【CaS】美瑛 由仁【過去編】

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せっすっこ @biei_yuni

@tos 由仁「私はとっても大きなお家で産まれました。 その時の私の名前は 羽帯(はおび)由仁 で、 10歳、歳の離れた姉と仲の良い父と母、それからたくさんのメイドさんと執事さんがいらっしゃいました。」

2014-07-28 18:04:04
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「私の容姿は母に良く似ており、お人形のように綺麗な顔をしていると、毎日たくさんの人に愛されていました。 でも、私はうまれつき、右足が無かったのです。 お人形のような顔の私は、お人形のような右足を作ってもらいました。」

2014-07-28 18:07:57
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「そんなお人形のような私は、顔が父に良く似たお姉様に、毎日と言って良いほどお人形のような扱いを受けていました。 キラキラで、ヒラヒラな、まるでお姫様のような服を、毎日、毎日、着せられていました。」

2014-07-28 18:12:00
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「気がつくと、仲の良かったお父様とお母様は毎日喧嘩ばかりしていました。 喧嘩の内容はいつも同じで、『私の右足』についてでした。 メイドさんと執事さんはそれを全て見て見ぬ振りをしていました。 私はそんな家が嫌いでした。」

2014-07-28 18:16:03
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「小学校では毎日教科書やノートを隠されていました。 机の上の汚い言葉の落書きも日常で、 酷い時には義足を隠されたりしていました。 小学校も嫌いでした。」

2014-07-28 18:55:09
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「ある日、私がいつものように男の子達にイジメられている時でした。 その人は突然やって来ては『俺はライオンっす』なんて意味のわからないことを、いじめっ子の男の子達に言っては、私をイジメる人達を追い払ってしまったのです。」

2014-07-28 19:05:07
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「その日から私の生活は少しずつ きらきら していきました。 名前は聞けませんでしたが、私を助けてくださった方は、3つ上の先輩で、あまり笑わない方でしたが、心の優しい方だったのを覚えています。 その人はいつも私を助けてはこう言っていたのです 『蝶々さんみたいっす』」

2014-07-28 19:13:44
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「そんな素敵な先輩は6年生だったので、すぐ卒業してしまいました。 私に初めて 『蝶々みたい』 と言ってくれたあの人がとても きらきら していて大好きでした。」

2014-07-28 19:19:41
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「私が小学校を卒業する頃にはお父様とお母様は離婚の話を進めていました。 お姉様はお父様と、私はお母様が引き取ってくださることになりました。 嫌いだった大きなお家と、嫌いだった学校と、とうとう さよならをしたのです。」

2014-07-28 19:23:43
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「こうして私は 美瑛 由仁 になったのです。」

2014-07-28 20:04:00
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「小学校卒業後はお母様と二人で暮らすことになりました。 家も部屋も狭くて、メイドさんも執事さんもいませんでしたが、とっても きらきら した生活で、優しくなったお母様と二人きりで幸せでした。 その日からお家が好きになりました。」

2014-07-28 19:27:34
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「中学校へは毎日足を隠す為に長い靴下をはきました。 みんな優しくて きらきら していました。 朝学校に行くと皆さんは私に笑顔で挨拶をしてくださいます。 勉強も教えあって、放課後は色んな人と遊び歩きました。 私は学校が好きになりました。」

2014-07-28 19:30:59
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「中学に入り、私ははじめて『告白』というものをされました。 その人はクラスの人気者で、私もすぐに好きになりました。 由仁にとってはじめての恋人でした。」

2014-07-28 19:34:03
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「彼はとっても優しかったのです。たくさんいろんな場所に二人で行ったり。いろんなことをしました。 私は幸せでした。 『きっと不幸だった分の幸せなのね』 なんて、思いました。」

2014-07-28 19:38:35
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「きらきら していた毎日はそう長くは続きませんでした。 私が家に帰ってくると知らない男の方がいらっしゃいました。 それは、お母様の新しい恋人でした。」

2014-07-28 19:41:41
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「その男の方は私を嫌い、邪魔者扱いしました。 お母様は私とあまりお話してくれなくなりました。」

2014-07-28 19:43:27
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「私がお母様の新しい恋人に邪魔者扱いされ、1人街を歩いている時のことでした。 よく見慣れた二人が歩いているのを見かけたのです。」

2014-07-28 19:45:45
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「それは私のことを『好きだ』と言ってくださった大好きな彼と、 私にとって、はじめてできたクラスのお友達でした。 二人は仲良く手を繋ぎ、笑いあっていました。」

2014-07-28 19:48:01
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「若い男女がこんな夜に仲良く手を繋ぎ歩く理由はただ一つでしょう?」

2014-07-28 19:49:09
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「きらきら したものは全て消えてしまいました。 そこからは全てが憎く見えてしょうがなかったのです。 そこらへんを歩く見知らぬ男も女も、老若男女問わず、憎たらしく見えました。」

2014-07-28 19:51:17
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「好きだった友人も、好きだった彼も、大好きなお母様を奪った男も、大好きだったお母様も 全部が大嫌いになりました。」

2014-07-28 19:52:44
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「私が少しずつ後ずさりしていると、何かを踏みました。 それは『ライター』でした。」

2014-07-28 19:54:48
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「そのライターを拾って、すぐに走り出しました。 大嫌いなものは全て燃やして無かった事にしてしまいたかった。」

2014-07-28 19:57:19
せっすっこ @biei_yuni

@tos 「ただまっすぐ…私は彼の家と友人の家、そして自分の家に火を付けて……」

2014-07-28 19:59:44