MM祭り
- DaiskeIkegami
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ということは,巨大基数使ってMMがforceできたら,巨大基数使ってNS_{ω1}のω2飽和性ができるじゃん!ADに慣れてない人たちにとっては,うはうはだったと思う。
2014-08-12 23:52:58で,ここにきてShelahのsemi-proper forcing のrevised countable support iteration が光ってくる。
2014-08-12 23:55:06彼らがやったのは,Shelah のforcing iterationの技術を使って,semi-proper forcingをiterateしながら,考えうるstationary set preserving forcingを全て semi-proper にする,というもの。
2014-08-12 23:55:23そういうことをやると,超コンパクト基数を使って,MMがforceできることがわかる。で,NS_{ω1}のω2飽和性の無矛盾性が超コンパクト基数のそれより強い,というbeliefはここでもろくも崩れ去る。
2014-08-12 23:56:47Shelahが提供してくれたテクニックはこれだけじゃなく,実数をくっつけないforcing iterationの理論もその一つ。これをMM関係のテクニックと組み合わせて使うと,超コンパクト基数から,実数をくっつけずにω1上のω2飽和なイデアルの存在がforceできることがわかる。
2014-08-13 00:02:23この事実は,記述集合論・内部モデル理論にとって大きな衝撃だった!というのも,MMの導入以前に,Magidorが以下のようなことを示していたから(文献:bit.ly/1rmCw3K)(続く)
2014-08-13 00:05:42定理(Magidor)::ω1上のω2飽和なイデアルがあって可測基数が存在すると,全てのΣ1_3集合はルベーグ可測になる。
2014-08-13 00:06:12余談:preciptous(険しい、急な)なイデアルってなんかイメージしづらい。なんでこんな言葉が当てられたかって、チェコ語でprikryが英語でprecipitousになるっていうのが理由とかなんとか #人名で遊ぶな案件 #要出典案件
2014-08-13 00:41:51実数を付け加えずにω1上のω2飽和なイデアルの存在をforceすることで,L(R)の理論を変えずにさっきのMagidorの結果を使うことができ,ルベーグ可測性についてのZFC+巨大基数公理の定理が証明できる。
2014-08-13 00:10:44実際Woodinは,Foremanから(当時電話で)実数を付け加えないでいいイデアルをforceできる話を聞いて,Magidorの議論を改良して,超コンパクト基数の存在から,全てのL(R)に属する実数の部分集合がルベーグ可測になることを証明している。
2014-08-13 00:12:10余談:Solovayは,1970年(かその前)に,全ての実数の部分集合がルベーグ可測になるモデルについての論文で,上記のWoodinの結果を予言している。Solovay コワイ。
2014-08-13 00:13:46で,巨大基数の存在から,全てのΣ1_3集合(あるいはもっと複雑な集合たち)のルベーグ可測性が出る,という事実は,記述集合論においては新鮮なものであったけど,内部モデル理論にとってもとんでもない衝撃的事実だった。
2014-08-13 00:16:18というのも,当時構成されていた全ての内部モデル理論はΔ1_3な整列順序を持つことが知られており,とくにΔ1_3でルベーグ非可測な集合がそのモデルに存在していることになる。
2014-08-13 00:18:48当時人々は,超コンパクト基数を持つ内部モデルが(当時の内部モデル理論の枠組みで)構成できると信じており,そうなると,そのモデルはΔ1_3な整列順序を持たなければならないことになる。
2014-08-13 00:19:58さっきのWoodinの結果から,超コンパクト基数を持つモデルでΔ1_3な整列順序を持つものが存在しないことがわかってしまったわけだ。当時の人達にしたら「なんてこった!俺たちはどうしようもない勘違いをしていた!どうりであんなに頑張ってもうまくいかないわけだ!」という感じだったろう。
2014-08-13 00:21:43Δ1_3な整列順序を持たない内部モデルの構成には,本質的に新しいことをしなければならない。では,どのくらいの巨大基数からΣ1_3集合たちのルベーグ可測性が帰結できるだろうか?実数をくっつけないでω2飽和なω1上のイデアルがforceできるか。NS_{ω1}のω2飽和性は?
2014-08-13 00:24:13ここから,必要になる巨大基数を見極めるため,巨大基数の下げあいが始まった。とくに,ShelahとWoodinがガチで競ってた。超コンパクト基数から超強基数。そのあとShelah基数。そしてWoodin基数。のちに,Woodin基数がoptimalであることがわかる。
2014-08-13 00:26:17余談:M先生によると,当時Woodinは,Woodin基数のことを「The cardinal」と呼んでいたらしい。さすがに自分の名前をバリバリ使えないよね。今はバリバリ言ってるけど。
2014-08-13 00:27:31で,どうやらWoodin基数より下げるのは難しそうだから,Woodin基数を持つ内部モデルを作ろうぜ!と話が進む。このときには,Woodin基数を持つ内部モデルの理論が本質的に新しいものになることはわかっていたので,多分心の準備はできていたと思う。
2014-08-13 00:29:27で,やっぱり詰まる。でもうまくいかないところをきちんと見ていくと,iteration tree という概念が出てきて,むしろWoodin基数とそういう数学的対象(のcofinal well-founded branch)を使って実数がコードできることがわかってくる。
2014-08-13 00:31:36さっき言ったウディン基数とiteration tree というものを使って実数をコードすることで,決定性を証明できる集合の複雑さを二階算術の量化子一個分上げることができることに。
2014-08-13 00:34:18