そんな千鶴と想いを通わせてから、もうすぐ6ヵ月になる。 先ほどの2人ではないが、気持ちを伝えるための媒体があっても良いものだなと、夜道を進みながら思うのだった。
2014-05-31 19:33:48❀˚˟.‧*✿˚˟.‧*❀˚˟.‧*✿˚˟.‧*❀˚˟.‧*✿˚˟.‧*❀˚˟.‧*
5 学校に通うよりも、近藤さんの剣術道場に通う方が面白い。 学校なんて行かなくてもいいと思う、と近藤さんに言うと、 近藤さんは、学校生活でしか学べないことがある、それを学ぶことも精神の鍛錬だと言う。
2014-06-04 22:46:56同じ高校に通っている同門の一くんは2年生で、仲は悪くないけど、一緒に楽しくっていう感じじゃない。 同じく2年生で同門の平助は、端から見ても充実した毎日を送っている。
2014-06-04 22:47:28僕が3年生になると、平助の友だちの千鶴ちゃんが入学してきて、 僕たち4人はなんとなく一緒に過ごす時間が増えていった。
2014-06-04 22:47:45千鶴ちゃんはいつの間にか一くんに恋をして、 一くんも千鶴ちゃんのことが好きだったのに、 4人の時間を大切にしようとしていた。
2014-06-04 22:55:292人の時間も、大事にしていいんだよって、僕が先輩風を吹かせた結果、 やっと2人は初な交際を始めた。 一応、一くんも男らしいところは見せてるみたいだけど。
2014-06-04 22:55:54僕が、付き合っている2人に声をかけるのを躊躇しないのは、 一くんも、千鶴ちゃんも、嫌な顔をしないから。 ともすれば4人の時間モードになっちゃうんだから、 気を利かせてあげないといけないのは先輩の僕の役目だと心得ている。
2014-06-04 22:58:03「おはようございます、沖田先輩」 「おはようー。夏服にしたんだね。可愛いよ」 真っ白いシャツの襟をくぐらせた幅の広い赤いリボン、ちょっと短めのスカートに、 一くんがどんな気持ちでいるのかは想像に難くない。
2014-06-04 22:58:33僕も、一くんもまだ長袖のシャツだから、千鶴ちゃんの姿がとても新鮮だった。 「総司、また忘れたのか」 一くんが僕の胸にあるべきものを探して言う。
2014-06-04 22:58:56「だって首が絞められる感じが気持ち悪いんだ」 「長袖を着る限り、着用は必須。いやなら半袖にして来るのだな」 一くんは鞄の中からしゅるっと真っ青なタイを取り出して、僕の手に載せた。
2014-06-04 22:59:26一くんて、時々お母さんみたい。 「はいはい、わかったよ」 僕が渋々タイを結んだのを見届けた一くんの満足そうな顔。
2014-06-04 22:59:45「おはよー!」 後ろから元気な声が飛んでくる。 振り向かなくても皆誰だかわかるんだけど、 なぜかそっちに顔を向けてしまいたくなるのが、平助の不思議な魅力だ。
2014-06-04 23:00:40軽い駆け足で僕たちと合流するや否や、挨拶も適当に、 平助は一くんに宿題の助けを求めている。 「あの、沖田先輩」 小さな声で呼ばれ、くいっと袖を引っ張られた。 「ん?なあに」
2014-06-04 23:01:28「ちょっと相談したいことがあるんですけど、お昼休みにお伺いしてもいいですか?」 「いいよ。じゃあどこにいるか、メールするね」 千鶴ちゃんはこくっと頷いて、安堵したように見えた。 僕らは校門を抜けると、それぞれのクラスへと入っていく。
2014-06-04 23:01:52❀˚˟.‧*✿˚˟.‧*❀˚˟.‧*✿˚˟.‧*❀˚˟.‧*✿˚˟.‧*❀˚˟.‧*
6 昼飯をがっつり食うと、午後の授業で眠ってしまうという理由で、 食べ盛りの高校2年生なのに、オレの昼はパン(…3個)と、手に持ってる残ったコーヒー牛乳だけ。
2014-06-05 19:37:21最近居眠りばかりしていて、よく先生に怒られるから、オレも考えてのことだ。 いつもは一くんのところに千鶴が来て、一緒に食べてるってイメージがあったんだけど、 今日は一くん、午後の授業の準備に当てられていて、2人は一緒じゃなかったらしい。
2014-06-05 19:38:32オレは総司と遊ぶつもりで、総司がよく寝ている屋上に行ってみることにした。 猫みたいに日向ぼっこしながら昼寝をして、 午後の授業に遅れるなんてよくある漫画みてえなことを、本当にするのが総司だ。
2014-06-05 19:39:04案の定、屋上に総司を見つけたんだけど、意外なことに千鶴も一緒だった。 オレは一くんが用事を持ってるから、千鶴が総司のところに来ているんだと思って、何の構えもなく近づいた。
2014-06-05 19:39:23