☆TOKYOポエケット参加記念☆同時多発ツイート連詩・雨唄組【雨に唄えば】#pw雨唄組
もう億年も雨の道を駅へと歩く、並木道には延々と立葵、いちばん高いところの花は決して開かないそれらと順に交わりながら出生に涙が出なくなった頃、371本目の立葵がいっとう上の花弁を緋色に駅へと差し延べる、億年ぶりの晴間、次の雨がお前を羽虫から守るまで私は駅へ去らない #pw雨唄組
2014-06-15 01:50:39雨よ どうか止まないで 僕を一人にしないで 涙を拭わせないで 傘なんていらない 焦がれていた僕を 洗い流す、その刻まで どうか止まないで、雨よ (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 01:50:57いらないものは 一つ一つ 脱ぎ捨てる。神様が零す雨だけを 待つ。あたしの魂を潤す、烈しい身勝手な雨が 降ればいい。名もない植物になりたい。雨に打たれた 細胞の記憶だけが 欲しい。(雨に唄えば)#pw雨唄組
2014-06-15 01:54:35ゼリーのような目をした胡乱な売人に高額な雨を売りつけられた。よく眠れますよ。という言葉を付し渡された雨は少年の頃、縫い目が擦り減るほど投げ合った軟球と等しい量感だったので俄かに心は躍った。雨は窓辺に良く似合ったが、ちっとも傘は開かず、夜は古い友人に宛てる手紙を書いた。#pw雨唄組
2014-06-15 01:59:57振り切れる暴力が雨の中に一本足で立ち竦む。私のもう一方の足を探して下さい。水溜りの波紋が所在を宛て処なく掻き消して、それは音を失うと同じことだった。欠損していく世界を埋めていく雨音がやがて子守唄になるならば、教えておくれよ。二度ベルを鳴らす理由を。 (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 07:54:55傘に足を生やした妖怪が目の前を通り過ぎて行った、水溜りの波紋が螺旋を組んだ世界の中を 足を下さい、須らくもらえるものだとばかり思っていた 失った足は溺死体で上がった、足のない傘ばかりの世界に食傷している魚どもよ あと何回ベルが必要ですか (雨に唄えば)#雨唄組
2014-06-15 08:14:12どうして世界を二択で埋めようとするんだい?無限に繰り返す音階が0から始まる音量と手をつなぐ。間には星の雨が降りしきる。けれどカササギを待つほど河は溢れてはいない。ひと足に飛び越えるとして、対岸の待ち人は何が好みかを知らないことに気付く。(雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 08:27:47雨の中 仲良しの2人は 手を繋ぐ。黄色いカッパに 包まれて、あらあら 手だけが 濡れている。雨の日も 愉しい。雨の日も ぽかぽか 地球が 唄う。 (雨に唄えば)#pw雨唄組
2014-06-15 02:12:28陽を迎えて、傘をたたむ 視えた光が身に沁みる 希望が来ると信じてた 涙が止まると信じてた 見え透いた虹はきっと嗤う 過ぎた雨はもういない 手を伸ばす希望もない それでも祈る、あの雲に 私の乞いが届くまで (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 02:13:33おちるのは一瞬 おちるのは一滴 粒たちが ムレムレ フルフル むふれる 無触れる むじゃない ある 有芽がふるう ああめがふる (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 02:25:48水のなか、声を遮って 聞こえるのは雨音ひとつ 傘を差したのは 濡れない為ではなく 距離を取りたいから 傘で囲まれた水牢 性の壁を切り裂いて 一人唄った、誰かへと (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 02:34:00雨の日に傘をさすのは 雨を避けるためでなく わたしだけの部屋をつくるため 傘の中のわたしは少し年を 失っています そして少し白いので 誰にも気付かれることもない わたしがこの世界の構成要素で ある以上雨はわたしの中から降っていてもおかしくはない (雨に唄えば)#pw雨唄組
