不知火に落ち度はない その7

yamoto @yamoto

「司令が嘘をつくからよ」 「ついてません」 ぶつん。 第二ボタンも弾けましたー。 やめておねがいやめて。 俺のマニュアルにこれ想定ないから。 肌色面積が上がる罰ゲームって、わりと史上初じゃね？ #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「だーもう、そういうのいかんと思うぞ俺！」 「嘘禁止で。居たんでしょう？」 はい。いました。 「なにしてたの？」 「訓練」 じと、と睨み上げられた。 「不自然すぎるわ」 「本人に聞け」 ホントこいつ嘘発見器か？ 正確に見抜いてくるぞ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「訓練以外のことは？」 「ないです」 沈黙２秒。 「本当に？」 「誓って」 沈黙５秒。 夏の空気が冷たいなあ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「……司令。浜風のことはどう思ってるの？」 「そこまで答えなきゃならんのか？」 目をそらす。 なんだかこうな。 むらむらと怒りが湧いてきましたよ？ お前がテリトリーに敏感ってのはわかるんですよ。 そういう性分だしな？ #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

痛くない腹を探られるというのは、なんともイライラするわけです、はい。 もうちょっとですね、この司令を信頼しろと言いますか。 いや昨日はかなーりヤバかったけどさ。 基本的に俺、基地の連中の円滑な関係を望んでるんですよ。 つまり何が言いたいかというと。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「ちょっと俺、怒るわ」 「え──」 えいやとまず、刃物の根本をそのまま手でキャッチ。 基本刃物は引いたり押したりしない限り、先端を除けばあんま切れません。 驚く不知火の前でぐるっとひねればすっぽり抜けます。 で、こんな刃物は即ぽいっちょ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

ドスッと、床に刃物が刺さる。 これで戦力の無力化お終い。 「さて不知火。武器はないぞ」 さっきまでの威勢はどこへやら。 目を見開いて、こちらの一挙動に焦る不知火が居る。 怯えるとも言う。 そりゃそーです。基本俺、お前に怒ることないですもん。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「さて、悪い子不知火。何か言うことはあるかね？」 「……っ な……ない」 ぷるぷる首を振ります不知火ちゃん。 はい１落ち度な。 「んなわきゃありません」 ぱーん。 不知火の身体が仰け反る。 小さな悲鳴も上がった。 掌でその尻を叩く俺司令です。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

この折檻は、痛みよりも羞恥や驚愕の方が大きい。 流石にしょうがないよなー。 普段お前は大変優秀であるからして、ここまでする必要はないんだから。 ちなみに黒潮には、お嫁に行けないレベルで尻たたきしてますよ？ 不知火がだけど。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「ひとーつ。司令室は基本共有空間です。誰か特定人物が来てはいけないルールはありません」 お前の仕事場ではあるけど、な。 「ふたーつ」 ぱーん。 不知火の口からひぅ！ という声が漏れて身体が仰け反ります。 加減はしてるけど、これ屈辱なんだよなー。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「浜風の何が気にくわないかさっぱりですが、お前あいつ嫌いすぎ。仲間でしょー？」 「不知火は──」 はい却下。 ぱーん、ぱーんと二度音がします。 「現状馴染めないから、俺が相手してるんだっつの。ハブられっぱだぞあいつ」 今日の訓練でもぼっちだし。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

痛みと屈辱に涙目でしがみつく不知火は大変新鮮ですが、その気持ちは一度棚へ。 「相性的に好きになれないならそれは結構。ただ、そこで痛くもない腹探りに来るのはどうなんだ？」 「で、でも…」 ぱぁん。 また身体が仰け反る。 何を心配してんだ、こいつ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「そしてみーっつ。これがぶっちゃけ一番最重要項目な？」 「……っ」 尻を一瞬掴んではなし、手を振り上げ。 「女の子がはしたない真似すんじゃありません」 パァン！！！ ここはちょっと感情籠もっちゃったりしたので、やや強めに。 「ひいいん！？」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「こんな中年の前で身体を武器にするとかアホですかお前は」 「ひぐっっ…！ ひっ！」 ぱんぱんと小さな尻を思い切り叩いてやる。 その度に身体が仰け反り、悲鳴が漏れる。 「中年ぼっちが性欲ないと思ったら大間違いだばかもん」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

はい。当然そういうこと絶対思わないようにはしてますが。 浜風のアレはいろいろ不味かったんで、俺もJK縁交しちゃう奴の気持ち、ちょっとわかっちゃったんですよ。 想像したくねー。こいつが他で同じ交渉始めちゃうとか。 必要ならやります、みたいな奴だからね。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

結果すけべ心を刺激されて以下略とかなったら、ちょっと俺冷静で居られそうにないですよ？ 今後ないように徹底的に教え込みましょう。尻で。 「分かったら返事」 「……っ」 首が左右に振られる。 Noとか。 俺は心を鬼にして再度尻に掌アタック。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「……ひっ ……ひぐっ」 「あー、すまん。ここまでやるつもりなかったんだけど」 やり過ぎたかもしれん。 首を強情に横に振りまくって、結局不知火は折れなかった。 結果泣き出すまで叩く羽目になってひっじょーに心苦しい。 なんだこの意地っぱり。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「わかりました俺が折れます。俺の前以外で、絶対はしたないことしないように」 「！！…っっ」 ぶんぶんぶんぶん。 首が思いっきり縦に振られる。 なにそれあっさり折れすぎ。 どんだけ俺をボルネオ送りにしたいのか。 不知火の本心は計り知れない。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「はい。じゃあ、お説教おしまい。ちゃっちゃと立って今日は休みなさい」 よいしょ、と持ち上げ立たせようとするが思いっきり服を捕まれた。 おいおい、何一体。何がしたいの。 「不知火？」 「……てないの」 は？ #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

ぼそぼそと、耳元でささやかれて俺の今日のやってしまったMVPが点灯。 ──叩かれすぎて、腰が抜けて動けない。 はい。嘘みたいだろ。 でも本人深刻なんだぜ？ こいつが弱味を語るなんてのはまずないんだからな。 あー、心から深く反省。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「ほい、あーん」 「……あーん」 そして現在。 俺の膝の上にひな鳥が一匹居ます。 名前は不知火って言います。 餌をせがむときは俺の袖を引っ張るんで、パウンドケーキを千切ってくれてやります。 指ごと食われそうな勢いがあるんで要注意です。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

なんでこんなことになってるかというと。 「司令の前でなら、はしたない真似はしていいのよね」 という華麗な言質を取られたからです。 いやそう言うつもりで言ったんじゃないんですけどね。 あと、尻を思い切り叩いたお詫びでもあります。 女の子、腰大事。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「今日だけだからな、いくらなんでもこんなこと」 ため息と共に吐き出しますが、上機嫌な不知火は聞いちゃくれません。 いっぺん泣かした後だからか、幼児化してませんかこいつ。 いや年相応といえば、相応なんでしょうけども。 「あーん」 「ほい、あーん」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

まあ、でもこれではこれで。 お詫びの条件が 『パウンドケーキを食べさせて』 というかわいい願いで割と安心したところはありますが。 あのメスゴリラみたく、 『お前を今から取って食う』 とか言われたらまた詰む羽目になりますから。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

手元の手紙を見ながら、餌をあげる愛鳥家ライフ。 そこのあなたも始めてみませんか？ なかなか気まずい空気が抜けなくて最高ですよ？ 「司令、招待状ですか？」 「ああ、同窓会のお知らせ」 俺の元上司をヨイショしにいく会ともいう。 #不知火に落ち度はない