提督と艦娘達のカーニバル
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だが、どうにも自分が考えるほど、危ない人物ではないのだろうかと考え、ビスマルクが安堵するには十分な言葉であった。なら少し話してみるか、そう結論付けたビスマルクは叢雲の方に視線を向ける。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:20:07叢雲は不知火と何かゲームのような事をしていた、イヤホンを付けた不知火がテーブルに置かれたメモ帳に鉛筆で何かをメモし、叢雲はそれを見てる状態だ。 それを眺めていると、不知火の鉛筆が、ばきりと力強く折れた。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:23:24「……あのアマ、人の提督を犯そうだなんて……叢雲さん、どう思いますか?」イヤホンを外し、不知火が怒りを交えた声で、静かに言い放つ。その様子に何かがあったのか、とビスマルクは近づく。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:26:26「不知火、何かがあったのかしら?」 「ビッチさんは司令官を今晩中抱いてて下さい、以上」ビスマルクの問いを、不知火は切り捨てるように言い捨てた。「ちょっと、私は仲間外れと言う訳なの?」そして当然ビスマルクがその突き放した態度に機嫌を悪くする。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:28:25その光景に叢雲は、頭を抱え、苦い笑みを浮かべる。「あー……話した方が良いと思うわよ、ビスマルクさんに」「そうですか、では話しましょう。端的に説明すると九龍の女狐が司令官の体を狙って行動中、断固阻止をしなければならないと判断しました」 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:32:57不知火の言葉に、ビスマルクは混乱する。「えーと、どういう……?」「……うちの電が、氷室司令官とセックスする約束を交わして今飲み会の現場に居るのよ……ぶっちゃけちょっと暴走しすぎね。うちの『提督』も特に何も言わないもんだから……ああもう!」 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:35:52叢雲のフォローするかのような説明でビスマルクは納得した。つまり堂々と自分の司令官の前で、他の司令官を抱くという約束を交わしたのである。そして電はいわば間者のような艦娘、彼女に体を委ねたら、自分の機密情報を抜き取られる可能性が非常に高い。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:36:34更に言えばそれは九龍鎮守府にて提督の意思で行われる諜報行為でなく、彼女自身の独断暴走先行であるという事なのだ。「何の話してるっぽ……むぎゅ」そんな中、夕立が興味本位で入って来ようとして、後ろから服を捕まれる。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:37:22「今二つの鎮守府が取り込み中なの、夕立ちゃんはちょっとこっちで一緒に将棋でもしてるのね」それは浴衣を着た、たわわに実ったような胸、肉付きのいい太股が気崩した浴衣からちらりと覗ける艦娘、富田提督の伊19であった。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:40:17伊19はそのまま不知火達に笑顔を向けながら夕立を引きずり去る。多少の話は彼女の耳に入っていたが、あえて聞かなかったことにするという選択を選んだ。 「うー、アタシもこういう話に入ってみたかったのに……ダメっぽい?」 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:42:32夕立からすれば不知火も叢雲も友達である、友達が何かたくらみ事をしてたのなら、自分も入ってみたい、という事であった。「ダメなの」冷淡に伊19は言い捨て、奥の方まで夕立を引き摺って行く。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:45:04「何か、可愛そうな事しちゃったわね……」そう、叢雲はその様子を見て、口元に苦い笑みを浮かべながら言った。ビスマルクは叢雲のその表情に、まだ、彼女もヒトであったのだと認識する。「で、どのようにするつもりなのかしら?」 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:47:22「まぁ、当然待ち伏せ、だけどちょっと趣を凝らせた方がいいわよね……」「ええ、そちらの方が面白いかと……」 叢雲が、意地悪げに笑い、不知火も続いて意地悪げに笑った。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:48:00駆逐艦曙は九龍から来た陽炎と言う艦娘に引っ掛かりを覚えていた。彼女も旅行に来た一人ではあるのだが、自分たちとのかかわりを避けるかのように動いてるのだ。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:50:04風呂の時に一人だけ入らず、大部屋で遊んでいれば一人部屋の角で黒い表紙の、虐殺器官だの物々しいホラーのようなタイトルの小説を読む。その陽炎の様子にどこか病んだものを感じた曙は、興味を持って陽炎に近づこうとする。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:52:38現在陽炎は風呂場におり、踏みこめば話位は出来るだろう、だが、そこで入ってしまったら逆に怒られ、拒絶されるのではと曙は考えていた。なのでさり気なく、風呂場に続く通路の角で彼女が出てくるのを待つ事にする。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:55:07しかし、陽炎の風呂は長かった、余りの長さに、頭でも打ってしまったのではと不安になった所で陽炎が風呂場から出てきた。陽炎は曙が居た通路とは逆方向の道を進み、曙は自分が気づかれてないと感じ、そっと安堵し、そのまま尾行する。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 21:58:01階段を上がり、陽炎は主人である九龍鎮守府に所属する提督の部屋に入る、基本的に艦娘は提督と同じ部屋で泊まることになっており、これは宿泊費の節約も兼ねての事だ。こうなっては尾行も打ち切りかと曙は考えたが、まるで逃げようとする陽炎の行動に怒りを覚えていた。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 22:00:22曙もまた陽炎が入った部屋のドアを開ける、鍵はしておらずすんなりと開かれたドアの先は電気が消えた八畳ほどの畳の部屋で、そこに陽炎の姿はなかった。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 22:02:06「あれ?消えた……?」曙は電気を付け、きょろきょろとあたりを見回し、天井に張り付いてるのではないかと想像を巡らせ上を向くが、そこにも陽炎はいなかった。次の瞬間、夜の風が彼女の肌に当たり、彼女がベランダの方を向くと、窓が開かれていたことに気付く。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 22:05:34屋根の上にでも居るのだろうか、そう考えた曙はベランダまで足を進め、そして飛びあがって屋根の端に捕まり、屋根の上に何とか這い上る事に成功する。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 22:07:42「……え、あれ?」そこに居たのは、自分がやってきて驚いた陽炎だった。屋根に腰をかけ、片手の鉈で木材を削っている最中であった。彼女の顔が、月明かりに照らされ、どこか幻想的な、神秘的な雰囲気を醸し出していた。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 22:10:24「えっと、これは……」考えなしに追っかけてきて、目撃された、曙はどう説明すればいいのかわからず、口ごもる。 「……あまり近づかないでくれるなら、別に居てもいいわよ?近づいたら刺すけど」 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 22:12:54陽炎がその曙の様子を見て、ただ興味があったからやってきただけ、と解釈し、助け舟を出す。「ありがと……って!なんであたしがあんたに感謝してんのよ!?」曙が照れ隠しに怒声を出す、だが、陽炎はそんな様子に全く眼もくれず、鉈で木を彫る作業を再開させる。 #提督と艦娘達のカーニバル
2014-07-03 22:15:25