【メモ】【銀ブラ語源】「#花子とアン」のせりふに民間語源説(=誤り)と国語辞典編纂者が苦言
- narniancat
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昨日の花アンで「銀ブラは銀座でブラジル珈琲を飲むことなのかー」という感心に対し「ちがうよ銀座でブラブラが正しいんだよ」という意見があり、どちらにしろみわさんが「という説もあります」って言葉をぼやかした意味がないな…
2014-07-08 08:16:38銀ブラって、銀座でブラジルコーヒーを飲むことなんだーって思ってWikipedia調べてたら、 銀ブラ→銀座でブラジルコーヒーを飲むこと 銀ぶら→銀座でぶらぶらすること とも捉えられる記述があってなんじゃこれってなった goo.gl/oXElH4
2014-07-07 08:27:21「銀ブラ」とは銀座をブラつくことではなく銀座で「ブラジルコーヒー」を飲むことだ…と言っていたけど本当かなぁ? 世の中には「秋葉ブラ」って言葉さえあるんだぜ? #花子とアン
2014-07-07 22:13:28ググって見つけたこのAllAboutの記事も文献内容をきちんと説明してないのにブラジルコーヒー説を強く推してるね。ちょっといい加減な感じ。:「銀ブラの語源は、銀座をブラブラではない!? [散歩] All About」 allabout.co.jp/gm/gc/214927/
2014-07-07 22:56:52銀ブラは 銀座で ぶらぶら が 正解なのか。銀座でコーヒーは間違いなんだけど それを花子は正しいと思ってた 現実と フィクションの ねじれを感じる
2014-07-07 22:58:33今日の「花子とアン」で、行きつけのカフェが実はパウリスタのことだと正式に判明w銀ブラは「銀座ブラブラ」でなく「銀座でブラジル珈琲」というくだり、爆笑した。最初から看板のデザインでパウリスタのことだとは思っていたのだけど。
2014-07-07 23:26:17銀ブラって言葉の由来もハッキリしてるであろう時代を描いていながら主役と妹が自信ありげにバッテンマーク作って、終いには「という説もある」ってナレーションしてるの観て誰が納得すんの?なんなんだあれ。
2014-07-08 00:50:40@ama2k46 こっちは「「銀座をぶらぶら」は誤りで、ブラジルコーヒー説がほんと」というのを信じちゃってました。「銀ブラ コーヒー」で検索すると、たぶんその説を広めたお店のサイトが、まっさきに出てくると思います。
2014-07-08 02:21:04少なくとも、銀ブラの語源は、銀座をブラブラではない!? (allabout.co.jp/gm/gc/214927/ ) で根拠に挙げられている水島爾保布(におう)が書いた『新東京繁昌記』には、「銀ぶら」が「銀座でブラジルコーヒーを飲む」ことだとは書かれていない。 @IIMA_Hiroaki
2014-07-08 05:26:54「銀ブラの語源が「銀座でブラジルコーヒー」」説、気になったので確認してみたけど、HPで典拠とされる水島爾保布『新東京繁盛記』では明らかに「散歩」という文脈で用いられている…。ちなみに水島以前の『あたらしい言葉の字引』(1918)でも、「銀ブラ 銀座の街をぶらつくこと」という定義。
2014-07-07 13:10:28以下はまとめ主による追記です:
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【追記1】
鎌倉のカフェサンスーシのサイトでは、大正期に「銀ブラ」という言葉を使っていた慶應の文学部の学生達のニュアンスがよくわかる池田弥三郎氏の『銀座点描』の記述を詳しく紹介したうえで、以下のように厳しく糾弾しておられます:
■『銀ブラ』の語源(平成の偽装商法とマスコミ)
> 震源地は、日東珈琲が昭和45年に立ち上げた「カフェーパウリス」、その宣伝文句の新奇性にマスコミ各社が飛びついて流布したものであり、真相と呼ぶのも憚られるお粗末なものです。
> また、新聞やテレビ等マスコミ各社が、挙って宣伝の片棒を担ぐという安直な報道姿勢にも問題があります。
<<鎌倉 カフェサンスーシ>>
http://sanssouci.cafe.coocan.jp/sansui- ginburagisou1401.htm
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【追記2】
日本のコーヒー文化に詳しい星田宏司氏(季刊雑誌『珈琲と文化』編集長)と岡本秀徳氏(カフェサンスーシの方)は「銀ブラ」コーヒー語源説の流布を憂慮してとうとう
『「銀ブラ」の語源を正すーカフエーパウリスタと「銀ブラ」』
http://www.amazon.co.jp/dp/4434184342/
を著し、「トリックを駆使して創られた平成年製の「『銀ブラ』の語源」」、「語源といえる実態を備えていない、平成の造語」ときびしく指摘し、これを鵜吞みにする「不勉強なマスコミとマスコミ人」を糾弾しています。
