1943 ザ・バトル・フォア・ミッドウェイ #3

ヤンデレvsヤンデレと某所で言われたが、どっちかっていうと頭のアレな子vs頭のアレな子って言ったほうが正しい
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劉度 @arther456

◇◇◇◇◇◇◇ ←九十一式徹甲弾

2014-08-30 20:30:27
劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss を使用していただけると大変ありがたいです。宜しければ暫くの間、お付き合い下さいませ)

2014-08-30 20:31:47
劉度 @arther456

【1943 ザ・バトル・フォア・ミッドウェイ】#3

2014-08-30 20:34:25
劉度 @arther456

(これまでのあらすじ)空母棲姫、本土強襲。AL/MI作戦で手薄になった横須賀鎮守府に襲いかかったのは、中間棲姫と戦艦棲姫の力を取り込み、超大型爆撃機『亜也虎』と融合した空母棲姫と、彼女が魔力で復活させたB-29の大編隊だった。迎え撃つのは翔鶴たち。だが……。

2014-08-30 20:35:29
劉度 @arther456

「第一波凌ぎました!」「ミサイル装填急げ!本隊が来るぞ!零戦隊は今のうちに上昇して、上から敵を待ち構えろ!」その頃、中将のいる指揮艦は騒然としていた。これから来るのは敵の本隊、33地区の空母が後ろを守っているとはいえ、自分たちもやれることを全てやらなくてはいけない。 1

2014-08-30 20:36:50
劉度 @arther456

「加賀、準備は!?」「できました」「よし!」中将麾下の艦娘たちも、再び式神を繰り出す。その横で、オペレーター妖精さんが悲鳴を上げた。「提督!敵編隊が更に上昇!高度九千です!」「何ィ!?」その高さは、通常の式神が届かないことを意味する。届くのは、33地区の陸戦機だけだ。 2

2014-08-30 20:40:14
劉度 @arther456

せめて零戦が烈風なら、そんな思いがよぎるが、後悔しても状況は変わらない。「航空隊は少しでも高く飛べ!一機でも多くライトニングを引きつけろ!」艦娘たちに指示を出した後、中将は天を仰いだ。やれることは全てやる。だがその後は33地区に任せるしかない。己の無力さを、噛み締めていた。 3

2014-08-30 20:43:39
劉度 @arther456

一方、翔鶴たちは。「敵本隊、来るわよ!」「待って待って、何あの数!?空が黒くなってんだけど!?」隼鷹の言うとおり、水平線が黒くなっていた。飛来する爆撃機編隊は、まるでイナゴの群れのようだ。稲穂を食い尽くす代わりに焼き尽くすという点では、比喩ではなくイナゴそのものと言える。 4

2014-08-30 20:46:53
劉度 @arther456

「数とか言ってる場合じゃないわよ!落とせるだけ、落とすのよ!」飛鷹が飛燕を発進させる。「わ、分かった!」続いて隼鷹も。その後に翔鶴が屠龍を繰り出す。上がる航空機たちだが、すぐに異変に気付いた。敵の直掩機が降りてこない。代わりに、上空で幾つもの円を描いて飛行している。 5

2014-08-30 20:50:09
劉度 @arther456

「何のつもりよ……飛燕隊、やっちゃいなさい!」飛鷹が果敢に式神を突入させる。円陣内に突入した戦闘機を、外周のP-38は素早く察知、四方から機銃を浴びせかける!これにはたまらず、飛燕たちは次々と撃ち落とされていく。「そんな……っ!」 6

2014-08-30 20:53:25
劉度 @arther456

「ちくしょう、囲んでタコ殴りかよー!」隼鷹は毒づきながらも、円陣を避けるように飛燕を飛ばす。しかし今度は別の円陣が近づいて式神を挟み込み、両側からの機銃射撃ですり潰す!「あーもう!妖精さん、無事!?」『だ、脱出はなんとか!でもこれじゃあ屠龍が近づけません!』 7

2014-08-30 20:56:39
劉度 @arther456

飛燕でこの有り様、運動性で劣る屠龍にこの防御陣形を突破できるはずがない。つまりB-29に近づけないことを意味する。「このままでは……」ギリ、と翔鶴が爪を噛む。150機を超す爆撃機が日本を襲う。10年前の大空襲の再来、あるいはそれ以上になる。そうなったら、瑞鶴が悲しむ。 8

2014-08-30 21:00:00
劉度 @arther456

「屠龍隊」翔鶴の声が、急速に冷たくなった。「損害を気にせず、突撃しなさい」「翔鶴さん!?」「一機でも多く、体当たりしてでもあの爆撃機を止めなさい。瑞鶴のために!」翔鶴はB-29を睨み殺さんばかりに目を見開いて、天を仰いでいる。 9

