった。

2014-05-31 00:43:12