【ニンジャスレイヤー二次創作】 デスロード・死国 #1

全米を震撼させるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」に登場するインターラプターを主人公とした二次創作第二話です。 今回はスティーブン・ハンター色が濃くなっているかと思います。相変わらず即興で書いていますのツイート毎の繋がりがおかしい部分がありますが、気にしないでください。 第一話 「帰ってきた女」 続きを読む
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夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

バイオセミがかしましくなく夏がすぎ、かさかさとおだやかな音をさせるおちばの季節も終わればやがて冷酷なふゆがくる。 ふゆがくれば人びとはとびらを固くしめ、あぶらをもしたりしてとじこもるだろう。だが、かたい地面をよるねむるベッドにえらんだものはどうするのだろう? 1

2014-06-14 07:49:18
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

さむい季節には地面をねぐらにするものたちはよりあつまる。もてるだけのぼろ切れだの毛布だのをもちよってキャンプをつくるのだ。身をよせあえば少しはあっためる足しにはなるし、おしゃべりをすれば気がまぎれるというものだ。 2

2014-06-14 08:03:41
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

けれど、そういう仲間にめぐまれる事はいつもではないし、ひとりきりで生きることに慣れるとせけんと付き合うことのあれやこれやがいやになるのだ。そうして他人とかかずりあうのは二度とごめんだ、と思うようになってひとりで夜を過ごすことをえらんだりもするのだ 3

2014-06-14 08:17:04
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

そうやって冷たいコンクリートのうえにねそべって、まず最初にきみが気づくのは、じめんというものがえらく冷たいということだ。ぼろきれや新聞紙をしいたところじゃどうにもならない。がたがたふるえて、ねむれない夜になることだろう。 4

2014-06-18 01:45:41
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

だからみんな思いおもいの酒瓶をかかえて、酔っぱらいになろうと、こころみてみるのだ。アルコールはからだをかっかさせるし、飲みつづければ気をうしなうことだってできる。そのまま、おてんとうさまがあんたの顔をてらしておこすまで、ねむることができるのだ。 5

2014-06-19 00:15:32
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

うまくすれば、永遠におきなくて済むようになるかもしれない。かたくてつめたいじめんが、あんたのたましいの熱をさいごの1ケルビンまでうばいさってしまったら、きみはもう、あしたのこともきのうのことも心配しなくてすむのだ。 6

2014-06-19 00:23:48
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

その日もおれはそんなふうにして、しにがみのおじひにあずかろうと、ケモビールを大瓶で3本のみほし、プラスチックのびんにいれられた酒屋でいちばんやすいサケをかった。ひどい味がしたが、アルコールにはちがいなかった。 7

2014-06-21 00:02:37
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

びんから直にあおり、10口もいったところでやっと、重金属スモッグにおおわれたネオサイタマのよぞらがぐるぐるとまわりはじめた。そのままふらふらと歩き回り、どこだかしらない店のシャッターをかべにして、こんやのねぐらはここだときめた。 8

2014-06-21 12:41:40
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

びんのサケをやっつけて、うとうとしだしたおれをゆさぶるやつがいた。うすくめをひらくと、まだ夜のまんまだった。 「おれをおこすんならカネかサケをくんなよ、そうでなきゃ、あんたのあごから歯をぜんぶたたき出してやるぞ」 9

2014-06-21 12:58:08
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「そいつはかんべんだからカネとサケをやるよ、インターラプター=サン」 それをきいておれはしゃんとした。いまのおれを、インターラプターと呼ばわるやつなぞかたての指のかずよりすくないくらいだ。 「なんでまたニンジャ装束をきているんだい、シーホース=サン?」 10

2014-06-21 13:02:08
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「うん、そいつをはなしてやりたいが、ここじゃあこごえちまう。車ではなそう」 たしかにシーホースのうしろにはぴかぴかにみがかれたヤクザリムジンがとまっていた。おれもソウカイヤにいたころはあんなのをのりまわしてたもんだ。 11

