【邪悪の樹】第一戦闘フェイズ――第三の樹

『智の剣』陣営『愚鈍』(@nowalu) 『理の盃』陣営『無感動』(@Az2_ady
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【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

男はもう受身はとれない。きっとあのまま地面に叩きつけられれば無事ではすまないはず。 もし平気だったとしても、放置していれば出血によりショックを起こす。 そうなればもう自分の勝利は確定事項。 先程の宣言した時よりも確実、男は敗北から逃げられはしない。

2014-08-19 14:50:15
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

…そうだ、私はただ逃げ続ければいい。男が動けなくなるまで、ずっと! 勝利は確定した。その道筋もしっかりと見える。 …なのに、この釈然としない気持ちはなんだ。 男のやっていることは、敗北しないがために敗北へと突き進む自殺行為。 私が求めていたのはこんなのじゃない。

2014-08-19 14:50:32
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

…――助けなければ!! そう思った瞬間足が動く。 男が落下していく下に、今まで凶器としてしか役割を得なかった氷を、今度は薄い膜として何層も形成させる。 もちろんそれは地面へ衝突する衝撃を少しでも和らげるため。 「お願いだから、もうやめて!!」

2014-08-19 14:51:13
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

悲痛な叫び。 戦う前はあれ程殺したかったのに。私だけが助かりたかったのに。私だけが――…。 男が自らを傷つけていくのを見ていると、どこかこの身体には無いはずの心が酷く傷む。 ふと男に重なって映る、今よりもずっと小さい自分の姿。

2014-08-19 14:51:32
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

なんだ、これは。 思い出すことのなかった記憶が見えた気がした。 彼女の足は、男が落ちるであろう場所で止まり、男を見上げ、まるで受け止めようとするかのように手を広げる。 この小さな身体では、そんなこと出来るはずないのに。 考えることも、理解することもなく。 ただ勝手に身体が動いた。

2014-08-19 14:53:41
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

何かがおかしい。まさしく肉塊として、砲丸のように地面を抉り取るはずだった男の身体が、何かに受け止められた。 柔く、少し冷たいそれらは『愚鈍』の落下速度を削り、衝撃を和らげようとする。 「おおおおおおっ!!!」 意識は朦朧としていて、まるで全てが空気に溶けてしまっているようだった。

2014-08-19 23:05:17
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

だから、自分に差し伸べられた手など気付くはずもないはずだ。 だが、その時何故か『愚鈍』の手が地面へと伸ばされた。果たしてそれが敵にトドメを刺すための行為なのか、下にいる彼女を押し潰さないための行為なのか。朦朧とした意識ではどれを認識してどのような考えに至ったかは分からない。

2014-08-19 23:05:20
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

腕が、杭のように地面に突き刺さる。 だが、血を失いフラフラな『愚鈍』の腕ではどれほど耐え切れるものだろうか。 すぐに、山が崩れるように男の腕は力尽きた。 落下の際に砕けた氷が舞い、幻想的な空間が生まれる。 果たして彼女の腕は、身体は無事なのだろうか。

2014-08-19 23:05:25
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「うっ…」 衝撃で頭を打ったのか、一瞬気を失っていたようだ。 目の前にはあの愚かな男が自分に覆いかぶさる形でそこにいた。 男の身体の下敷きになっているからか、身体が痛い。 ただ、それだけ。 とっさにした行動だったが、腕が折れてもおかしくない事をしたのになぜか痛まない。

2014-08-20 00:34:56
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

直前に見た景色を思い出す。 確か直前で男は何を思ったか知らないがその腕を伸ばしてきた。 そうか、それで私は無事だったのか。 「お、重い…」 とはいえ、やはり重い。 なんとか隙間を作って、男の下から這い出る。 そうだ、出血は、この男はどうなった? 彼女は急いで男の容体を確認する。

2014-08-20 00:36:07
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

予想していたよりも酷い。本当になんて愚かな事を…。 ともかく一刻も早く出血を止めなければ! 彼女は肉が見えるその千切れた部位を凍てつかせる。 凍傷の心配があったがなりふり構ってられない。遠くに転がる男の右腕も凍てつかせ、腐るのを遅らせる。

2014-08-20 00:36:38
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

本当は身体全てを凍てつかせ仮死状態にさせるのが得策だが、自分一人でこの巨大な身体を運ぶことなど絶対に不可能。 男の頭を抱え、容体を随時確認しながら必死に頭を回転させる。

