一日目、夜 - 空論限壊

「07/18/22:00」から「07/22/22:00」までの記録です。
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階段

新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

「リンネ、か。宜しく」 簡素に返す。続いたリンネの問いかけに、俺は黙り込んだ。 直観的に、慎重に答えを選ばなければいけない内容だと判断したからだ。 俺は、戻るつもりだ。 誰を殺してでも――俺のすぐ後ろを歩くアルデフィーダを殺すことに躊躇いはあるが、生き残るという目的は変わらない。

2014-07-18 22:01:16
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

その答えが変わることはない。 だからこそ、そのために言葉は選ばなければいけない。 自分の敵になることが確定している相手が傷を負っている上に武器もないとなれば、ここで潰すのが得策だと判断されてもおかしくはない。

2014-07-18 22:07:36
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

かといって、隙を見せれば付け込まれるだろう。どう答えたものか―― 思考する。と、アルデフィーダが答えた。 戸惑いながらも、選択を迫られているということ。 「俺もだ。正直、死にたかねぇよ」 被せる形で、本音を話す。

2014-07-18 22:17:56
リンネ【三の蒼海】 @Linne_Blue_3

「ふむ、君たちもか」 逡巡。彼らに警戒させるべきか否か? しかしそれが長く続くことはない。彼らから引き出した以上、こちらが隠したままで居る不審の方が不利益となるだろう。そう判断して。 「私もそうだ。この建物に居る間、その衝動が途切れたことはない」

2014-07-18 22:40:43
リンネ【三の蒼海】 @Linne_Blue_3

何でもない風の告白。受け取る彼らに衝撃はどれほどあるものか、声色に期待したくはあれど。 「――が」 ここで止めては余計な誤解を生む。 「迷っているんだ。戻るべきかどうか。『死にたくない』君たちを殺してまで、……水底の世界に帰るべきか否か」

2014-07-18 22:41:08
リンネ【三の蒼海】 @Linne_Blue_3

素直な吐露はすべてを思い出してから初めて出す場所を得たものだ。蒼の底に揺らぎながら在る世界を思い出して言葉を詰まらせる。 「……私は、忘れていた。どういう訳か知らないが。私の生きる理由の大部分を占めていたものが、喪われたことを」

2014-07-18 22:41:25
リンネ【三の蒼海】 @Linne_Blue_3

不甲斐なさ、不条理。突き動かされ振るった拳はコンクリートの壁へ。それは何の影響をもたらすこともなく一際大きな音を響かせたのみに終わる。 「君たちは、何か、忘れていることは――思い出したことは、あるのか」

2014-07-18 22:41:49
アルデフィーダ【五の大地】 @al_Daichi

『何か忘れていることは』 それは核心を突く言葉。疑いようもなく、忘れていた。そして、思い出したのだ。(彼もまたそう、ということは、私達は、……) 「あります」 簡潔に、一足飛びに結論だけを口にする。 「私は、」踊り場に出る。足を止める。 「シズカを知っています」

2014-07-18 22:47:36
リンネ【三の蒼海】 @Linne_Blue_3

前を行く影が足を止めるのに合わせ、こちらも立ち止まる。あります、という声に顔を上げ、しかしその内容を耳にすれば一瞬だけその表情に疑問の色が混じる。 「知って――それは、今まで共にいたから、というものとは別にか? 会ったことがある、ということ自体が、忘れていたことだと?」

2014-07-18 23:00:10
リンネ【三の蒼海】 @Linne_Blue_3

自分の記憶には他のものたちに関わる事柄はない。屋上の少年、先行く二人、下階の少女、その誰にも見覚えはない。 「……殺すこと。記憶の欠落。最初よりは、共通点が見えてきた」 彼らへ礼を言うべきかどうかを暫し迷って、終いに口を噤んだ。それはおそらく、ここにいる誰も喜べることではない。