2014-08-30 21:03:19
劉度 @arther456

「ヤバいぞ、翔鶴さんがキレた!」妖精さんが乗り込んでいる都合上、特攻は推奨されない。しかしそれを止める安全装置は式神には無いのだ。「翔鶴さん、落ち着いて!せめて私たちがペロハチを削ってから……」「心配しないで瑞鶴。お姉ちゃんがちゃんとやってあげるから」「飛鷹です!」 10

2014-08-30 21:06:30
劉度 @arther456

屠龍が突入を開始する。妖精さんたちは慌てず騒がず、脱出の準備を整える。しかしこの無数のP-38が飛び交う中で、無事に降下できるかは分からない。「どうしたものでしょう」悲観に暮れて妖精さんが呟く。差し込む太陽もかげった。「へ?」今日は雲一つ無い快晴。何が光を遮ったのか。 11

2014-08-30 21:09:50
劉度 @arther456

見上げる。B-29の上を行く屠龍の更に上、遥か上空一万mの高さから、何かが落ちてくる。太陽の眩しさに細められた目が、見開かれた。式神だ。だが見慣れた零戦とも、双胴のP-38とも、ましてや深海棲艦の艦載機でもない。機首にいくつも吸気口の空いた、鋭角的なフォルムの機体。 12

2014-08-30 21:13:03
劉度 @arther456

「うわっ!?」謎の機体は瞬く間に急降下、屠龍の側を通り過ぎていく。その一瞬、妖精さんは見た。先頭を往く機体に黄色で描かれた"14"、続く機体に黒で描かれたチューリップを。驚いているうちに、先頭の機体が単騎で円陣に突入、待ち構えていた周囲のペロハチが牙を向く。 13

2014-08-30 21:16:21
劉度 @arther456

牙が、続けざまに2本折れた。「なっ――!?」上から見ていた屠龍の妖精さんは、辛うじて何が起こったか理解できた。あの戦闘機は円陣の内側に入り、敵より小さく旋回しながら機銃を避けつつ、2機のP-38に機銃を撃ち込み撃墜したのだ。回る敵機が色付きの帯に見えるような視界の中で! 14

2014-08-30 21:19:34
劉度 @arther456

更に黄色の14の機銃が閃光を放ち、P-38が墜ちる。完璧な偏差射撃によって、円陣が崩れる。その絶好のタイミングで、黒いチューリップが僚機を引き連れて突入した。この瞬間を待っていた、と言わんばかりに編隊が散開、瞬く間に、あの忌々しい双胴の悪魔が撃ち落とされていく。 15

2014-08-30 21:22:51
劉度 @arther456

『何をボサッとしてる!』いきなり通信機から怒鳴り声が響いた。「は、はいっ!?」『早くあのデカブツをやってくれ!俺らの機銃じゃ威力が足りねえんだ!』『直掩は我々に任せて、そちらは爆撃機を』どうやら謎の機体のパイロットたちらしい。「あ、あの、あなた達は!?」 16

2014-08-30 21:27:28
劉度 @arther456

『我々は……ポートダーウィン戦闘航空団、ということにしておこう』「はあ……?」聞いたことのない地名だ。しかし味方なことは確かなようだ。妖精さんたちは再び操縦桿を握る。照準、B-29。「ふぉいあー!」37mm砲は見事エンジンを直撃し、大爆発を引き起こした。 17

2014-08-30 21:30:48
劉度 @arther456

一方、地上では翔鶴たちが騒然としていた。「あれは!?」「どういうことなの」彼女たちはあの機体を知っている。知っているからこそ、ますます混乱していた。飛んでいる式神は、ドイツ製陸上戦闘機・Bf109メッサーシュミット。翔鶴たちが魔法陣の力を借りても飛ばせなかった機体だ。 18

2014-08-30 21:37:55
劉度 @arther456

「誰が飛ばしてるのよ、あれ!」辺りを見回すが、それらしい人影はない。「っていうかクリスタルは!?金庫に閉まってあったはずでしょう」「それなんだけどさー」学校の中から、金庫を確認しにいった隼鷹が出てきた。「……こじ開けられてる」「はあ!?」 19

2014-08-30 21:41:10
劉度 @arther456

「あれ、結構いい金庫でしょ?あれこじ開けるって人間業じゃ……あ」そこまで言った飛鷹が、ある可能性に思い当たった。「まさか……」翔鶴と瑞鶴も、気まずそうに目を合わせる。軍用金庫を力任せにこじ開けるのも、ドイツの使い魔を飛ばすのも、人間にはできないことだった。 20

2014-08-30 21:44:33