不知火に落ち度はない その3

@yamoto 氏の #不知火に落ち度はない をまとめました。 以下本家より抜粋 【不知火に落ち度はない】 続きを読む
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yamoto @yamoto

「……ふぅ。不知火を怒らせたんだもの。この程度ですまさないわ」 俺の上に馬乗りになる不知火。 口元の血を拭って──ってお前血出るまで噛んだのか。 その血をぺろりと舐める姿はMッ気があるひとなら垂涎の光景。 小さな身体に大きな暴力。 流石の不知火だ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 19:19:39
yamoto @yamoto

「答えて貰うわ」 「やだっていった……いたたたたた!」 やめろ、つねるのやめろ。 「質問1。あの時居たのは上司じゃなくて浜風」 「ノー」 がぶり。 また噛みやがった!? しかも腕取って指噛んでる! 千切れる千切れる! #不知火に落ち度はない

2014-07-07 19:28:02
yamoto @yamoto

しばらく噛んで飽きたのか、やっと指を放してくれる不知火。 きっちり歯形が付いていて、まるで指輪のようになっている。 しかも薬指ときたもんだ。 なんだこの罰ゲーム。 「本当のことを話して」 かちかちと歯を鳴らしている。 嘘と感じたら噛む気満点だ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 19:33:19
yamoto @yamoto

「……浜風と居た」 「知ってるわ。だって、髪の毛落ちてたもの」 マジで。 というか何故調べたし。 「司令、煙草を吸うでしょう? 掃除は誰がしてると思うの」 「あ……」 そうだったのかー。 毎回灰皿綺麗になってたと思ったけどー。 お前だったのかー。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 19:42:31
yamoto @yamoto

「そうでなくとも浜風の匂いがぷんぷんしたわ。あの子匂いがわかりやすいのよ」 「お前はドーベルマンか」 「司令の犬です」 微笑むな怖い。本気で言ってるなら飼い主に噛みつく宣言してんだぞお前。 「不知火を連れて行くはずの場所に連れて行ったの?」 「いや」 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 19:46:35
yamoto @yamoto

がぶり。 「痛えええええええええ!!」 3度噛みつかれた。 意地張って嘘つくはのよそう。 この俺の上にまたがってるミニチュアドーベルマン、本物以上にタチ悪いから。 普段の無愛想で冷徹な秘書艦どこいった。 カムバックちょいクール不知火。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 19:51:37
yamoto @yamoto

「いい加減にしないと、不知火も怒るわよ」 「とっくに怒ってるだろがお前」 ちゅるん、と指がはずれ血痕カッコカリ2本目完成。 後何本できるのかな、なんて考えたりする。 「司令。開き直りはいいけど、原因は貴方よ」 はい。何か知らんけど原因は俺みたい。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 19:56:25
yamoto @yamoto

「続きよ。繰り返すけど──」 「ああ。そうだ」 「嫌な想像は当たるものね。ラーメン屋かしら」 「なんでそこまで当てられるんだお前。つけてたのか?」 深々ため息をつく不知火。 「覚えてないのね。不知火に自慢げに良い店見つけたって言ってたのに」 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 20:13:32
yamoto @yamoto

「聞いても教えてくれそうになかったから調べたの。司令マッチを持って帰ってたから」 「え、持って帰ってた?」 「ポケットに入れて、煙草吸うのに使ってた」 ジト目に変わる。 おいおい。記憶力良すぎだろ不知火。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 20:17:15
yamoto @yamoto

「ネットで調べたら、一見さんお断りって書いてた。楽しみにしてたのに」 「あー。よく俺が誘うってわかったな……」 「何年司令と一緒にいると思ってるの」 頬を膨らませた。 おいおいどうする。 付き合い短くないはずなのに。 俺だけ不知火を知らない感じに。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 20:20:58
yamoto @yamoto

「もういいわ。それで司令?」 「なんですかね、不知火さんや」 「あの時謝ったというのなら甘いわ。これから不知火に何をしてくれるの?」 「な、何を?」 不知火の目が細り、顔が近づく。 「埋め合わせ。先に浜風を連れて行ったのならもういいわ」 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 20:31:57
yamoto @yamoto

「その分、あの子が行ったことのない場所に連れて行って」 「いや、そうポンポン出てくるかよ」 ぎゅっ 「おい、つねるな」 「どこでもいい。普通のお店でもいいわ」 「良い店に連れてけ、じゃないんだな」 「そんなの、求めてません」 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 20:35:25
yamoto @yamoto