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この本を検証した人のブログがありました。「ガセネタ」とばっさり^^
■銀ブラに関するガセネタが広まっています
> ...この長谷川さんというのは、カフェパウリスタの経営会社である日東珈琲の元社長です。...当時、慶應大学の学生たちが銀座のカフェパウリスタによく来ていたって逸話を書いてるうちに、銀ブラは銀座でブラジルコーヒーを飲むって意味だったのかもね~、みたいな独自説を披露したところ、それがテレビなどでおもしろおかしく取りあげられて、いつのまにか事実であるかのように広まってしまったようなんです。...
<<反社会学講座ブログ>> 2014/07/10 09:16
http://pmazzarino.blog.fc2.com/blog-entry-136.html
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【追記3】
■ブラジルコーヒー説をめぐる年表(適宜加筆中)
1923年(大正12年)
関東大震災。この後、パウリスタは喫茶店経営から撤退する。
1924年(大正13年)
水島爾保布は『新東京繁昌記』(日本評論社 1924/大正13年)で語源に言及(しかしコーヒー説は見当たらない):
>「『銀ぶら』といふ言葉は、其最初三田の學生の間で唱へられたものだともいふし、また玄文社の某君の偶語に出たものだともいふ」『新東京繁昌記』21頁
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/972120/25
1927年(昭和2年)
松崎天民『銀座』(銀ぶらガイド社 1927)にパウリスタへの言及無し。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1171049/83
久保田 万太郎(1889年 - 1963年)が「カフェエ、パウリスタ」に言及 『よしや わざくれ』青蛙房(せいあぼう) 昭和35年/1960年(しかしコーヒー説は見当たらない)
>カフェエ、パウリスタは、そうした色も匂もない、生野暮な、みるから、堅気々々した店だった。
>後に、教室で、岩村透さんにパウリスタの珈琲はあれは、つまり番茶だと聞いて、そうしたものかと思った。" と、また、カフェエ、プランタンとカフェエ、パウリスタについてしるしたことがあるが
>珈琲一杯五銭という相場の、そのころにあっても、破格だったことは、"東京で安いもの、時事新報の月給と、新森道の帽子と、パウリスタの珈琲"と口さがなくいわれたのに徴してもわかる。
http://books.google.co.jp/books?hl=ja&id=IetHAAAAMAAJ&focus=searchwithinvolume&q=パウリスタ 珈琲
※久保田万太郎が銀ブラの語源についてコーヒー説を書いたと言ってる人、書籍名を教えてください。どこにも見当たらないので。
※野口孝一氏著『銀座物語』は (久保田もしくは池田弥三郎の文?)「われわれの銀座に出るといふことは、その店で三十分でも、1時間でもの時間をつぶすことだった。」という文章を紹介していますが、彼らがその店で時間をつぶすこと自体を「銀ブラ」と呼んだわけではないようです。
1942年:
社名を日東珈琲株式会社と改称。
1945/昭和20年、終戦
1963年/昭和38年
佐藤 春夫(1892年 - 1964年)『詩文半世紀』(読売新聞社 1963年/昭和38年)がパウリスタに言及(コーヒー説は見当たらないーそもそも佐藤はこの本で「銀ブラ」という言葉は使っていないのです)
>そのころ、銀座の時事新報者前、今の交詢社の向こう側にパウリスタというブラジルコーヒーを飲ませるカフェーができていた。また、それと相前後して金春通りにはプランタンというもっと高級な会員組織のがあって(中略)三田でも上級生たちは臨時会員とでもいうのか時時はプランタンへも出かけた様子だが我々は専らパウリスタ組であった。
>芝公園を出て新橋駅待合室経由パウリスタというのが我々の定期行路となっていた。時々は更に長駆してパウリスタから上野、浅草方面へまでのすこともあった。『詩文半世紀』30-33頁
1970年/昭和45年:
銀座に直営宣伝店としてカフェーパウリスタ銀座店を開店。 https://www.paulista.co.jp/introduce/history.html
平成以前、新聞や文献にブラジル説見当たらず。
1999年(平成11年)1月17日 (ウィキペディア[[銀ぶら#語源の異説]]によると)『産経新聞』第22面(東京面)「東京再発見 路線バスの旅」が取り上げる
2003年ごろ:
森まゆみ氏、カフェーパウリスタの長谷川泰三(当時社長)の発言として
>...久保田万太郎は銀'座'パウリスタに一杯5銭のブ'ラ'ジルコーヒーを飲みに行くことが「銀ブラ」の語源である、としています...
