20140806 #NHK スペシャル「水爆実験 60年目の真実 ~ヒロシマが迫る"埋もれた被ばく"~」
#NHK 2014年2月、宮城県気仙沼市。長年被曝の調査を行ってきた広島の科学者が訪れた。60年前、ビキニ環礁周辺にいた漁船員の歯を探していた。→ NHKスペシャル|水爆実験 60年目の真実~ヒロシマが迫る"埋もれた被ばく" nhk.or.jp/special/detail…
2014-08-06 22:01:05#NHK 太平洋ビキニ環礁。1954年3月1日、米が水爆実験。広島に投下された原爆の1,000倍の威力。死の灰が周辺に降る。160km離れた場所で第五福竜丸が操業。23人の漁船員全員が被曝し、半年後、無線長の久保山愛吉さんが死亡。周辺には数多くの漁船が操業していたが。
2014-08-06 22:02:33#NHK 日本政府は、ほかの漁船員が被曝したとは認めなかった。米から200万ドルの見舞金を受け取ることで、この問題を終わらせた。それから60年、広島の科学者たちが、第五福竜丸以外の漁船員の被曝を始めて明らかにする。歯や血液から、被曝の痕跡が見つかった。
2014-08-06 22:03:33#NHK さらに米では、公開された極秘文書のなかに、これまで存在しないとされていた、漁船員たちの検査記録が。1950年代、米はソ連との核開発競争で優位に立とうとしていた。核開発の邪魔になるものは隠した。日米両国のデータを突き合わせると、死の灰を浴びた漁船は100隻近くに。
2014-08-06 22:05:15#NHK 2013年4月、広島でビキニ水爆実験の被曝を明らかにするプロジェクトが立ち上がった。リーダーは広島大学・星正治さん。統計学の大瀧さん。血液学の田中さん。(多くの漁船員が暮らす)高知県の元高校教師の山下さん。山下さんによる漁船員の追跡調査がきっかけ。
2014-08-06 22:07:49#NHK 1989年、高校の生徒たちと行った調査。地元の漁師から、ビキニ環礁周辺で操業していた船があると聞き、放射線量を調査。水爆実験から30年以上たっているのに、毎時1.5マイクロシーベルトを検出。山下さん、漁船員たち204人の実態調査を行った。
2014-08-06 22:08:54#NHK ガンなどの病気で61人がすでに死亡。一般の男性では白血病で亡くなった人が3人。しかし、山下さんには、病気と被曝を結びつけるすべはない。そこに、広島の科学者たちが助力を申し出た。「もっと早く気付くべきだった。もっと早く調べるべきだった」
2014-08-06 22:10:14#NHK 米が投下した2発の原爆で、その年だけで21万人以上の命が奪われた。生き残った人たちも、ガンや白血病などの病気に。人々は国に原爆症の認定を認めるが、認められない人が相次ぐ。そうした人々の身体に残る痕跡から、広島の科学者たちは被曝を明らかにしてきた。
2014-08-06 22:11:31#NHK 今回のプロジェクトでは、漁船員の被曝線量を測り、国際基準の100ミリシーベルトを超えるかに注目。星さん、漁船員の歯を集めることを提案。ほかの組織は絶えず細胞が入れ替わるが、歯は入れ替わらないので、被曝の痕跡が残る。表面のエナメル質に放射線が当たると電子に異常が。
2014-08-06 22:12:50#NHK 異常が起きた電子の数を調べることで、浴びた放射線量を導き出すことができる。山下さん、漁船員たちの歯を探し始めた。以前調査で訪れた漁船員の家へ。すでに亡くなっている人もいる。本人に会えても、自分の歯がもうない人も。「やるんやったらもっと早うせんと」
2014-08-06 22:14:22#NHK 1954年のビキニ水爆実験。米が広島長崎の原爆投下の9年後に行った。この時、第五福竜丸の漁船員の被曝が明らかに。日本政府は23人の被曝を認定。実験はその後も繰り返され、大量の死の灰が太平洋に。この間、周辺の海域で大勢の漁船員たちがマグロを追っていた。
2014-08-06 22:16:08#NHK 被曝を疑う声もあったが、国は認めなかった。なぜ漁船員たちは自ら声を上げてこなかったのか。桑野浩さん81歳。高知県室戸市の第二幸成丸に乗っていた。1954年3月27日、2回目の水爆実験に遭遇。「黒いのが降ってきて、何や何やと」いま生き残っている漁船員は3人だけ。
