艦これ✕鋼鉄の咆哮『摩天楼の光』

艦隊これくしょんの世界観に超兵器を放り込んだらどうなるか……?そんなことを考えながら書いた二次創作SSです。 (現在#1まで)
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碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

【これまでのあらすじ】 『超兵器』、未ダ死ナズ togetter.com/li/675378

2014-06-04 02:03:49
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「最近提督がおかしいんです。はっちゃんの遭難事故から、何だか時々遠くを見るみたいな目をしてて……」「そろそろボケてきたんじゃないか?あの爺さん」「あらぁ、天龍ちゃん。そんなこと言ってると他所の泊地に飛ばされちゃうわよぉ?」「お、俺は俺なりに提督を心配してだな……」 ----- 1

2014-06-04 02:07:21
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

私の艦名は、工作艦『明石』。艦娘として任務をこなすようになったのはごく最近のことだが、鎮守府が現在の体制となった当初から物資の管理等を行っている。多分その経験を買われているのだろう、最近は提督の秘書艦として働くことも多い。 2

2014-06-04 02:13:24
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

だが、数日前。四国沖海底の奇妙な構造物と『ノイズ』の報告を聞いて以来、提督は一人で考え事をする時間が増えた。提督ともなれば、誰にも相談できない悩みの1つや2つ、当然あるだろう。それでも、今回のそれは尋常ではなかった。 3

2014-06-04 02:18:20
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

そして今日。提督は私に、鎮守府の主力である艦娘を執務室へ呼んでくるよう命じた。私は提督が何かを決めたことを悟った。「私がまだ、駆逐艦に乗っていた頃の話だ」全員が集まると、提督は唐突にそう口にした。「駆逐艦……?」「乗る……?」「お盛んですねぇ」集められた艦娘達の反応は様々だ。 4

2014-06-04 02:20:44
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

当の駆逐艦(鎮守府の精鋭だ)は、大半が首を傾げている。あと怯える者、顔を赤らめている者が若干名。「……変な想像をするな。船の駆逐艦だ。艦娘じゃない」「なーんだ、ケンペイ天狗=サンを呼ばなくても良くなったっぽい?」と夕立。「何だ、その軍法会議より嫌そうな存在は」閑話休題。 5

2014-06-04 02:22:44
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

完全なる余談だが、ケンペイ天狗とは悪逆提督に誅を下すと艦娘達の間で噂される、都市伝説めいた存在である。 6

2014-06-04 02:24:24
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「話が逸れた。艦娘が生まれるよりも、深海棲艦が攻めてくるよりももっと昔の話だ。私の乗る駆逐艦は航海中、嵐に遭遇した。他の艦と逸れ、奇妙なノイズで通信もつながらず、嵐が晴れると異世界に居た」提督が切り出した『本題』は、あまりにも突飛な話だった。 7

2014-06-04 02:26:26
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

聞いている艦娘達の様子も、『提督は自分たちを誂っているのだろうか』『それともとうとうボケが始まったのか』といった塩梅に変わり始めている。「そこには、超兵器と呼ばれるバケモノみたいな船が居てな。無茶苦茶速い巡洋戦艦とか、恐ろしくでかい潜水艦とか、UFOとか」 8

2014-06-04 02:27:38
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「はぁ……」話が進むに連れ、ほぼ全員が『何を言っているのだろうこの可哀想な老人は』というような顔になっていった。「……提督も、少し修理したほうが良いみたいですね」私も思わずそう口にする。半ば口癖みたいなものだが、今言わずに何時言うのか。 9

2014-06-04 02:30:11
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

だが、何事にも例外は居る。「すごい……」駆逐艦の一人、島風だ。「ねぇ、提督。その巡洋戦艦って、どれぐらい速いの?」彼女は目をキラキラさせながら提督に尋ねる。「ああ、島風より早い。……確か、80ktだったか」「お゛うっ」時速にして150km。飛行機でもあるまいし。 10

