子ども側の「しつけ認知」と親の悩み・成長との関係【心理学たんによる論文紹介】
- kisopsy_kun
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今回紹介する論文
今日紹介する論文は,小武内(2011)しつけを通じた親の「悩み」「成長」と子どもにおけるしつけ認知との関連です。jstage.jst.go.jp/article/jjep/5…
2014-08-29 21:22:25研究の目的
しつけとは,大人から子供に対してなされる,その社会で必要な慣習やものの考え方などについての指導や訓練の事よ。これらの行為は,子どもの人格発達,社会性の育成に重要な役割を果たす一方で,子どもの自尊心の低下や人間性の損失を招くしつけもあると考えられているの。
2014-08-29 21:23:27これまでのところ,日本ではしつけの際の言語的アプローチと子どもの認知に焦点を射当てた研究がメインとして行われ,国外では賞罰の量やタイミングが与える影響を検討したものが多いわ。
2014-08-29 21:24:41国内の研究では欧米のしつけ研究への反論を試みているの。たとえば,欧米のしつけ研究が単に賞罰の量と,しつけの効果のみを扱っており子どもの認知側面を考慮していないこと,しつけをその場の賞罰でのみとらえており長期的な人間関係の中でのしつけという視点が欠如していることを指摘しているわ。
2014-08-29 21:25:47ただし,これら国内の先行研究の問題点として,問題を起こした子どもとそれを矯正する大人という大人から子どもへの影響しか検討していないこと,
2014-08-29 21:26:48言葉の表現による影響など方法論的な理論が主になっており,間違った言葉をかけてしまったとき親がしつけをどう修正していくかなどが検討されていないことが挙げられるわ。個々の状況で,どんなしつけをする方が正解かを検討するより,どんな状況でどんな言葉をかけるかを模索するスタンスの方が重要よ
2014-08-29 21:28:02発達心理学の分野では,教育者と教育を受ける人は互いに影響しあい,教育をする中で教育者が悩み,変容することが知られているわ。でも,この変容が教育を受ける側にどのように評価されるのかは十分に検討されていないの。
2014-08-29 21:28:59これらの事から,小武内(2011)は親側が抱える悩みや葛藤,その結果の成長について調査し,尺度を作成したの。また,その尺度を使って親としての悩みや成長が子どもが感じる親への評価にどう影響するかも検討したのよ。
2014-08-29 21:31:03尺度の作成
尺度作成には中高生の子を持つ親15名(男性6名,女性9名)を対象に日頃のしつけ,それによって生じる悩み,悩みを通じて成長できたと思ったことを面接で質問したわ。これらを,KJ法で分類したの。
2014-08-29 21:32:47KJ法って言うのは,カードに特定の語句(今回の場合だと,親から得られた回答)を記載し,そのカードを内容の似たもの同士(e.g. 悩みについて語ったもの,成長について語ったもの)を一つのグループとして分類し,整理する方法の事よ。
2014-08-29 21:33:30KJ法の結果をもとに,内容妥当性とワーディングの検討を行ったの。内容妥当性とは,出てきた項目を専門家が確認し,その項目を質問紙にした時に,測りたい内容がきちんと測れることを確認するのよ。
2014-08-29 21:34:34ワーディングとは,項目を質問紙にまとめる際に言い回しが複雑でないか(否定疑問文など)などを検討し,分かりやすい文章に直すことよ。
2014-08-29 21:36:26本調査の実施
本調査の対象者は,A県内にある公立中高校に通う学生及びその親327組よ。子どもが複数いるご家庭の場合,いずれか1人の子供について回答。家族形態としては,男女分業型の核家族が多かったわ。
2014-08-29 21:38:09質問項目は,親に対しては年齢・職業・子ども数・子ども年齢・学年・家族構成について尋ねるフェイスシート,しつけの悩み・葛藤尺度,しつけを通じた成長・変化尺度に記入を求めたわ。
2014-08-29 21:39:35子どもには,性別・年齢・学年を記入したフェイスシート,親のしつけ評価に記入を求めたわ。原則両方の親について回答を求めたけど,片親しかいない母子父子家庭の場合は片親についてのみ回答したわ。
2014-08-29 21:41:40親の回答の分析結果
しつけの悩み・葛藤尺度の結果について因子分析を行ったわ。因子分析とは,前述したKJ法を統計的に行うと考えればいいわ。たとえば,質問紙のうち社交的であると人と話すのが好きであるという項目がいずれも高い得点であった場合,この2つをグループとしてまとめるわ。
2014-08-29 21:43:14因子分析の結果,5つの因子があったわ。1つ目は,しつけに関する硬直した対応(e.g. 柔軟にと思いつつも完ぺきを求めてしまう)に関する対応の硬直化因子,2つ目は配偶者に相談しても相手にしてもらえないなど家族内での問題が関連した家族成員間葛藤因子,
2014-08-29 21:44:463つ目は子どもへの対応への迷いや躊躇に関連した対応への困惑因子,4つ目はしつけの方向性が分からないなどしつけ観そのものへの模索や地震や社会との対比に関連した価値の模索・対比因子,5つ目は子供を可愛いとも憎いとも思うなど相反する感情に葛藤する両価性葛藤因子。
2014-08-29 21:46:05同様にしつけを通じた成長・変化尺度も因子分析を行った結果,人生の宿命について考えるなど人智を超えた洞察要素に関する自己超越性因子,反抗的な部分を含めて受け入れようとする態度を反映した受容的態度因子,
2014-08-29 21:47:54