【艦これ連載SS】秋雲さんと東方小説書き提督 その1

暑いので書き始めた、絵描きの秋雲さんと、東方小説サークルをやってる提督のおはなし。 感想・実況などは #秋雲東方提督 タグをご利用ください。 その2(31話~57話)→http://togetter.com/li/732998 その3(58話~84話)→http://togetter.com/li/789196 続きを読む
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浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

暑いのでひともすなるついった連載小説なるものをじぶんもしてみんとすなり

2014-08-05 23:17:36

第1話

浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

なになに~?提督の話聞きたいって? わざわざ話させて文章にまとめなくたって、言ってくれりゃあこの秋雲がレポ漫画にでもして描いてあげるのにさぁ。 ま、いいけどね。どこから話そうか? やっぱり秋雲が鎮守府に着任したところからかね。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:18:21
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

この秋雲だってねえ、着任するときは緊張してたんだよ。何しろ前の鎮守府の提督ときたらカタブツでさあ。秋雲が絵描いてると「公序良俗に反する絵を描くのはやめろ」って言ってきてさ、参ったよ。 だからまあ、今度の提督は話の解る人だといいなーと思ってた。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:21:01
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「秋雲着任!提督、よろしくね~」 執務室に入って、とりあえずそんな感じで挨拶。笑って受け流してくれる人ならありがたいし、怒られたら怒られたでそういう提督だって解るからさ。ま、怒られるだろうなあと思ってたよ。 ――いやあ、でもあの反応は予想外だったね。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:23:23
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「よく来てくれた。一日千秋の思いで待っていたよ」 提督ってば、いきなり立ち上がって、右手差しだしてそう言ったんだよ。秋雲、ぽかんとしちゃってさ。 「え、なにそれ、て、照れるじゃん?」 ただのいち駆逐艦にそんな大げさな。悪い気はしなかったけどさあ。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:25:43
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

提督の手握り返しながら、なんか気恥ずかしくて頬掻いてたら、提督が急にまじめくさった顔になって、 「さっそくだが、秋雲。君に任務を与える。君には当面、この任務に集中してほしい」 なんて言い出した。おお、即戦力として期待されてるじゃん。背筋が伸びたね。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:28:01
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「なになに、どんな任務~?」 そう聞いたら、提督、カレンダーをちらっと見やってこう言ったんだ。――聞き間違いかと思ったんだけどさあ。 「私の夏コミ新刊の表紙と挿絵を描いて欲しい」 「……はいぃ?」 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:29:39
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「呉の提督から君の趣味については聞いているし、君が呉で描いていた絵も見せてもらった。いや、鎮守府には絵の描ける艦娘がいなくてね。このままでは新刊が白地にタイトルだけ表紙になるところだった。締切まで一ヶ月ほどしかないが、どうか頑張ってほしい」 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:31:49
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

いきなりそうまくしたてられても、はいそうですかって答えるには話があまりに唐突すぎてさあ。夏コミ?新刊?表紙と挿絵ってことは、え、小説本?提督が? 「え、なにそれマジで?」 「マジで頼む。この通り」 「頭下げられても困るよ!」 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:34:58
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

ひとつ咳払いしたらようやく落ち着いて、改めて提督の話を考えてみた。…いやま、仕事として絵描いていいってなら喜んで描くけどさあ。秋雲、まさか艦娘としてじゃなく絵描きとしてこの鎮守府に呼ばれたわけ? それはそれで嬉しいような複雑なような。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:37:27
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「提督の小説に絵描けばいいわけ?」 「ああ」 「締切いつ?」 「7月末」 「もう一ヶ月もないじゃん!まあ、なんとかなるけどさ。……で、何の本?」 「東方」 「あー東方。ならいけるいける」 知らないジャンルでなくて良かった。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:39:29
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「やってくれるか」 「任務ってことは仕事って考えていいんだよね?」 「ああ。出撃や遠征は一切しなくても、艦娘としての報酬はちゃんと出るようにしてある」 「マジでー。至れり尽くせりじゃん」 いいのかね。赤煉瓦から目つけられても知らないよ? #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:42:26
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「で、東方の誰描けばいいの? 旧作はちょっと怪しいよ~。R-18Gもあんま得意じゃないなあ。エロいのは一向に構いませんぜ、いしし」 「健全だ」 「ちぇ」 「エロ描きたかったのか?」 「いや別に」 提督の性癖掴んでおけば後々役に立つかと思ったんだけど。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:44:54
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「夏の新刊は秘封本だ」 「秘封!ああ^~いいねえ^~、喜んで描くよぉ。ちゅっちゅ?シリアス?蓮子は死ぬ?」 「死なない。メリーも消えない。まあ、ちゅっちゅ寄りだな」 「平和な秘封本だねえ。珍しい」 「そうだな」 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:48:37
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

まあ、秋雲も秘封は好きだからさあ、結構やる気になってたんだよねえ。そのときまではさ。うん……。 だから何気なく訊いたわけよ。 「原稿どこまでできてるの?」 って。そしたら、 「これから書く」 「はいぃ?」 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:50:10
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

秋雲が着任したの7月2日だったんだよ。締切7月末で、進捗0%? いやま、ページ数にもよりけりだろうけどさ、挿絵なんかある程度本文出来てないと描きようないじゃん。この任務、実はヤバいんじゃないかって気がしてきたのはそのときだったね……。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:53:19
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「え、提督なにそれ間に合うの?」 「まあ、なんとかなる」 「せめてどんな話になるとかは」 「まだあまり決まってない」 「あと一ヶ月だよ?」 「大丈夫大丈夫。例大祭の新刊は3週間で書いた」 秋雲の作業が大丈夫じゃないよ! #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:56:17
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「……まあ、解ったよ。できるだけ早く表紙のイメージとか挿絵のところの本文とか上げてもらえれば、なんとかするからさあ」 「ああ、努力する」 大丈夫なのかなあ。安請け合いしちゃったの失敗だったかなと不安でいっぱいの着任初日だったね……。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-05 23:58:56
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

まあ、提督との出会いはいきなりそんなんだったんだけど。執務室を辞去してから、提督がどんなの書いてるのか聞いてないのを思い出して、もっかい戻ったのよ。 「ん?どうした?」 「提督、普段どんなの書いてるの?過去作どっかにある?」 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-06 00:00:51
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「過去作ならそこだ」 そう言って提督は執務室の隅に積み上げられた段ボールを指さした。あ、あれ在庫だったんだ……。 「1冊持ってっても?」 「1冊と言わず100冊ぐらい引き取ってくれると助かる」 「そんなにいらんよ!」 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-06 00:02:17
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

そんなこと言いながら段ボール開けて、中に入ってた本取りだして、秋雲、目が点になったね。 だって、ずっと買ってるサークルの本だったんだもん。 「へ?え?マジ?」 「どうした?」 「提督、秋雲、この本持ってるよ……」 「なん……」 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-06 00:05:25
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「え、提督まさか、《真海青函トンネル》の夏海モグリさんなの?」 「ちょっ、まっ、えっ」 「秋雲、1冊目の『宇佐見蓮子は夢を見ない』から全部買ってるよ?」 「マジで?」 「大マジ」 あの瞬間、執務室の時間が止まったね……。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-06 00:10:42
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

ん? ファンと作家の運命の出会いからロマンスでも始まると思った? ざんねーん。こいつは全くそんな話にはならないのさ。 おっと、もうこんな時間かあ。続きはまた今度話すよ。 ウチの鎮守府が起こした奇跡とも、この話、無縁じゃないからねえ。 #秋雲さんと東方小説書き提督

2014-08-06 00:15:04
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