2014-06-04 02:32:07
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

しかし、島風を切欠に『取り敢えず詳しい話を聞いておこう』『提督を修理に送るのはそれからでも遅くない』という暗黙の合意は形成されたようだ。「提督はそれと戦ったのですか?」私は戸惑いながらも尋ねる。もしかすると、これは数日前の『巨艦』に関する話と繋がるのだろか? 11

2014-06-04 02:35:51
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「直接は戦ってない。向こうの世界の、『超兵器』と戦う連中も、バケモノみたいな艦を持っててな。『転移艦』なんて呼ばれて、結局、戦いを眺めてただけだった」そして対超兵器部隊とやらが、『超兵器』の親玉と最後の戦いのために北極海へと赴いて。 12

2014-06-04 02:43:33
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

強力な『ノイズ』が晴れ、勝利の歓声が世界へ届くのとほぼ同時に、提督達は艦ごと元の世界へ帰ってきたのだという。……全くもって理解の及ばない話だった。超兵器も、それを倒す艦も。ただ、それらの与太話が、まるで全貌の見えないパズルのピースのように組み合わさって行くのが不気味だった。 13

2014-06-04 02:50:19
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

それから提督は、向こうの世界で見たという様々な超装備についても話し始めたが、アヒル型の戦艦と甲板にビームを出す猫を飼う話をしはじめた時は、いよいよもってクレーンで殴り飛ばしたくなった。 ------ 14

2014-06-04 02:52:14
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

部屋に集まった彼女達は、案の定ぽかんとした顔でこちらに注目していた。多分、私のこともボケ始めたとかそういうことを考えているに違いあるまい。……だが本当の本題はここからだ。それに私自身、今までの話をいきなり信じて貰えるとは思っていない。しかし、話したのには無論理由がある。 15

2014-06-04 02:56:25
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

私は彼女達に命令することもできる。紙切れ一枚で、碌に事情も知らないまま彼女達を死地へ赴かせることができる。いや、寧ろそれが軍という組織の『当たり前』なのだ。だが、私はそうしたくなかった。それは何より、私が平行世界に飛ばされるなどという理不尽な目に遭ったからなのかもしれない。 16

2014-06-04 03:01:25
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「これを見てほしい」私は部屋を暗くし、数枚の画像を壁に投影した。一つは、数日前に得た海底データの原本だ。艦橋のような構造物と、巨大な船のような輪郭。それらがよりはっきりと現れている。そして、もう一つ。 17

2014-06-04 03:08:17
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

2つの信号を並べた図。「右が、最近長距離通信に混ざるようになったノイズ。……左は、昔、異世界に飛ばされた時のやつだ。機密指定のかかった記録を引っ張り出すのは、なかなか骨が折れたがな」2つの波形は瓜二つだ。艦娘たちの顔色がみるみる変わっていく。 18

2014-06-04 03:18:04
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

いや、内心未だ半信半疑……現実感が湧かない、といった辺りだろうか。「その……司令、このノイズの発生源は、もしかして」それまで黙っていた霧島が、おずおずと手を上げて聞く。「まぁ、十中八九『超兵器』だな」そう答えて、付け加えた。「しかもコイツはもう、起きている」 ------ 19

2014-06-04 03:20:50
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

艦これ✕鋼鉄の咆哮 二次創作『摩天楼の光』#3

2014-06-06 01:12:57
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

【これまでのあらすじ】 提督は己の過去を語り、運命の歯車は周り始める。 togetter.com/li/675378

2014-06-06 01:14:44
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

横須賀鎮守府 大会議室 「現在、巨艦について分かっていることを」大会議室には、鎮守府に所属する主力艦娘が集合していた。人数は前回よりも多い。目的は、あの『巨艦』に対する対策を会議することである。……やはりクラス会という感想が拭えない。艤装無しなのも原因だろうか。 1

2014-06-06 01:18:44
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「はい、提督。追加調査により、ノイズの発信源は、例の巨艦で確定しました。巨艦を以後、第一発見者伊8の命名に従い『ヴォルケンクラッツァー』と呼称します」明石が起立し、報告する。「ドイツ語で『摩天楼』か」と呟くBismarck。超兵器「らしい」ネーミングだ。 2

2014-06-06 01:24:42
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