2014-08-06 22:18:02#NHK 桑野さん、仲間の死が被曝によるものだと思いつつも、「禁句だった。室戸市内では、ビキニの話はないことにしようという風潮だった」妻「漁船も船もなくなると、室戸が全滅するから」
2014-08-06 22:18:57#NHK 同じく第二幸成丸に乗っていた久保尚さん77歳。国による身体の放射線検査を受けたことを覚えている。測定器は激しく鳴っていたという。しかし、国から結果を知らされることはなく、その後も対応は何もなし。「そんな病気があるとは全然わからんし、死の灰やと言われてもわからん」
2014-08-06 22:20:13#NHK 国が漁船員に行った検査の結果はどうなったのか。山下さんが当時の資料を調べたところ、厚生省による放射線検査のマニュアルが見つかった。船体や魚だけでなく、人体の被曝線量を測るよう指示。被曝翌年の検査報告書も。船体と魚の線量は記載。しかし、漁船員の身体の測定結果はなし。
2014-08-06 22:21:39#NHK なぜ最も重要な身体の記録が示されないのか。山下さん、国や県に説明を求めると、「身体の検査記録は残っていない」と回答。1986年3月7日、衆院予算委で、高知県選出の議員が質問したが、「数字についてつかんでいない」と厚生省。「対策を講じることは考えにくい」と厚労相。
2014-08-06 22:22:54#NHK 国はその後も一切の対応を拒み続けた。山下さん「江西省は『解決済みです。資料はありません』の一点張り。何度も諦めかけました。この壁の厚さは並ではない」漁船員たちの沈黙は続いていた。
2014-08-06 22:23:48#NHK 2013年10月。抜いた歯が見つかったという知らせが星さんに届いた。男性は9日前、歯医者で歯を抜いたばかりだという。乗っていた第五明賀丸、実験から1300キロの海上にいた。歯は研究室で、表面のエナメル質だけを分離。マイクロ波を当てて、異常な電子の数を数える。
2014-08-06 22:25:38#NHK 分析開始から1ヶ月。結果が出た。放射線量414ミリシーベルト。「明らかに高めに出ています」この値には、日常生活での被曝も含まれる。自然放射線と医療被曝の推定分を引くと、319ミリシーベルト。ビキニから1300kmでこの値。広島の爆心地から1.6kmの被曝と同じ。
2014-08-06 22:27:21#NHK 2013年11月、広島大学の田中さんも室戸市へ。血液の細胞の中にある染色体の異常を調べる。放射線により切断された染色体は元に戻ろうとするが、誤って別の染色体と合わさったりする。歯ほど正確な値は出ないが、より多くの漁船員を調べることで、被曝の広がりを把握できる。
2014-08-06 22:29:21#NHK この日の採血では、9人の元漁船員が集まった。これまで口を閉ざしていた漁船員たちが、進んで血液を提供した。久保さん、船に乗っていた仲間たちのために、今回の調査を受けることにした。同級生の寺尾良一さん、被曝の23年後に40歳で亡くなった。肝臓癌の疑い。
2014-08-06 22:31:01#NHK 久保さん、寺尾さんの死は被曝のせいだと思ってきたが、証明するすべがなかった。自らの検査結果で、被曝したことを明らかにしたいと考えている。高知や愛媛、宮城などから8隻、18人分の血液が集まった。田中さんがこれを解析する。染色体の異常を1つずつ確認。
2014-08-06 22:32:49#NHK 2本の染色体が誤ってくっついている異常があった。1人あたり1300個の細胞を調べる。そのうちいくつの異常があったかを確認。
2014-08-06 22:33:49#NHK 2014年2月、ワシントン。アメリカ国立公文書館。公開された当時の極秘文書の中に、日本の厚生省がまとめ外務省を通じて米国務省に渡った検査記録があった。被曝した船のリスト。魚と船体の放射線量の隣に、漁船員の被曝線量が記載されていた。国が「存在しない」としてきたデータ。
2014-08-06 22:35:44