犬さん深夜tweet

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Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

河原にいます。大きなスコップを持ってきた。「2520円です。」とか何とか言ってたあの店員。将来、僕の顔写真を見せられて、「たしかに間違いありません。」とか何とか答える。刑事に。テレビドラマとかで知っている。刑事は証拠品と販売者と容疑者を結びつける。

2014-08-13 00:54:35
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

スコップだけが社会と僕を結びつけてるのかもしれないなと感じる。刑事の行動は正しいかもしれない。僕は全裸なわけではないから、大げさな感想だ。冷たい部分を探して柄を握り直す。今晩は穴を掘りに来たのだ。穴を掘って、穴を掘って、それが今から30分前のこと。今もまだ、穴を掘ってる。

2014-08-13 01:00:42
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

刑事は僕を気にするかな?僕が今からやり遂げることは、刑事と関係あるんだろうか。気晴らしの想像が成り立たないかもしれなくて不安になった。ぼくは、スコップを買ったが、それは遠回りだったと思う。本当なら、理想を言えば、ぼくはビーバーに生まれたかった。

2014-08-13 01:08:10
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

ぼくは刑事について考えるのをやめ、ビーバーに変げした自分を想像した。僕は今からこの河原にダムを作る。ダムを作れ、ダムを作れ、ダムを作れ、息が続かなくて水しぶきをあげて水面に姿を現す。濡れた僕は月明かりに照らされ輝いてると思う。川底の泥々を飲んだぼくは病気にかかって死ぬと思う。

2014-08-13 01:20:15
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

やっぱりぼくは刑事について考えたかった。ビーバーの警察がぼくを操作すると思う。ビーバーの刑事は人間の絡む事件に慣れてないから操作に苦労する。警官の制服を来たビーバーがホームセンターの駐車場にパトカーを乗り付ける。聞き込み開始だ。ビーバーは月明かりに照らされたぼくの写真を持ってる。

2014-08-13 01:22:19
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

ビーバー警察が捜査を進める間も、ぼくは休まず穴を掘ってる。ビーバー警察も操作の手を緩めない。やがて一人のビーバー警察官が、ぼくにスコップを売った店員とめぐり合う。店員は聞かれたことに答え、ビーバー警察はそれをもとに起訴の準備を進める。ぼくが河原で穴を掘ってる間に。

2014-08-13 01:28:55
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

僕は裁判のことは詳しく想像できないからあっという間だ。ぼくは有罪になりビーバー刑務所に放り込まれる。ビーバーの作った刑務所はすごいぞ。ぼくは刑務所のことは色々と知識があるから想像するのが楽しみで仕方なかった。ビーバー刑務官がぼくを牢に案内した。

2014-08-13 01:32:56
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

ビーバーの刑務所は一点から放射状に房舎が広がっている。もちろん、ぼくにはこの建物の全体がどうなってるかなんて知ることは許されないから、刑務作業の行き来で想像したことだ。でも、どこか一点から全てを監視できるようにしたいと思うだろう。ぼくがビーバー刑務官なら絶対そう思う。

2014-08-13 01:46:38
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

このような刑務所は、管理のしやすさから言うと理想的だった。間違いないと思って明治時代に日本人が建てた刑務所は火の移りが早くて一瞬で燃えてしまった。ビーバーの刑務所は水の中だから大丈夫だ。ちなみに刑務作業は穴掘りだ。ぼくは疲れた。早く牢に帰りたい。

2014-08-13 01:56:36
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

犯罪ビーバーたちはことごとく個室にブチ込まれる。プライベートを侵し合う気苦労から解放されて、なんと生きやすい社会だろう。犯罪組織で活躍していたビーバーたちも、もう二度とコミュニティを作り出そうとはしなかった。ビーバーは理想の刑務所と同時に、理想の社会システムを建設した。

2014-08-13 02:00:45
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

ぼくは額の汗を拭った。タオルは何処かに落としてしまったみたいだ。腕が泥だらけだか、却って顔が汚れて不快だ。闇の中に、水が染み出して底のほうに溜まってるのが見える。飛び降りる。底に立った。僕の頭はまだ地上に出ている。地球とは別の天体に降り立ったみたいな気がする。さらに掘り続けよう。

2014-08-13 02:11:29
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

あれからずっと、穴を手で掘り続けてた。地上まで、自分がもう1人分くらい深さがある。頭上に、泥で縁取られた夜空が青く光っている。月や太陽の明かるさじゃなくて、雲が跳ね返している地上の光だ。とにかく掘り、掘るのに疲れると屈葬のような状態で休んだ。ビーバーや刑事のことは考えなくなった。

2014-08-13 03:53:01
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

タオルやスコップは上に置いてきてしまった。やがて限界まで掘った。護岸工事の基礎だと思う。行く手を阻まれてしまった。超自然の力、ビーバーや人間を超えた力で掘り進むか、そうでなければ消えてなくなってしまいたい。入り口近い泥の壁を崩して、自分を埋めてしまうことを考えた。

