【アナ雪】アナとチビ九尾エルサ(1-5)【パロ】

万屋和風愉菓子店@絶滅種のポンデ @yorozuya753

口から尻尾を外してあげると、エルサは喉の奥で小さく唸って、身動ぎひとつ。小さな体をもっと小さく丸めるようにして、自分の尻尾を体に一層寄せた。 狐なのにまるで捨てられた仔猫みたいに、寄る辺ない感じがして。なんかかなり淋しいような切ない気持ちになった。

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……ところで、ポケットから無粋なバイブ音。激しく震えるガラゲーを慌てて取り出して、折り畳み式のケータイをパカッと開く。画面に表示されてるのは「ぱぱ」の文字。 （っっ！もぉ、空気読んでよダディー！！） 理不尽な怒りを覚えつつ、そそくさとエルサから離れる。

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ベッドの方へ戻って毛布を被ってなるべく音が外へ漏れないように努力しながら、通話ボタンを押した。 「おはよパパ。でもね、タイミング悪いわ。だから後でかけ直すから切っていい？え？ダメなの？なんで？あ、これから会議なの。ふぅん。じゃあメールしてくれれば……は？うん、うん……いや、だから

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……もぉ～。それは説明した通りだってば。これ以上は無理だって判断したから誘拐したの。お父さんだって元々反対してたじゃない。え？根回し大変過ぎてヤバい？あー、まぁそりゃね。何気に国家の存亡に関わってるし？うん……うん。分かってるわ。立場あるのに頑張ってくれたんでしょ。ありがと。

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うん。そう。取り敢えず連れて帰ろうと思ってるわ。でさ、どれくらいの期間貰えたの？……え？１ヶ月ぅ！？ちょっ、なんでそんな短いのよ？！あたしせめて半年はちょーだいってお願いしたじゃない！無理？なんでよ！？……うん、うん……くっ。やっぱ白いお家が……あぁー、面倒臭いぃ～。

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どうにかしてよパパ！いや、無理とか言わないで！お父さんならできるわ！絶対出来るよ！！え、失礼ね。全然ふざけてないったら……うん……うーん。分かった。取り敢えず１か月間の猶予は確実にあるって事なら、その間にまた別の方法考えるわ。あ、それで連れ帰る事についてお母さんは何か言ってる？」

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などなど、あたしはお父さんと今後の事を確認してついでに家族の近況を教えて貰って、通話を終了した。 そろりとソファーの所に戻れば、可愛い仔狐さんはまだ寝ていた。耳の先がぴくっぴくっと動いているけれど、まだ起きる気配はないみたい。 直ぐに動けるように、取り敢えず爆発してる髪を直して、

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身支度を整える。動き易さ重視のラフな格好に着替えて、エルサの隣に座り直す。傍らにはノートパソコン。 この子が起きるまで調べ物をしたり、今までのデータをまとめとこうと、あたしは電源を入れた。 ＊＊＊＊＊

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＊＊＊＊＊ ×××××年××月××日。 モンスターの幼体を捕獲。身体の形は人間の子供に近しい。頭部に大きな獣の耳、腰辺りには九本の尻尾。耳と尻尾は狐の構造に近しい。九尾の狐に関連がある可能性が高い。雪と氷を操ることができる。空気中の水分を雪や氷に瞬時に変化させる異能力。

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感情の起伏によって被害範囲や現象が異なる。幼体の為か制御レベルが低く危険。身体構造は人間とほぼ一致。アドレナリン分泌量の操作を試みる。推定年齢は8歳。実験中右腕骨折。傷の治りが異様に速い。知能実験結果……IQ…… （あー。いい加減胸糞悪くなってきたわ……） 顰めっ面でパソコンの

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画面と睨めっこを続けるあたし。だけど面白くも何ともないどころか憤りが込み上げて来て、平静を保つ為に荒く溜息を吐く。 施設からくすねて来たデータファイルは、エルサの実験結果を事細かく記してあった。でも欲しいのはこんなデータじゃない。まだまだフォルダはたくさんあるけれど、この中に

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あたしの欲しい情報があるのんだろうか。 （もっとさぁ、食べ物の好みとかどんな遊びが好きかとか……そういうデータないの？） まぁ、そんなのあるわけないのは百も承知。探しているのは首や手首や足首に巻き付いてる枷の情報。でもこのデータ量だと直ぐに探し出すのは無理よね、あきらかに。