2014-07-18 23:00:35
アルデフィーダ【五の大地】 @al_Daichi

肯定し、頷く。少し、気まずそうにしながら続きを補う。 「私も、シズカと話すまで忘れていたのです。見覚えがない、と思いました。けれど、私は知っていた、のです。 ……きっと、他にも忘れているのでしょう。今の私達は、私達ではないかもしれない」

2014-07-18 23:08:10
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

リンネの話を黙って聞いていた。忘れていること。自分の存在理由に関わること。 答えない。余計な言葉になることが目に見えているからだ。 “戻るつもりがないなら、その席を俺に譲ればいい。” だが、その言葉を口にするメリットも存在しない。

2014-07-18 23:29:46
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

俺のいた場所について思い返す。 裕福な国ではあるが、決して居心地のいい場所ではなかった。 どいつもこいつも他人の機嫌を伺いながら歩いている、しらじらしい場所、だった。

2014-07-18 23:30:49
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

しかも、俺は捕まったら豚箱行きの逃亡生活だ。控えめに見たって人生に希望が持てるような状況じゃない。 だから――今更何か分かったことがあったって、戻りたいという意志が変わることはないだろう。 生きる動機を他人に説明する必要なんざない。俺を理解し、定義するのは俺一人で充分だ。

2014-07-18 23:31:31
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

黙って、思考していた。靴音だけが響く沈黙に、アルデフィーダの声が割り込んだ。 「……はぁ?」 思わず、素っ頓狂な声を上げる。常識で考えれば有り得ないことだ。 自問する。自答は、この状況で常識がどれほどの役に立つのだろうという反語めいた言葉。

2014-07-18 23:32:39
アルデフィーダ【五の大地】 @al_Daichi

「知っている、のです。私達は以前、出逢ったことがあります。それは、ここなのか、別の場所、なのか」 自分の髪を落ち着かなげに握って、言う。 (ここで、なら、きっと私は敵だった。私だけでなく、皆が、皆それぞれ)

2014-07-18 23:43:49
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

「……わりい、思い出せねえ」 短く答えて、頭を掻いた。自分の記憶を疑う証拠もないが、アルデフィーダの言葉を否定する理由もない。 ……友人だったとして、敵だったとして、結局たった一つの席を奪い合うことに変わりはない。

2014-07-18 23:59:20
リンネ【三の蒼海】 @Linne_Blue_3

「彼の方には、その記憶は無いようだが。記憶の保たれ方もそれぞれということか」 静香の驚きよう、対照的なアルデフィーダの落ち着き。それを見ながら、止まった前に合わせるように自らも階段に背を預ける。 「生憎ながら私は誰にも見覚えはない。知り合いが集まっているかを知る力にはなれないな」

2014-07-19 00:02:34
アルデフィーダ【五の大地】 @al_Daichi

せわしなく、髪をいじる。そうやっても、何を思い出すでもないのに。 「……多分、私は」言いかけて、階下の水音が止んだ。 きっと、彼女が動く。夜の気配がする。あまり時間は残されていないのだ。さあっ、と怖気。 逃げるようにして、上へと急いだ。 移動→階段(屋上)

2014-07-19 00:06:43
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

アルデフィーダが言葉を切る。足音の感覚が狭くなる。 その原因は、遠くから響いていた音の変化だろう。不穏な気配。 階段を駆け上がった。 エリア移動>屋上

2014-07-19 00:17:04
リンネ【三の蒼海】 @Linne_Blue_3

『蒼海』は色相に対する感覚が鈍い。他が言葉にはできなくとも容易く探知するそれを微弱にしか感じ取れず、結局は常人に対すると同じ手段でその存在を知る。 故に気付かない。迫っていると『大地』が知った『新緑』の気配に。 だからただその言葉に急き立てられるようにして、残る階段を駆け上がる。

2014-07-19 00:23:49

住居

空論限壊 @al_coulomb

【情報開示】 ◆PC1◆ ・あなたが戦闘で傷を負い、傷を与えた時、あなたは【忘れていた戦い方を思いだす。あなたは『死ににくい相手を殺す』ことが得意だ】。

2014-07-18 22:10:43
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