悪い男に騙される山城【解】『HAruna's waRD』真最終章其の終宴『悪い男の勝手を許さない者達』Dパート-三位一体-
こちらのやり取りをよそに、両腕を刀身ごと真上に弾かれ、隙だらけの体勢にさせられた日向が羽黒さんの肩越しに見えた。 聞こえた声は暢気そのもので、切迫感の欠片も無い。 が。 数瞬後には日向は死ぬ。その未来は容易に予想できた。
2013-12-14 00:35:37無防備な日向の胴を狙っていた新月の肩が突然爆発する。 誰かの砲撃が、戦闘中の『鬼』の意識外になる程の距離から的確に命中させたのだった。 動きを止めてぐらりと傾く新月の身体に、落ち着いた動きで日向が真上に上げられたままの柄を握り直す。
2013-12-14 00:39:45躊躇の無い切っ先は咄嗟にガードした新月の腕に赤い線を引き、彼女が下がった後で線は派手に出血を呼び起こす。 刀に付いた血を振って払いながら、日向が『鬼』に向けて不敵に笑む。
2013-12-14 00:43:51自信満々な笑顔と声を張り上げ、利根が腰に当てていた手を私に向けて上げ、ピースサインを作る。 先程の精確な射撃を行ったのだろう、通常よりも長身な砲身を肩に担いでいる。 気付けば空を滑空しているのは最上さんの航空機だけではない。 索敵能力で彼女に勝てる者がいるわけがないのを思い出す。
2013-12-14 00:49:21新月が左右へと照準を合わせ辛い動きで利根の元へと向かい出す。 対する利根は、焦りどころか先の日向のように落ち着き払った挙動で砲を担ぎ直してスコープを覗く。 当てられるわけが…。 思った矢先に、新月の背中が無造作に爆裂する。 すぐ目の前で羽黒さんが構えた砲から薄く煙が上がっていた。
2013-12-14 00:54:04姿勢を崩した『鬼』へと既に距離を零にした日向が刀を振るう。避けて反撃しようとした腕が、利根の狙撃に新たな傷を増やす。 上げた顔に羽黒さんの放った弾丸が爆ぜ、逃げようとする道を日向が遮る。 遊ばれている。 尋常ならざる力を持つ『鬼』が、たった3人の連携の前に初めて膝を折る。
2013-12-14 00:59:08私は勝手に思い込んでいたのだ。 普通の艦娘では束になっても『鬼』には敵わないと。 そんなのは間違いだった。 彼女達は戦えている。力を合わせればできない事など無いと、行動でもって私に教えていた。
2013-12-14 01:01:15@harunas_ward そういう事だ榛名。『鬼』だろうと私達なら力を合わせれば戦える。自分一人で背負い込むな。 私達を頼るんだろう? 榛名が言い出した事だぞ。
2013-12-13 23:19:46一旦距離を置いた日向が私の肩に手を置き、私がずっと求めていた言葉をさらっと言って再び新月の元へと駆けていく。 連射のきかない重撃と狙撃が、交互に放たれ、時に合図も無く同時に行う事で新月の機動性を完全に封じていた。 凄い…!
2013-12-14 01:07:34@harunas_ward 数とたいみんぐが合えば、たとえ『鬼』であろうと、決して難敵とはならん!この勝負もらったぁ!
2013-12-14 01:03:45目に見えてダメージを抱え込んだ新月が、強引に日向から離れる。羽黒さんと利根の射線上に日向が当たる角度で明らかな『逃走』をする。 分が悪いと踏んだのだろう、反転する気配は見えない。
2013-12-14 01:11:27指示を聞かずとも、2人の仲間はすべき事を悟っているように。 たった3人しかいないというのに、恐れどころかむしろ楽しげであるかのように。 何も言えない私の肩を、最上さんの腕がそっと後ろから抱き留める。
2013-12-14 01:28:56いつの間にか追い付いていた他の艦隊が、利根の送る索敵範囲の元に攻撃を開始する。 日向が私と最上さんを見て一度ふっと笑い、すぐに表情を引き締めると刀を高く頭上に掲げた。
2013-12-14 01:33:16