2014-08-13 03:54:08
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

「何してるでヤンス?」いきなり声をかけられたが、無視をする。模範囚として監視社会で認められなければ、出所の日は遠いんだ。だからこういうやつとは関わり合いにならないと決めてる。「お前、人間でヤンスか?」しつこいビーバーだ。無視だ。無視が全て。無視が答え。無視の上手なやつを真似るんだ

2014-08-13 03:54:38
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

「ここ出たらおれの組に来いよ」とか「ドコドコに聞けばナニナニの世話をしてやる」とか、そういう馴れ馴れしいビーバーはきまって塀の中で人生を終えるんだ。逮捕されてまで犯罪者づらするな。反省しろ。謝れ。許しを乞え。おれは出所するまでに理髪師の資格を取って、真面目にやり直すつもりだ。

2014-08-13 04:02:47
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

無視大作戦が功を奏して、ヤンス野郎は何処かへ消えて行った。「千七十九番、面会だ!」おれに面会?面会なんであるわけない。おれはすべて地上に置き去りにした孤高のビーバーだ。おれは無視する。だから世界も俺を無視しろ。無視してくれ。おれはもう無視されたんだ。だからおれも無視するんだ。

2014-08-13 04:05:03
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

面会室はクーラーが効いていて快適だった。掃除が行き届いていた。俺は思わず面会室を掃除する刑務を想像した。面会者の顔は見えない。「会いたかったよ。」という声を聞く。知らない声だ。人違いだ。ほっとするだけでなくて同時に切なくなった。面会かと思ったんだ。おれに会いに来てくれたと思った。

2014-08-13 04:07:23
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

紙袋のガサガサいう音がする。急に面会ビーバーが憎くなった。パンの中にナイフを隠しておれに渡すつもりか?聖書の中にピストルを隠しておれに渡すつもりか?おれに面会しに来てくれる人はいないのに、何か刑務所に用事があって立ち寄るビーバーがいるということが恨めしかったんだ。

2014-08-13 04:11:10
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

渡されたのは手紙だった。それはビーバー中国語で書かれていて俺には読むことができなかった。封筒のなかをたんねんに確かめたがカミソリや針金は見つからなかった。昼飯を食べ終わり、サイレンが鳴って俺は広場へ駆り出された。もう掘る穴は残ってない。そこらじゅう穴だらけだ。今度は埋めるのか?

2014-08-13 04:12:08
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

「面会だったヤンスか?」ヤンス言葉野郎がまた声をかけてきた。俺は無視して持ち場に向かった。掘り始めるとおれのスコップはみるみるうちにバラバラになった。ねじがゆるんでたのだ。ねじは土の中に消えた。俺は特別房で手痛くいじめられた。ねじを盗んだと思われたのだ。何かを企ててると疑われた。

2014-08-13 04:12:17
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

それから一週間が経った。雨で穴掘りがなくなり、工房でタイルの絵付けをしていた。珍しい刑務だ。刑務官の目を盗み、俺に近づいてきたヤンスは氷を手渡してきた。氷を口に入れると清涼感がある。ヤンスは何が目的で俺に近づくのだろうか。ヤンスは無言だったが、「氷ヤンス」とヤンス言葉を想像した。

2014-08-13 04:12:36
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

おれは下書きに沿ってタイルに絵付けをしながら考えた。ヤンスの親しみのこもった態度に負けてはいけない。あいつはおれをばかにしてるんだ。ヤンスは受刑者とは思えない美人であるから、一目置かれ、獄世の苦労とはまるで縁がなさそうだった。その利をうまいことに、何か企んでいるに違いないんだ。

2014-08-13 04:16:14
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

見ると手元がめちゃくちゃに狂ってタイルをダメにしてしまっていた。余計な考え事のせいだ。おれはまた特別房送りだ。ガタッと音がし、向こうで刑務官が立ち上がったのが見えた。きっとこっちへ向かってくる。ツカツカと革靴の音が近づいてくるから俺は下を向いた。遠くで誰かが痛めつけられる音がした

2014-08-13 04:21:53
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

顔を上げるとヤンスが立ちはだかって刑務官に意見していた。「ヤン、スーでヤンス!」「千七十八番、妨害するのか?」「ヤン、スーでヤンス!」「ヤン、スー?ヤン、スー、そうか、お前中国人か」「そうでヤンス」「千七十八番、お前も一緒に懲戒を受けたいのか?」誰かをかばっている様子だった。

2014-08-13 04:25:28
Yuu Yamamoto 🥚 山本悠 @yuuuuuuuuuuuuuu

ヤンスーが中国人であることを知っても、あの手紙との関連をすぐには思いつかなかった。そんなことより、ヤンスーが誰をかばっていたのか、気になって仕方がなかった。穴掘りの刑務の間、ずっとそのことを考え、広場にヤンスーの姿を探した。しかし、あの日以来、ヤンスーを見かけなくなった。

2014-08-13 04:29:09
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