今までこういう我が儘を見せてなかったとはいえ、女の豹変は恐ろしい。 世の中みんなこうなのか。俺にまたがって文句をいう女ばかりなのか。 「……居酒屋とかか」 「だめ。そんなところは嫌」 「好みが厳しいな。なんでもいいくせに」 「一緒に行けるところよ」 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 20:41:16
yamoto @yamoto

ああもう、この我が儘娘が。今すぐ突き倒して尻叩くぞ。 しばらく椅子に座れなくいぐらいに。 「じゃ、またドライブに連れてってやるよ」 「それだけじゃ足りないわ……そうね」 くす、と不知火が笑う。 「服のお買い物に付き合ってくれるなら、考える」 鬼か。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 20:47:16
yamoto @yamoto

「ああもう、わかった。それでいいんだな」 「それでいいんだな?」 「それでいいですかお嬢様」 「司令」 不知火が顔を近づける。 「今度はちゃんと約束を守ってくださいね」 ぺろりと。 頬を舐められる。 ああ。よかった。 やっと満足してくれたらしい。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 20:59:57
yamoto @yamoto

そうしてその後は、冷静さを取り戻した不知火の出番。 散らかした部屋を片付け、割れたガラスを掃除し、机を元に戻した。 割れてしまった窓ガラスはひとまずテープで留めて補修完了。 数分とはいかないが、かなりのペースで部屋の復元を完了させた。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 21:02:42
yamoto @yamoto

「お前が怒ってたのって、約束を破られたからか」 「司令はいくつも約束し、立て続けに破りました。不知火だってそこまでされれば怒ります」 可愛らしいモーション一つなく、淡々と答える不知火。 そりゃま、そうか。 そこまでされれば俺も怒るかもしれん。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 21:06:15
yamoto @yamoto

「しかし酒……どうすっかな」 「その時一緒に買いましょう」 へ? てっきりお前は知らないって言うと思ったが。 「割ったのは不知火の落ち度ですし、それに」 ──司令と一緒に行けるなら、不知火はどこでも満足です。 そんなことを微笑んで言った。

2014-07-09 03:32:39
yamoto @yamoto

ったく。 そう言われてしまっては、素直に頷かざるを得ないじゃないか。 ほんっと、お前は良くできた部下だよ。 そうして、俺の首と指に傷跡を残して、不知火の大暴れは収まった。 また休みを合わせて行くことになるんだろうか。 背中がむずがゆくなってきた。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 21:12:55
yamoto @yamoto

なお、後日俺の首の噛み痕を見て、浜風が何事かと思いあれこれ聞いてくるのだがそれはそのとき話そう。 今回の騒動はこんな所だ。 自分の部下の約束を軽々しく破ってはいけない。 そんな教訓が残る1日だった。 #不知火に落ち度はない

2014-07-07 21:14:40
yamoto @yamoto

その日はずっと夜の間ずっと掃除ばかり。 でも司令が居れば不知火は充分で。 空は晴れてくれなかったけど。 そんな一時を過ごせたこと、幸運に思う。 そろそろ司令室に灰皿を戻してあげよう。 ふらふら吸い寄せられてしまわないように。 #不知火に落ち度はない #おまけ

2014-07-07 21:24:01
yamoto @yamoto

「どこでも連れて行ってくれる……って言いましたよね?」 「ん。ああ」 「ホテル……とか?」 「………」 雨音と車のエンジン音がやけにはっきり聞こえる。 どうしよう、これ。 「どこでもって、言いましたよね?」 「繰り返すな、聞こえてる」 #ボルネオ直行便 #ボツネタ

2014-07-08 04:24:48
yamoto @yamoto

「今日は私、悪い子です」 「明日から良い子になるつってたもんな」 エアコンが効いてない。 熱っぽい声が聞こえる。 「だから、連れてってください」 浜風の指が、シフトレバーを握る俺の手に重ねられる。 「今日一日だけの思い出を……下さい」 #ボルネオ直行便 #ボツネタ

2014-07-08 04:32:40
yamoto @yamoto

ボルネオ直行便がお送りしました。(美味しいシーンカット) #ボルネオ直行便 #ボツネタ

2014-07-08 04:33:03
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