2014-08-20 00:37:22
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

誰かこの男をどうにかできる人はいたか、屋敷に戻れば医療器具ぐらいなら、知識もある、腕の結合、屋敷だと可能だ、でも血液の確保は、そんなものでも屋敷では手に入れられたか、輸血ショック、そうだこの男が特殊な血液型だったら、検査?そんな時間なんてない、分からない、何をどうすれば―…

2014-08-20 00:38:41
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「…なんで、こんなバカなことをしたのですか…」 ごつんと頭を男の頭にぶつける。 その声も風に溶けて消えていった。

2014-08-20 00:38:52
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

非常に穏やかだ。 何か良くは分からないが何かをやり遂げたような気もするしほどほどの疲労感が意識の中をふわふわと漂っている。 傍から見て、その顔色は明らかに血の気が引いてはいるがその表情は意外と柔らかい。 額がひんやりと冷たくなる。戦いで火照った身体に人肌は少し冷たい。

2014-08-20 03:18:36
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「……お、お?」 少しだけ、意識の海から顔を出す。視界は霞み足元も何もおぼつかないが、なんとか立ち上がる。 辺りを一回二回と見渡し、足元の女の存在にようやく気付く。 「何故、俺、生きて……いる」 いつもよりも、更にゆっくりな話し方で疑問を発する。

2014-08-20 03:18:44
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

巨大な身体が、動いた。 あんなに意識朦朧としていたのに、この男はどこまで屈強なのだろう。 だが平気、というわけではないようだ。足元もおぼつかない。 「やはり、死ぬつもりだったのですか…っ」 男の言葉に声を荒げる。

2014-08-20 11:46:22
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「本当に愚かな事を!敗北で死すならまだしも、自らの命を捨てて向かってこようとは!」 傷ついた内臓が酷く痛む。 身体の奥から熱いものがこみ上げ、吐出す。 それでもかまわず彼女は叫ぶ。 「こんなの戦いじゃありません!美徳でもなんでもない、残された人の気持ちも考えもしないで――…」

2014-08-20 11:46:44
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

悲痛な叫び。 「…どうしてもっと、自分を大事にしないのですか…」 涙が頬を伝う。 ふと私はこんな表情ができるのか、と冷静に自分を観察する自分がいた。 …敵になんて顔を見せているんだ、私は。 涙をぬぐい、表情を険しいものへと変える。

2014-08-20 11:47:12
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「選びなさい。 このままここで朽ち果てるか、それとも――」 男に向けて手を差し伸べる。 「私と共に生きるか。」

2014-08-20 11:47:33
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「俺、頭、良くない……殺せ、言われ、それだけ」 途切れ途切れに、女の質問に答える。その間に、回らぬ頭で何とか周りの状況を観察する。 謎の説教、近くにいる女、落下した時に微かに感じた冷気。 愚かな『愚鈍』にだって、答えは導き出せる。 「泣いている」 翡翠の瞳から、ポロリと飛び出る。

2014-08-20 12:09:52
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

すぐに拭われたが、確かにあれは涙だ。 人を、泣かせた。 「う、おおおおぉぉ!」 残った手で胸を抑える。何か、ずきりと痛みが走ったのだ。禍罪では中和出来ない、謎の痛みが。 その正体は『愚鈍』には分からぬが、彼女からの答えは決まっている。 「命、助けられた。だから、お前と、行く」

2014-08-20 12:09:55
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

大きな手を、重さを乗せないよう彼女から差し出された手の上にそっと乗せる。

2014-08-20 12:10:30
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

男が残ったその手で胸を抑え叫んだ時、これ程言ってもダメかと感じた。 だが、違った。 そっと乗せられた自分の手よりも何倍も大きい男の手を掴み宣言する。 「禍罪を解除…貴方の支配を許可します。」 先ほどまでどうして動かなかったのかと思うほど、男の失われた感覚がすっと、自然に戻る。

2014-08-20 12:43:12
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「…屋敷に戻り、貴方の治療を開始します。扉までなら自分で歩けますね?」 ああ、あれも自分で持ってきてください、と転がっている千切れた男の腕を指さす。 ここまで思考が出来るなら、まだ、大丈夫だ。 彼女はすぐに屋敷に戻った後の行動を思考する。

2014-08-20 12:43:38