と紹介。『明治・大正を食べ歩く』2004年1月初版(『歴史街道』2002年2月号ー2003年4月号連載「明治・大正に出会う町」に加筆修正を加えたもの)
※ただし、久保田万太郎が「銀ブラ」の語源うんぬんと発言した文章は示されず。
2007年ごろ:
2007年 東京散歩 江戸下町歩き エイムック1350
>"銀ブラ"は 銀座でブラジルコーヒー!?
(町歩きのガイドブック形式でパウリスタを紹介)
2008年:
パウリスタの長谷川泰三氏が「ブラジル説」を含む著書を出版:
『カフエーパウリスタ物語』文園社 (2008/11)
2010-2013年ごろ
わぐりたかし氏(放送作家、語源ハンター、のちに大阪府立高校民間校長)が『ぶらり日本全国「語源遺産」の旅』で、長谷川泰三氏に取材してパウリスタと 「ブラジルコーヒー」の「ブラ」を紹介
>「銀ブラ」とは、「銀座を'」ではなく、「銀座ま'で'」ぶらぶらすることだった。(中略)さらに、「銀ブラ」の「ブラ」には、もう一つの意味が隠されていた。それは、「ブラジルコーヒー」の「ブラ」だった。(『ぷらり日本全国「語源遺産」の旅』より)
2013年05月03日
わぐりたかし氏がNHKテレビの「視点・論点」
「〝語源遺産〟の旅」でこう断言:
>みなさん、「銀ブラ」とは、銀座をブラブラすることだと思ってはいませんか? ところが調査によると、そもそも「銀ブラ」は、「銀座をブラブラすること」ではなく、「銀座までブラブラする」ことだったんです。「銀座を」ではなく「銀座まで」です。言葉の誕生は、大正4、5年頃のこと。
>ゴール地点は、文人たちのたまり場だった「カフェーパウリスタ」というブラジルコーヒーの店です。
>「銀ブラ」の「ブラ」には、「三田から銀座までブラブラ」という意味と、「銀座でブラジル珈琲」という2つの「ブラ」がかけあわされていたのです。
2013年12月
『三省堂国語辞典 第七版』(編纂:見坊豪紀・市川 孝・飛田良文・山崎 誠・飯間浩明・塩田雄大)が 「もと 銀座でブラジル コーヒーを飲むことだった」という説は、あやまり と明記。
2014年2月
飯間浩明氏が『三省堂の国語辞典のひみつ』(三省堂、2014)60-61ページでも「これはいわゆる民間語源説」「つまり誤り」と明記。
2014年3月
日本のコーヒー文化に詳しい星田宏司氏と岡本秀徳氏が『「銀ブラ」の語源を正すーカフエーパウリスタと「銀ブラ」』を著し、「トリックを駆使して創られた平成年製の「『銀ブラ』の語源」」、「語源といえる実態を備えていない、平成の造語」と指摘