#提督殿とあきつ君

Q3式 @q3s_f

「提督、今帰って来たよ。無事任務完了…どうしたんだい、床に座り込んで…？」 「…なあ、時雨。俺には、俺ごときには…身に余るものを貰ってしまったみたいなんだ。どうすれば良いかな…？」 「…詳しくは分からないけど、その人に誠実であることが大事なんじゃないかな」 #提督殿とあきつ君

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「誠実、か…多分、俺には難しい事だな…」 「提督でなくても、きっと誰にとっても難しい事だと思うよ。でも、それでも、最大限それに努める。それが大切な事、なんじゃないかな。そしたら、きっと相手にも伝わってくれると思うよ」 「…」 「…うん、提督、寝た方が良いよ」 #提督殿とあきつ君

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「…そうかもな」 「寝る事は悪い事じゃないと思うんだ。どんな事だって、立ち向かうにも考えるにも力が必要だから。それに、一度距離を置いてみると、もっと良い考えが浮かぶかもしれない。だから提督、ゆっくりお休み。今日だけは何もかもを忘れて、深い眠りに落ちるんだよ」 #提督殿とあきつ君

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「お休み。任務お疲れ様、時雨」 「お休み提督。ゆっくり休んでね」 「…雨が、降り始めたみたいだね。僕も寝ようかな」 #提督殿とあきつ君

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「おはようございます提督殿！」 「…お、おお。おはよう」 「おや、顔色がよろしくないでありますな。体調が優れないのでありますか？」 「…ああ、いや。大丈夫だ。少し寝不足なだけ、だな。多分」 #提督殿とあきつ君

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「なるほど、寝不足でありますか。それなら今夜、提督殿が眠れるまで自分が付き合ってさしあげるのであります」 「…い、いや。大丈夫だよ。気持ちはありがたいが、大丈夫だ。ああ」 「…そうでありますか。では、今日もお仕事頑張ろう、であります」 「…ああ、よろしく頼む」 #提督殿とあきつ君

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「…あいつ、本当に"いつも通り"だ…なんだよ、どう会話すりゃいいんだよ…」 #提督殿とあきつ君

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「じょうね～つの～あ～かいバ～ラ～そしてジェ～ラ～シィ～こいのは～な～さ～く～」 「…あきつ、その歌はなんていうか」 「なんでありますか提督殿」 「…いや、そう無垢にしか見えないキラキラした目で見つめられると何も言えない。続けてください」 「そうでありますか」 #提督殿とあきつ君

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「ちわーっす！提督元気かい？いやー今日も暑かったねぇ！」 「お疲れ涼風。そうは言いつつ元気だな」 「あったりまえさぁ！これくらいの暑さじゃあ、あたいはへこたれないよ？そりゃそうと、提督、今日の夜は大丈夫だよね？」 「ああ、五月雨の進水日パーティだな。行くよ」 #提督殿とあきつ君

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「そりゃよかった。くれぐれも残業とか、仕事のやり忘れとかは無しだかんねー？後は天災人災が起こんない事を、お天道さんと深海さんに祈るばかりだねぇ」 「少なくとも仕事は順調さ。あとは…何もなければ良いな」 「そだねぇ。ねえ、提督」 「ん？」 #提督殿とあきつ君

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「…絶対に来てよ？あの子を泣かせたら、あたい、承知しないからね？」 「…お、おう」 「…じゃ、また夜にねぇ！」 「…なんだよ、これ以上、何があるってんだい」 #提督殿とあきつ君

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「…提督殿。まだ起きていたのでありますか」 「おお、あきつか」 「…禁煙したのでは？」 「今日だけ一本くらいなら良いかなあ、と。天龍から貰ったんだ」 「そうでありますか。吸うのは結構でありますが、ご自身の健康には気を使ってほしいの」 「そうだあきつ、話がある」 #提督殿とあきつ君

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「…急に遮らないで欲しいであります。それで、話と言うのは何でありますか？」 「いや、昨日の返答だよ。何も言ってなかったからな」 「…あれは、その、独り言でありまして…」 「あれからよく考えたんだけどな。ある人に、相談にも乗ってもらった」 「…無視でありますか」 #提督殿とあきつ君

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「相談したら『誠実であれば良い』と言われた。お前は『普段通り過ごしてほしい』って言ってたな。だから今日一日中悩んだよ。誠実って何だ、普段通りって何だ、ってな。でも、全部無駄だった。さっき、ひょんなことから、答えを見つけたんだ」 「…どういう事でありますか？」 #提督殿とあきつ君

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「五月雨と涼風が教えてくれたんだ。本人たちにはそういう自覚は無いかもしれないが、俺にとっては二人が教えてくれたことだ。涼風は身体まで張ってくれた」 「…？…そういえば提督、頬が赤い…」 「俺はそもそも嘘がつけない人間だった。それに気が付いたんだよ」 #提督殿とあきつ君

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「どんなに頑張ったって俺は俺だ。俺以上になんてなれないし、俺は嘘がつけないから、俺を大きく見せたりカッコよく見せたり、そういうのも出来ないんだ。そう気が付いたら、ストン、と来たよ。『ああ、俺は俺のまま、良い意味で素直であれば良いんだろうな』って」 「……」 #提督殿とあきつ君

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「だから、今からいう事でも、多分俺は嘘がつけないから、率直に、思ったままの事を言う。あきつ、俺は、お前の事が…」 「…」 #提督殿とあきつ君

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　　 「俺は、お前の事が、大嫌いだ」 　　 #提督殿とあきつ君

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「…………」 「これが、多分、お前への、俺の正直な回答だ」 「……提督、殿」 「……なんだ」 「…………」 #提督殿とあきつ君

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「…それならば、自分も、答えを出さなければならないで、ありますな」 「…」 「自分は、提督殿もご存じの通り、嘘をつくのが、得意、であります。むしろ、自分は誤魔化す事や嘘をつく事しか出来なくて、正直であることとか、誠実であることとか、そう言う事が苦手であります」 #提督殿とあきつ君

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「だから。これから自分がいう事は、ひょっとしたら嘘なのかもしれないので、あります。自分でも、もう分からないのであります。嘘か、本当か、いいえ、きっと嘘、なのであります。自分のいう事は、多分全てが、嘘なのであります。提督殿。提督、殿。自分は、提督殿の事を…」 #提督殿とあきつ君

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　 「提督殿。自分は、綺麗さっぱり、提督殿の事を諦めます。提督殿の回答を聞いて、決心がついたのであります」 　　 #提督殿とあきつ君

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「……」 「……」 「……そうか」 「……はい、そうであります」 「……」 「……」 「……寝るか」 「……そうでありますな。明日は月曜日であります」 「……お休み、あきつ」 「……おやすみなさい、提督殿」 「……煙草、止められなくなりそうだな」 #提督殿とあきつ君

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「ぐーちょきぱーでーぐーちょきぱーでーなにつくろーなにつくろー右手はちょきでー左手はぐーでカごーうーカごーうー…うう、カ号が欲しいであります…」 「すまん。もう少し対潜哨戒に貸してやってくれ」 「それなら自分が行くでありますよ！」 「練度不足」 「ぐっ…」 #提督殿とあきつ君

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「最初はい～その次あ～」 「…？逆じゃないのか？」 「捷一は無しよっ、じゃんけんぽん！」 「ぽん！…って思わず手を出しちまったけど、何だその洒落にならない掛け声」 「かつての失敗を忘れない為の気合い注入用であります」 「重い、重すぎる…じゃんけんなのに…」 #提督殿とあきつ君