おれとくめるへん(金赤ルート)

普ぼっとのめるへんもどき 自分で書いた設定を忘れないようにまとめたのです
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みつごう @imoxmiso

階段を登る靴音がぴたり、と扉の前で止みました おそろしいほどの沈黙が辺りを包みます 鬱ちゃんは静かに「かくれて」と汚ぎる君につぶやきました もしこの靴音がおすとであったならば、と最悪の状況が目に浮かびました 同じことを二度もおすとが赦すわけがないのです

2010-11-09 07:50:04
みつごう @imoxmiso

汚ぎる君は鬱ちゃんの必死な様子にとりあえず従いますが、なぜこんなにも怯えているのかはわかりません 柱の後ろに汚ぎる君が身を投じると同時に扉が重々しい音を立てて開きます その扉からちらりと見えた横顔は鬱ちゃんによく似た美しさを含んでいると汚ぎる君は感じました

2010-11-09 07:54:55
みつごう @imoxmiso

「おかあさん」と鬱ちゃんはまるで定められたように手を伸ばしました おすとは満足気ににっこりと笑いかけました 「いいこにしてた?」と問うおすとに必死にうんうんと頷く鬱ちゃんの表情は青ざめたものでした あかいろの唇はぎゅうと結ばれ、わずかに冷や汗が流れているように見えます

2010-11-09 08:00:21
みつごう @imoxmiso

「ふうん」とおすとがつぶやくのを聞いてやっと鬱ちゃんの表情が和らぎました おすとの怒りにはもう触れたくありません 昨日与えられた苦痛がフラッシュバックして鬱ちゃんは息ができないほどくるしくなります ああ、だいすきなおすと!と鬱ちゃんは全身でもって伝えたいと思いました

2010-11-09 08:08:03
みつごう @imoxmiso

「おかあさん、おれ…」と紡ぐ鬱ちゃんにおすとはひどくにこやかです 嵐の前の静けさとも感じられるそれは、ぞわぞわと鬱ちゃんを逆なでしました 「なあに?鬱ちゃん、ああ、おくすりがほしいの」とおすとはほほえみポケットから銀の紙に包まれたそれを取り出しました

2010-11-09 08:14:16
みつごう @imoxmiso

その瞬間です その包みを見てしまった瞬間、鬱ちゃんから理性はがらがらと崩壊し始めました 「あああ」と鬱ちゃんはあえぎます もうおすとのことなんか、なんだっていいからおくすりがほしいのです 思えばこれほど長時間おくすりを断たれたことなどなかったのです

2010-11-09 08:19:05
みつごう @imoxmiso

「ああ、かわいそうに」鉄格子をがしゃがしゃ揺らす鬱ちゃんをなだめるようにおすとが囁きます 汚ぎる君はこの状況がいまいちつかめないまま、それでもひとつの狂気が膨らんでいくのを感じていました この異常な母子の関係が非日常的であるのに枠にぴったりとはまっているようにも思うのです

2010-11-09 08:29:13
みつごう @imoxmiso

一見倒錯的にもとれるおすとと鬱ちゃんのそれが汚ぎる君に正常であるように見えたのは、鬱ちゃんがそれをみずから望んで受け入れていたからかもしれません 鬱ちゃんが何よりも望んだのはおすとからの無償の愛でした それ以外ならいつだって吐いて捨ててやるつもりだったのです

2010-11-09 08:50:38
みつごう @imoxmiso

鬱ちゃんがあうあう言うのを楽しそうに見つめるおすと 舌をつきだしておくすりを欲しがるようすは悲痛なのにおすとは嬉しくてうち震えるのです この子に自分以外に頼れる人間など存在してはならないのだとおすとは決めつけます だから簡単に逃げられないようおくすりで縛り付けたのです

2010-11-09 09:19:25
みつごう @imoxmiso

おすとはにたりと笑っておくすりを口に含み、鬱ちゃんにくちづけました 鉄格子越しのそれは非常にやりづらいものでしたが、鬱ちゃんが一生懸命に吸い付いてくるのでおすとは満足でした じゅう、と舌を吸われるのが心地よくて目を閉じると鬱ちゃんの伸ばしてきた手に頭を囚われました

2010-11-09 09:28:05
みつごう @imoxmiso

鬱ちゃんに髪の毛を引っ張られて甘んじるおすと 鬱ちゃんは鬱ちゃんでもうおくすりがほしくてしかたないから小さい子みたいにわんわん泣きながらおすとを貪るのです 口内を熱い舌で掻き回され、その実おすとの体温は変化がありません おすとは部屋に訪問者が居座っているととうに気付いていました

2010-11-09 09:46:07
みつごう @imoxmiso

@entzauberung そもそも鬱ちゃんがおすとに隠し事なんてできるわけがなかったのです 鬱ちゃんの吐いた嘘を見抜いたうえでおくすりを与えたのは、もっとひどいやり方で懲らしめるためでした おすとは唇を無理矢理引き離して鬱ちゃんに言いました 「鬱ちゃんのうそつき」

