「は? マスターってなんだにゅ? つーかお前が『魔法の騎士』かにゅ? ……ああ、だからプチ子がご主人様(マスター)なんだにゅ? そうだにゅ! お前を喚んでやったのはこのプチ子様だにゅ! だからさっさとプチ子の願いを叶えるにゅ!!」 「……うん?」
2014-06-14 02:02:18マスターの確認は、一応ながら完了した。マスターとのパスもしっかり通っている。……のは良いのだが、プラスアルファの言葉に違和感を覚えたアーチャーは首を傾げる。
2014-06-14 02:03:16「あー、えっと、うん、あんたが俺を喚んだマスターなのは分かった。契約もちゃんとできたしパスも通ってる。通ってるんだけど……あんた、魔術師?」
2014-06-14 02:04:14アーチャーの持つ疑問。聖杯戦争のマスターは、普通は魔術師だ。 魔術師であるならば、召喚の儀式は自分の工房か霊地で行うのが常識だろう。
2014-06-14 02:05:40しかし周りの状況を見るに、とても魔術師の工房には見えない。神秘を探求する魔術師の工房に、 こんな現代的な撮影機材が並べられているものだろうか? どこかの撮影所と言った印象を受ける。
2014-06-14 02:06:48そうは見えても本当は工房であったり、実は有用な霊地である可能性もあったが、多少なりとも魔術の心得のあるアーチャーには、この場所が霊脈と繋がっているようには感じられなかった。
2014-06-14 02:08:04極め付けに、先程のプラスアルファの言動だ。「マスターってなんだにゅ?」、だって? こいつは『マスター』が何であるかを知らないのではあるまいか?
2014-06-14 02:09:24いや、だがしかし自分が立っているのは確かに召喚の魔法陣の上。 魔術師でもない奴が適当に召喚の儀式を行って、召喚が成功したなんてそんな馬鹿な事が……。
2014-06-14 02:10:55「プチ子は魔術師なんかじゃないにゅ。聞いて驚くにゅ、プチ子はこれからスーパーアイドルになる女子高生アイドル、プチ子様なんだにゅ!!」 そんな馬鹿な事だった。今ふんぞり返っているこいつはなんて言った? 魔術師じゃない? 女子高生アイドル?
2014-06-14 02:12:15確かにマスターから供給される魔力量は微々たるものだ。 下級魔術師でも、もうちょっと魔力に余裕があるだろう。 つまりこいつは……。
2014-06-14 02:13:24「えーと、つまり、あんたは魔術師じゃなくて、聖杯戦争も知らないド素人って事でオーケー?」 「さっきっから何なんだにゅ!? プチ子は女子高生アイドルだって言ってるにゅ!! 魔術師でも聖杯なんちゃらでもないにゅ! なんか文句でもあんのかにゅ!?」 「大ありだよ!!」
2014-06-14 02:14:51アーチャーは頭を抱える。とんでもない外れマスターを引いてしまった。 こうなったらマスターを殺して他の魔術師と再契約も、と考えたが、そんな都合良く他の魔術師が見付かるだろうか?
2014-06-14 02:16:08アーチャーの持つ単独行動スキルはDランク。マスターを失っても半日程度ならば行動できる。逆に言えば、半日以内に新たなマスターを得られなければ魔力切れで消滅だ。 リスクとリターンを天秤に掛けた結果、まだこのまま契約を続けた方が有益だろうとアーチャーは判断した。
2014-06-14 02:19:01いきなりマスターを殺して、新たなマスターを見つけられずに消滅するなど笑い話にもならない。他魔術師を見付けてからマスター変えをしたって遅くはないだろう。
2014-06-14 02:21:18とんだ貧乏籤を引かされたものだが、嘆いた所でマスターが変わる訳で無し。まずは現状把握をさせるのが良いだろう。 現状も把握できてないマスターと共に戦うなど、これから聖杯戦争をするに当たって論外だ。そんな奴は足手纏い以外の何物でもない。 さて、何から教えたものやら。
2014-06-14 02:22:47「……よし! まずは確認だ。あんたは魔術師も聖杯戦争も知らない。それなのに俺の事を呼びだした。これは合ってるかな?」
2014-06-14 03:02:01「しつこい奴だにゅ。プチ子は魔術師じゃなくてアイドルだし、聖杯戦争なんてもんも知らないって何度も言わせるなにゅ! そしてお前を喚んだのは他でもないこのプチ子様だにゅ! これで満足かにゅ?」
2014-06-14 03:02:54「了解了解。それじゃあ最初の質問だ。なんで、俺を召喚出来たんだ? 話を聞く限り、何かを喚び出す意思はあったみたいだけど」
2014-06-14 03:03:34「『願いを叶えるおまじない』だにゅ。ホームページから魔法陣を印刷して、呪文を唱えると魔法の騎士が現れて願いを叶えてくれるんだにゅ! プチ子の願いはスーパーアイドルになってみんなから愛される億万長者になる事だにゅ! さあ、早くプチ子の願いを叶えるにゅ!」
2014-06-14 03:04:00「は? ホームページ? そこから召喚陣を……印刷?」 アーチャーは唖然とした。魔術は秘匿されるもの。それを、ホームページで公開しているだって? ありえない。それは魔術師としてありえない行為だと言わざるをえなかった。
2014-06-14 03:04:49そんな馬鹿のせいで魔術が漏洩し、あまつさえ偶然召喚の儀式が成功して俺が喚ばれたって言うのか? こんな事をしでかしてくれた魔術師(バカ)にはお礼に鉛玉を打ち込んでやりたい気分だ。 と、そこでアーチャーは気付く。本当に、馬鹿が魔術を漏洩させたのか?
2014-06-14 03:07:12