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アレント

まとめました。
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小泉義之 @sentanken

H君たちが見ているであろうアレントの姿が、すこし見えてきた。そこは会ったときに突き合わせるとして、『人間の条件』の余滴を。頁数・訳文は、ちくま文庫。

2010-11-22 01:41:08
小泉義之 @sentanken

アレントは古代ギリシアについてこんなことも書いている。「貧しい自由人は、定期的に保証された仕事よりは、日々変わる労働市場の不安定のほうをむしろ好んだ。」(『人間の条件』(53))

2010-11-22 01:41:49
小泉義之 @sentanken

ここに註(20)が打たれ、クセノフォンが参照される。エウテロスは肉体労働しているが老いたら貧困に陥ると確信している。ソクラテスは、誰か「暮らし向きがよくて手助けを必要としている人」の助けを求めるよう助言する。エウテロスは、奴隷になるのは耐えられないと答える。

2010-11-22 01:42:31
小泉義之 @sentanken

アレントの出生を考えるとき、ファミリー(親密圏)への誕生や社会(家族拡大版)への誕生をイメージしていてはダメだ。子どもを狩り集めてスパイ・暗殺者・狂信者に育成する闇の組織・施設を描く映画が沢山あるが、そこから考え直した方がいい。

2010-11-22 01:43:57
小泉義之 @sentanken

アレントは、「社会による私生活の侵害」を認めない(102)。家事・育児・介護の社会化も全面的には認めなかっただろう。それはフェミニズムや権利運動に対する政治的態度に由来するというより、専門家が隅々まで光をあてて露わにして、闇や秘密や秘儀を消し去ってしまうからである。

2010-11-22 01:44:38
小泉義之 @sentanken

アレントは、善行は隠されなければならないとする。善行は、他人によって見られ聞かれて世界に現われるや、何か違うものに変じてしまうからだ。この些か古風な善行観を認めるとするなら、次のようになる。

2010-11-22 01:45:58
小泉義之 @sentanken

「善は隠すことから生じるものである以上、それが公的役割を引き受けるとき、善はもはや善ではなく、自ら腐敗し、その腐敗を至るところに撒き散らすであろう」(109)。これは、ビジネスライクな人を含め、現場の善行者は弁えていることだ。ところが、応用倫理が腐敗を撒き散らしているわけである。

2010-11-22 01:47:56
小泉義之 @sentanken

生命の幸福とは、苦痛がないこと以外ではない。とすると、生命の幸福の経験は、苦痛の欠如の経験であることになる。しかし、どうやって苦痛の欠如を経験できるというのか。ここから、ドラッグの機能に関する見方をアレントは引き出している。

2010-11-22 01:49:18
小泉義之 @sentanken

アレント『人間の条件』:「麻薬常用は、普通、麻薬が習慣性となる属性をもっているので非難されている。私には、あるタイプのおとなしい、やや頻繁な麻薬常用は、おそらく、その激烈な陶酔感と同時に一度経験した苦痛からの解放の快楽を繰り返したいという欲望によるものと思われる。」(213)

2010-11-22 01:51:20
小泉義之 @sentanken

アレントは「過程の概念」が十九世紀の発見であると指摘し、「内省に与えられる経験の枠組みの中では、私たちの肉体内部の生命過程以外に他の過程は知られていない」ので、これが過程概念のモデルになったとする。そして、生命過程を翻訳しそれに対応する唯一の活動力が労働であるとする。(175)

2010-11-22 01:52:24
小泉義之 @sentanken

ここまで持って来て、アレントは、生の哲学で労働が殊更に登場しないのは、だから不思議ではないとする。アレントは「ベルグソンの弟子たち」、Berth, Sorel, Tiglerをあげている。なお、「機械の世界」が生物的過程に似てきたともしている(243-4)。冴えている。

2010-11-22 01:53:52
小泉義之 @sentanken

アレントは『人間の条件』で、労働を安楽にしようとしても道具には限界があると指摘する。「台所に百個もの装置をそなえつけ、貯蔵室に半ダースほどの機械人間をおいても、一人の召使いのサーヴィスに完全に取って代えることはできないという単純な事実がある。」(182)

2010-11-22 01:54:34
小泉義之 @sentanken

労働が人間を動物から区別すると最初に主張したのはヒュームであるとしたAdriano Tilgherに、アレントは言及している(『人間の条件』第三章・註14)。

2010-11-22 01:55:10
小泉義之 @sentanken

労働と遊びをめぐるアレントの長い註は有益(第三章・註75)。最後がよい。「アカデミックな議論をすべて見渡した後に、大多数の労働者が「なぜ人間は働くのか?」と訊かれてただ「生活できるようにするため」とか「金を儲けるため」とか答えるのを知るのは、むしろさわやかなものであろう。」

2010-11-22 01:56:24
小泉義之 @sentanken

人間の複数性についてアレントが先ず念頭に置いているのは、過去の人間と未来の人間を数える複数性である(『人間の条件』(286))。こう言いかえよう。私たちがそこに生れて死んでゆく世界とは、死者たちと来たるべき民衆の間のことで(も)ある。

2010-11-22 01:57:05

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