2014-06-15 10:04:35濡れてしまえば どうということはないのに 窓に付いた水滴を叩いては どうにもならない世界を憂う ここから何が言えるのだろう ここで何を聞けるのだろう 唄うはずの 真っさらな五線譜でさえ 湿った空気にふやけてしまう 濡れないことなど 不可能だ (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 11:54:52広げた傘の色が どんどん変わっていく 新しい風が吹き いつもの雨音も聴こえる 数え出した傘の数に ひとりひとりの想いを読んだ 梅雨前線は必ず南からくる安心感 止まない雨はないけれど 雨音で育つことば 大切に傘をとじる (雨に唄えば)#pw雨唄組
2014-06-15 07:17:20つまり、やがて晴れる。そう言いたいのですね、あなたは。豪雨によって遅延している京浜東北線の車内。杖をついた老婆が口端から唾を飛ばしながら僕にそう発言しました。いや、別にあなたのことを言った訳じゃあないんですよ。ほら、窓外を見てください、空。ああ、虹のことだったのかい。#pw雨唄組
2014-06-15 02:37:04雨音があることが静寂さを引き立たせる。そんな夜に少年は眼をつぶり、自分の心音と雨音とを聴き比べてみようとする。 (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 02:37:23反響音に遮られた 真夜中の交差点 待ち人の名前すら 思い出せなくなった少女と 愛した人の名前しか 覚えていない少年 信号の光を乱反射して 泣き虫な世界を歌った ありきたりな物語を携えて 迫り来る明日と 失われる記憶との狭間で 濡れた頬を拭った (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 02:48:59雨粒は どうして落ちこまないか なんて 考えたりする部屋の中で 雨にキラキラ覆われるのは、なぜ?円いシミを見るたび わらう鯨が何とう跳ねたかなんて 水柱を聞き分けるより暗いのである。いっしょに 木琴でも叩いて 楽しんどくれ。 (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 03:01:59縁取りされた軌跡の上で うっかり海水と共に巻き上げらて しまった鯨が、海までの距離を測る ものの、あまりにも遠い記憶に項垂れて、くじら雲の準備を始めた くじらは幾ついてもいい 鯨は空には大きすぎる クジラは机の瓶の中 (雨に唄えば)#pw雨唄組
2014-06-15 07:30:52八畳分の雨色が 悠々と飛ぶのを見上げると 笑い顔にも泣き顔にも見えて 浮かんでみたくなる しがみつく場所のなさがまた 郷愁を呼ぶ 群れていてもひとりに見える雄大さに 太古のわたしを想う (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 08:01:26無声音の街に無言が降りしきる 声を持つものたちの声を奪って 声を持たないものたちに声を与える だから雨の街には言葉がなかった 紛れるならば 届かないならば 許されるだろうか 路地裏から空に透かした 祈りのような旋律を 見えない月だけが聞いていた (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 03:05:14活字中毒者は雨さえ読書の対象にする。上野恩賜公園を駈け抜けた驟雨に新聞書体を写植する。不吉だ。そう淡古印の声音で呟く。棚から崩れる書籍のようにカラスが翼を広げ飛んで行く。地面が濡れるたび行間は近接しやがて黒く塗りつぶされる。活字中毒者は読む物がなくなりやっと傘をさす。#pw雨唄組
2014-06-15 03:19:07上野公園の雨にうたれて、彼は機械を片手に一瞬を切り取る。駅を歩く彼女は今日も仕事の夢を見て目覚める。歩道橋を歩く人は熊猫はなぜ白黒なのかと思考し、傘を眺める女は水玉の神秘性に目覚める。いつも誰かが夢を見る。それは空から降る雨粒のせい。刻まれたコードは。(雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 08:28:02部屋ごと遮断された、傘の上を雨音が時間差で打つ日にしか開けない本 黒く塗り潰されるスピードが緩やかになる 行間を黒い影が彷徨いて、猛禽類の眼をしている 炙り出された行間が、ここだよと招き入れた先で、雨は消えている (雨に唄えば)#pw雨唄組
2014-06-15 07:45:44何処にも無い何故 TVが伝えた一週間 昇らず姿も見えず 水分の矢が放たれ 聞こえるのは潜み続けた声 ぬかるみに足を汚し 靴を汚し 代わりに下さい 祈りたくなる 止まなくても 叫び声のような打ち付ける音 羨ましい どうか起こして下さい 眠っている私を (雨に唄えば) #pw雨唄組
2014-06-15 04:30:42