2010-11-09 09:51:50
みつごう @imoxmiso

口内はおすととおくすりの味で満たされ、うつろになっていた鬱ちゃんは一瞬聞こえた断罪の台詞にたじろぎ、そして絶望しました おかあさんが笑いながら鬱ちゃんの唇をなめ、端をがちりと噛みます おすとは真っ赤な血が流れるのを面白そうに見つめていました

2010-11-09 09:58:15
みつごう @imoxmiso

鬱ちゃんは「ごめんなさい」と叫ぶように言いましたが、おすとは黙って首をふるばかりです 鉄格子から離れて距離を取ろうとする鬱ちゃんを見つめながらそれは穏やかに鍵を外すおすと 錠前の落ちる音が響きました

2010-11-09 10:04:41
みつごう @imoxmiso

鉄格子の扉をがあんと蹴りつけておすとは鬱ちゃんに近付き、ひざまずきました 鬱ちゃんは背中が壁にぶつかるので、ああもう逃げ場はないのだと震えます 「かわいそうに怯えて…」するりとおすとは鬱ちゃんの頬をなでます

2010-11-09 20:25:33
みつごう @imoxmiso

「この眼がいけないのかな?」おすとは悲しそうにつぶやきました 「鬱ちゃんがおかあさん以外の人をすきになるなんて…」 その言葉を鬱ちゃんはちがうよそんなことあるはずないよって言いたいのに先程与えられたおくすりのせいで、もう何も言えません

2010-11-09 20:39:18
みつごう @imoxmiso

そうこうしているうちに鬱ちゃんはおすとが何か手に持っているのに気付きました 「や、やだ…」それはよくおすとが捕虜の拷問に使うものでした 黒く長く光るそれをただ眼につきいれるといった簡単なものです 「大丈夫、これはお前には必要なわけではないよ」

2010-11-09 20:56:47
みつごう @imoxmiso

「でもお前の返答次第ではどうなるか分からないけどね」おすとがほほえむのでこくこくと鬱ちゃんはうなずきました 汚ぎる君は咄嗟に飛び出し「やめろ!」と叫びます 手には持ってきたダガーがきらりと光っていました しかしおすとが振り向く必要などありませんでした

2010-11-09 21:07:12
みつごう @imoxmiso

「俺のおすと様になあに凶器むけてんの」と不機嫌そうな声とともにがちゃりと安全装置の外される音が響きました 銃器の冷えた感触が頭にごり、と突きつけられ首をつかまれたかと思うと同時に乱暴にひきずられました 同じ顔をした銀の髪と鋭い眼光が汚ぎる君を睨み付けました

2010-11-09 21:12:59
みつごう @imoxmiso

屑によって取り押さえられた汚ぎる君は腕をねじりあげられ、おすとの前に連れていかれました これで役者は舞台に揃ったというわけです おすとは平然とたたずみ、屑は屑らしくにやにやと笑い、鬱ちゃんはただ震えていました 汚ぎる君は「鬱ちゃんにひどいことをするな!」と叫びます

2010-11-10 00:23:13
みつごう @imoxmiso

そんな汚ぎる君にゆっくりと振り向いたおすとはしゃがみこんで視線を合わせます そうしてひとこと「おまえの両眼をえぐるか、鬱ちゃんの片眼をえぐるか…好きな方を選べ」とにっこり笑うのです 鬱ちゃんは呆然とおかあさんと汚ぎる君を見つめました

2010-11-10 00:31:37
みつごう @imoxmiso

おすとは汚ぎる君が鬱ちゃんを差し出すのを待っていました 差し出した瞬間、トカレフでもって銃殺したのち鉄塔から突き落とすつもりで問うたのです いままで自分の出会った捕虜達はいつだって我が身かわいさから仲間だって家族だって売るのを見てきたのです

2010-11-10 00:38:01
みつごう @imoxmiso

. @entzauberung @miyoco69 なんかえぐくなる多分…!ごめんなんだぜ……;;

2010-11-10 00:40:05
みつごう @imoxmiso

こいつだってその捕虜と変わらないただの人間でしかないと鬱ちゃんの目の前で証明してやるつもりでした いや、証明しなければならなかったのです 鬱ちゃんが自分以外にそんな関心や興味など持ってはいけないのです そんなことがあってたまるかとおすとはぎりりと唇を噛みました

2010-11-10 00:43:02
みつごう @imoxmiso

汚ぎる君はおすとの言葉をぼんやりとした様子で聞いていました そうして鬱ちゃんをじっと見つめると「それなら、俺の眼を奪えばいい」と答えました 汚ぎる君は鬱ちゃんのためなら何だって差し出す覚悟はとうにできていたのです 恐怖は一切感じていませんでした

2010-11-10 00:49:37