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「……はぁ」 ちょっと休憩。ってことで、あたしはルームサービスを頼む事にした。部屋に備え付けられてる電話を手に取って、フロントへぴぽぱ。カフェオレ一つ頼みながら、エルサを見て手首に巻き付く腕時計で時刻を確認。11時過ぎ。お昼には出たいから、もうちょっとしたらエルサを起こさないと。

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（昨日の様子を見る限りじゃ、この子って猫舌よね……） ピザを頬張っていた姿を思い出すと、自然とほっぺが緩んじゃう。つられて声まで弾み過ぎないようにわざとらしく咳払いしてから、ホットミルクを追加する。お子ちゃまだからきっと甘い方が好きな筈。なんて決めつけて、電話越しに

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待機する受付のお嬢さんに「ホットミルクは甘くしておいて」と付け加えておいた。 ソファーに戻って息抜きにネットサーフィンをする。グルグール先生に「fox」を検索して貰って、ウェキペディアさんを開いた。 （ふぅーん。キツネってイヌ科には珍しく群れないのね……ふむふむ。あ、なにこの

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キツネ真っ白！かわいい～！へぇ、ホッキョクキツネか……なんかエルサにちょっと似て……あ、ウソウソ。食性恐いわ、コイツ。え？人間も食べるの？うわぁ～……ん？あ、ってかエルサちゃんってもしかして九尾っていう種類になるんじゃ……？あ、日本のキツネね、これ……ん？ABURA-AGE？)

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日本って確かいっぱい神様がいるのよね？お米一粒に８８の神様だっけ？うわぁ……わけわかんないわ。ほんと。 なんて考えながらリンクをテキトーにクリックしていく。さっきの『あぶらあげ』を使って作る『おいなりさん』という食べ物まで辿りついたらお腹がくぅ～っと鳴った。

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（エルサちゃんが起きたらまずはランチね） 何食べよっかなー♪　と脳内で鼻唄交じりに歌う。食べ物のページは空腹の身にはテロ過ぎるから閉じて、と。キツネのページに戻ってイヌ科の色んな動物を見る。犬可愛いなーって見ながら、オオカミのページをクリック。そうしてページが表示されると同時に、

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トップにあったのは遠吠えをする堂々とした姿の写真。ほんとにどこかで狼の遠吠えが聞こえた気がして、あたしは思わず辺りを見回しちゃった。そんな自分に苦笑していると、インターフォンが一つ。カフェオレとホットミルクが届いたみたい。あたしは静かに、でもそそくさと扉を開けて飲み物を受け取る。

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と、同時に。他の人の気配に起きたのか。エルサからもにょもにょとした声が微かに聞こえてきた。 「ん～ぅ」 思わず「おっ」って声が出ちゃう。隣にまた座って顔を覗き込む。目がうっすらと開いているようないないような、そんな感じの薄い瞼。耳が緩慢にピルっと震えてた。 「エルサ起きた？」

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飲み物が載ったトレイをパソコンの隣に置いて、起きてるのか寝てるのか分からないエルサちゃんに言う。開きそうで開かない瞼が、怠そうにしょぼしょぼしてる。寝つきは案外良さそうっていうのが昨日までのイメージ……っていうか感想なんだけど、寝起きはあんまり良くないのかな？それとも疲れとか？

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（ん？そういえば低血圧ってどっかのファイルに書いてあったような……あと体温も低めとか……そんなのも書いてあったような……） やっぱりこのデータは整理して項目ごとにまとめておいた方がいいみたいね。 （あたし、こういう事務処理的なこと苦手なんだけど。ま、少しずつやってこ……）

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この子の為なら苦手なことも多少頑張れるでしょ。なんてメチャクチャ楽観的に考えながら、エルサの顔を覗き込む。上から覆い被さるようにして腕を両脇について、ぺたりと垂れる耳に顔を寄せてみた。 「エルサちゃーん。起きないのー？」 潜めた声で囁くようにいうけれど、

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なんとなく声が悪戯っぽく弾んじゃう。 そんなあたしを、垂れた耳がパタパタ動いて追い払おうとする。 薄ら開いていそうで開かない瞼の裏で、反応した眼球が緩慢に動くのが解かった。あたしの口許に近い耳がカタッポだけ動いて、鼻先にぺしぺし当たった。柔らかな獣の耳。そのふわふわした毛並が

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鼻の頭を掠めてくすぐったい。くしゃみでそう。耳を啄んでくる小鳥をウザッたそうに追い払う仔犬のような仕草も可愛い。思わず口の端とほっぺが緩んじゃう。 「ふ、ふふっ……エルサ、お空はとっくに起きてるわよ？」 思わず笑っちゃいながら、鼻にふわふわ当たってくる耳に囁く。耳がぴるぴる震えて