#口ずさむ一節

「私たちはすこしずつ、孤独が、かつて私たちを恐れさせたような荒野でないことを知ったように思う」須賀敦子
5
syouko @Lacus_Temporis

しかし創造者は去って行くのだ。それでも音楽がすぐ耳から消えることはない。物語もすぐ消え去ることは許されない。運命の女神の弦は鳴りつづけているからだ。 ナボコフ『賜物』大津栄一郎訳 #口ずさむ一節

2014-07-17 02:13:31
syouko @Lacus_Temporis

それは、つめたい海の風が残していった塩の結晶で、空の星のまたたきに呼応するように、暗い水辺で弱い光を放ちながら、数知れない恍惚を演出して、あっというまに私を包みこみ、たましいが漂った。 須賀敦子『ユルスナールの靴』 #口ずさむ一節

2014-07-17 02:22:02
imany @Entbergen0426

いくつもの奇跡的な出会いが地の底の水脈でつながり、言葉と言葉を、人と人を艶やかな表面で結びつけ、誰も見たことのない深さに変貌させていくような瞬間に遭遇したとしたら、感謝をこめて、私はそれを「文学」と呼んでおきたい。 堀江敏幸『書かれる手』 #口ずさむ一節

2014-07-17 02:46:41
あんのうんくん @unknowntb140

神を探しています。司書はいった。神はクレメンティヌムの四十五万冊のなかの一冊のなかの一ページのなかの一字のなかにおられます。(ボルヘス「隠れた奇跡」) #口ずさむ一節

2014-07-17 16:35:02
もと @nn0to

私たちの間には、愛よりももっとよいもの、共犯性がある。 ユルスナール『火』多田智満子=訳 #口ずさむ一節

2014-07-17 19:40:53
もと @nn0to

そもそも盗むことなしに、盗む価値のあるものを手にすることができようか。 佐藤亜紀『鏡の影』 #口ずさむ一節

2014-07-17 19:43:56
もと @nn0to

読書の一時間は楽園から盗まれた時間だと、イスラム教徒がいうじゃありませんか。 ウォートン『サラマンダー―無限の書』宇佐川晶子=訳 #口ずさむ一節

2014-07-17 19:49:20
つぼ @hirootsubo

わたしのまなざしのなかに、わたしのしぐさのなかに、わたしが存在することの、ひとつひとつの震えのなかに<あなた>はいる。 ― マグダ・オランデール=ラフォン『四つの小さなパン切れ』高橋啓訳 #口ずさむ一節

2014-07-17 23:14:37
つぼ @hirootsubo

考えるとは、二分法で考えない、ということです。二分法からはじめない。それは読むことのはじまりです。 ― 長田弘『知恵の悲しみの時代』 #口ずさむ一節

2014-07-17 23:36:39
yen(留守) @golden_wheat

こんなやみよののはらのなかをゆくときは 客車のまどはみんな水族館の窓になる 青森挽歌 / 宮沢賢治 #口ずさむ一節

2014-07-18 00:35:05
syouko @Lacus_Temporis

たそがれの夢、 ただ一日の終りにくる夢 そして一日の終りと共に戻っていく 灰いろのものに、暗いものに、 夢の国の遥かな、深いものに。 たそがれの夢『シカゴ詩集』サンドバーグ #口ずさむ一節

2014-07-18 01:14:35
syouko @Lacus_Temporis

夢、ただたそがれの夢、 一日の喪失が涙で 心の喪失を記しとどめた失われた日々の なつかしい思い出の映像だけ。 涙と喪失と破れた夢は たそがれにあなたの心を見つけるだろう。 たそがれの夢『シカゴ詩集』サンドバーグ #口ずさむ一節

2014-07-18 01:15:35
ふたばこ @futabako

汽車に乗って あいるらんどのやうな田舎へ行かう ひとびとが祭の日傘をくるくるまはし 日が照りながら雨のふる あいるらんどのやうな田舎へ行かう 『汽車に乗って』丸山薫 #口ずさむ一節

2014-07-18 21:53:13
ふたばこ @futabako

♪ アマポーラ リンディシマ マポーラ セラ シエンプレ ミ アルマ トゥヤ ソーラー♪ ほんとうに口ずさむだけで綴りも知らないAmapola #口ずさむ一節

2014-07-18 22:05:37
syouko @Lacus_Temporis

さうして、僕の世界から、確かに、ひとりの人間が見えなくなつたと、僕は誰に告げたらいいだらう? 菱山修三(詩のタイトル忘れました。すみません…) #口ずさむ一節

2014-07-18 22:55:31
syouko @Lacus_Temporis

何一つ生きているものの気配のしない、深い森の闇の中に凝結したような静寂。(われわれは、夜の闇の中に、自分たちのこらえているすすり泣きを聞くような気がする) モーリアック『テレーズ・デスケイルウ』 #口ずさむ一節

2014-07-18 23:01:04
つぼ @hirootsubo

心がうらぶれたときは 音楽を聞くな。 空気と水と石ころぐらいしかない所へ そっと沈黙を食べに行け! 遠くから 生きるための言葉が 谺してくるから。 ― 清岡卓行「耳を通じて」 #口ずさむ一節

2014-07-19 21:59:32
もと @nn0to

すべては目のために、目と心の娯しみのために。 __フィリッポ・ブオナンニ 荒俣宏『ファンタスティック・ダズン』 #口ずさむ一節

2014-07-21 20:22:55
もと @nn0to

その必要はない、家から出なくても。机に向ったまま聞け。聞かなくてもよい、苦しくなるまで待て。待たなくてもよい、じっとうごかずにひとりでいれば。きっと世界のほうから仮面を脱いでくる、決まっている、そしてめまぐるしく目の前で旋回するだろう。 カフカ 高橋悠治=訳 #口ずさむ一節

2014-07-21 20:34:32
つぼ @hirootsubo

柘榴になりたい。とつぜん、そんな考えがうかんで、私を驚かせた。こまかい葉をつけた茂みのひとつになって、私も白い神殿の丘に残りたかった。 眠れないまま、星のような時間が流れた。 ― 須賀敦子『ユルスナールの靴』 #口ずさむ一節

2014-07-22 02:46:07
syouko @Lacus_Temporis

「お互い、瞼を閉じると、目の裏に相手の姿が浮かび、遠くにあってその人を想うと、懐かしさがこみ上げるーーーそれが〈眼中の人〉です」 久世光彦『蕭々館日録』 #口ずさむ一節

2014-07-22 09:10:15
つぼ @hirootsubo

粉々になった心を抱き、静かに生きる人々がいる。荒々しい自然と人間の臭み、神話の融合した小説世界は、洗練とは逆を向きながら、ぞっとするほどの、透明な悲哀を抽出する。放心した。すばらしい小説だ ― 小池昌代、クレア・キーガン『青い野を歩く』の帯文 #口ずさむ一節

2014-07-22 12:45:08
もと @nn0to

放蕩のほか楽しみはなく、死のほかに罰はない。 野崎歓『異邦の香りーーネルヴァル「東方紀行」論』 #口ずさむ一節

2014-07-22 20:48:28
もと @nn0to

現実における悲しい欠落を、まったく別の世界の、愛らしい出現に変えること。 平出隆『葉書でドナルド・エヴァンズに』 #口ずさむ一節

2014-07-23 21:12:17
つぼ @hirootsubo

意志もなく生まれた ひとひらの形 形である間 形であらねばならない痛み ― 塔和子「雲」 #口ずさむ一節

2014-07-23 21:48:45