2014-06-21 13:47:43
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

はて?ソウカイヤとデッガー、どっちを先にやってたか?おれのすかすかな脳みそはちょっとむかしのことも思いだせなくなっている。 12

2014-06-21 22:20:05
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

ヤクザリムジンにのりこむと、さっそくオイランがしなだれかかり上等のワインがだされた。ああ、あのなつかしきわが人生の絶頂期にかんぱいというわけだ。 「どうだい、おれ、かわったろう」 「そうだな、カチグミにみえる、りっぱなザイバツニンジャにみえるぜ」 13

2014-06-24 00:14:09
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

シーホースはじょうきげんにわらった。 「そうさ、おれはザイバツシャドーギルドのネオサイタマ駐留ニンジャなんだ」 シーホースはしんそこ、うれしそうだ。 「そいつはおめでとうだな、いったいどうやらそんなうまいことになるんだい?」 14

2014-06-25 00:03:12
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「そこんとこがわからんがね」シーホースの目にちらりと不安がみえた「おれがネオサイタマの、かねもめいよもない、アルコールとくすりとだけでできてるとこにくわしいってのがお気にめしたらしい」 15

2014-06-25 00:27:25
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

やつもわかっちゃあいたんだ。ZBRでみをもちくずしたニンジャにザイバツが興味をもつものか。 16

2014-06-25 00:37:19
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

いずれやつはなにかの企みにつかわれ、いま、得たものをすべてうしなうだろう。悪くすればいのちだってなくしちまうにちがいない。だからといってZBRをうち、酒をのみ、まいばん道路のうえできをうしなう生活をしたっていずれいのちをうしなうのに違いはない。 17

2014-06-25 22:26:28
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

なめらかにはしるヤクザリムジンからのながめは良かった。ネオサイタマのよるはネオンや看板がすきかってないろでひかる。はしる車からはそれがたばになってながれていくようにみえるのだ。 18

2014-06-28 01:42:21
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

光のたばからちょっと目をしたにむければ、マケグミサラリマンが重金属酸性雨にうたれ、うなだれてあるあていることだろう。いせい良く、あちこち動きまわっては、やたらにひとに話しかけるのはオイランショーかなにかの呼びこみで、げんきがいいのはそんなふうなのだけだ。 19

2014-06-28 14:05:51
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

もっとめを凝らしゃあ、そこらになげだされてるゴミのいくつかは、ZBRかなにかでふらふらになったわかものだし、ぴくりとも動かなきゃあ、それはおれみたいないえも、かねもないのがいきつくさきの、肉体というものがほんとうにゴミになったぬけがらなのだ。 20

2014-06-28 14:12:18
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

だからネオサイタマのカチグミはみな、リムジンかなにか、速くて揺れないのりものでよなかにだけどこかにいくのだ。サッキョラインの列車のあかりだの、カスミガセキの高層ビルのからのびるサーチライトでもみていれば、あしもとに広がるちょっとした悲劇のつめあわせをみなくてすむというものだ。21

2014-06-28 14:26:22
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

だいいち、マケグミがどうなろうときにしてなどいられるものか。いちいちあしもとの雑草やアリをふまないよう、気をつけて散歩するものがあるかっていうんだ。かつてはおれもそうして何かをふみつけ、それを気にもせずにあるいていたのだ。 22

2014-06-28 14:47:56
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

おれは踏みつけられるみぶんになったが、それを咎めるきぶんにはなれないのだ。かねがすてるほどあっても、どれだけサラリマンをこきつかっていても、ちょいとブッダがその気をなくせばあしたには、なくせるものは命だけということになるのだ。 23

2014-06-28 14:53:10
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

ネオサイタマにうかぶ月は、いつだって、インガオホーとしかいわないのだ。 24

2014-06-28 14:57:43
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

けっきょく、リムジンはカネモチ・ディストリクトのなんとかという店まではしってとまった。カンバンがでていて、それを見たようなきがしたが、リムジンのなかでワインを一本あけたおれは、なんと書いてあったすっかりわすれてしまっていた。 25

2014-06-30 23:59:00