深海長門の何気ない日常

深海棲艦となった長門・・・その長門のちょっとした日常を纏めたものです。半分グロ、半分ハートフルです。一応R18G的内容もあるので注意をば。
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深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「うっかり者でありマスネェ、長門殿は」 そう言い長門の刀を受け止めていたマストを艤装にしまい込むとしゃがみ込んで北方棲姫に手を触れた。 「気絶していまスネェ・・・何者でしょ?」 北方を抱き抱え、首を傾げる。 #深海長門の日常

2014-09-02 03:12:57
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「さぁナ・・・艦娘共は執拗に追い掛けていた・・・深海棲艦であるのは間違イナイダろうガ、こいつの名ガ北方棲姫ダしカワカラン」 「ふむ・・・ソウナるとどうしましょうカ・・・放っておくワケにモイカンでしょうし・・・鎮守府に連れていましょうカ?」 #深海長門の日常

2014-09-02 03:16:36
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「駄目ダ・・・提督ヲ襲うダろう、コイツは。提督に振り掛カる危険はすべテ排除すべきダ」 「うーん、デハ、提督に聞いてみるでアリマす。ソれナラば、文句もありませんヨネ?」 「お、オイ・・・!?」 あきつ丸はサッと無線で提督と連絡を取る。 #深海長門の日常

2014-09-02 03:19:21
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「ふむ・・・ふむ・・・了解でありマす、提督殿」 無線で提督に連絡を取っていたあきつ丸は無線に向かって敬礼すると踵を返して長門を観た。 #深海長門の日常

2014-09-02 03:20:36
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「・・・提督はナンダと言った?」 「連れて帰って来いとの事でありましタ」 無邪気に微笑むあきつ丸。死人のような顔であるがゆえに不気味さを感じさせる。 長門は「ヤッパリカ」と小声でつぶやくと鎮守府に帰投するべく歩み出した。 #深海長門の日常

2014-09-02 03:23:10
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

陽がかなり沈み掛けた頃、ドックに何人かの深海艦娘たちが集まっていた。 その中で唯一の人間、小柄な男性が工作艦明石に声を掛けた。 「どうだ、明石」 「ウゥン・・・命に別状はありませんネ。タダ、三式弾が体に喰い込んでいますし、艤装もメチャメチャです」 #深海長門の日常

2014-09-02 03:27:05
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「修理に時間は?」 「少し長めにナるカと・・・ただ、資材は深海駆逐艦程度で充分ナノでソコは心配しナくて大丈夫デすヨ」 「そうか。それなら始めてくれ。何かあれば連絡を。夕張は明石の手伝いを。神通、君はここに残ってもしものために明石と夕張の護衛を頼むよ」 #深海長門の日常

2014-09-02 03:30:22
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

夕張と神通は「了解」と言って明石の手伝いを始めた。 提督は長門たちを連れて執務室に戻る。 「何者でしょウ・・・」 「たぶん、新しい深海棲艦だろうな・・・艦娘たちがあの子の名を叫んでいたとすれば俺のところに情報は入って来ていない事になるな・・・」 #深海長門の日常

2014-09-02 03:32:34
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「自分たちは艦娘ではナく、深海棲艦の立場でありますカラネェ・・・」 「上の連中の敵視がある限り、しばらくはつづくな・・・さて、あの子の意識が回復したらコンタクトを取ってみよう、危険だけれど」 #深海長門の日常

2014-09-02 03:35:37
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「今回は深海艦娘ではナく、通常の深海棲艦ですヨ?ソれも姫級・・・」 心配そうに飛龍が言った。提督にもしもの事があれば一大事だという事は長門のみならず他の深海艦娘だって同じ事だった。 #深海長門の日常

2014-09-08 01:35:42
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「そうだよな・・・だけど、放ってはおけない」 「まぁ、提督ナらソうですヨネ・・・」 呆れながらもこういう人だとわかっていた。そうでなければ自分たちをここまで受け入れてくれるはずがない。だから、惹かれたのだ。こんな人だから。 #深海長門の日常

2014-09-08 01:39:25
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

しばらく経って北方棲姫が目を覚ましたという連絡があった。 提督たちは急いでドックに駆け付けると北方棲姫は明石たちに向かって威嚇していた。 明石を庇ったのだろうか、神通の左腕が負傷していた。 #深海長門の日常

2014-09-08 01:45:09
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「大丈夫か、神通!?」 「私ナら大丈夫・・・戦える分には問題ありまセん」 冷や汗を掻きつつも心配かけまいと提督に微笑んでみせる神通。 だが、主砲は北方棲姫に向いていた。北方棲姫は駆逐艦程度の主砲を神通たちに向け殺意の眼を剥き出しにしているようだ。 #深海長門の日常

2014-09-08 01:47:33
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「野郎、イイ気にナリやガッテ!!ここヲ敵に回したらどうナルカ、思い知らせてやるヨ!」 この状況に怒る摩耶は生物のような顎を持つ主砲を北方棲姫に向けた。今にでも撃ちそうな気迫である。 #深海長門の日常

2014-09-08 01:50:33
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「ヨォ、提督。撃つナらとっとと言ってくれ。もう攻撃されたんダ、撃たねェ理由はナイゾ」 「・・・」 「?どうしタヨ、提督」 「・・・そういう事かも、なるほど」 「アァン?何、納得してんダヨ?」 #深海長門の日常

2014-09-08 01:55:40
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

何を言っているのか、摩耶には理解できなかった。 ただ、撃ちたくて仕方なかった。目の前に撃ってもいいという正当な敵が居るのだから。撃ったとしても自分たちの縄張りを荒そうと言えばいい、提督ならわかってくれるはずだ。 #深海長門の日常

2014-09-08 02:00:06
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

しかし、摩耶の予想とは裏腹に提督はある行動に出た。提督は北方棲姫に向かって歩き出したのだ。 「提督、危ナイ!」 真っ先に声に出したのは長門だった。誰よりも反応が早く迷う事もなく。 「大丈夫だ・・・俺に任せろ」 提督は振り返らずに言った。 #深海長門の日常

2014-09-08 02:14:52
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

任せろ、そう言われ長門は黙り込んだ。 「オ、オイ!言い返さねェのカヨ!?」 「・・・言い返す必要はナイ」 「何でダヨ!?不安じゃネェのカヨ!?下手したら死んじまうんダゾ、アンタの提督ガ!!」 #深海長門の日常

2014-09-08 02:22:46
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「アア、不安でいっぱいさ・・・ダガ、提督は一度、決めた事ヲ曲げヨうとはしナイし・・・いつも乗り越えているカらナ」 「で、でもヨォ・・・」 「お前に言われんでもわカっているさ。提督にもしもの事ガあれば必ず私ガ護り抜く。ソれダけは提督にダって負けはしナイ」 #深海長門の日常

2014-09-08 02:26:35
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「ケッ、お互いに自信たっぷりってカ・・・」 「まぁ、摩耶・・・提督は多少の危険ナ目に遭いソうにナったとしても私たちガ付いている事もわカっているはずヨ、応援しましょ、パンパカパァンってネ」 納得しきれず拗ねる摩耶をニコニコとした笑顔で宥める愛宕の姿。 #深海長門の日常

2014-09-08 02:31:50
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

提督は1歩1歩と北方棲姫に歩み寄って行く。 北方棲姫は「クルナ・・・カエレ・・・カエレ・・・!!」と威嚇しながら怒鳴る。 しかし、提督は怯まない。表情は微笑みもしないが怖がる素振りも見せない。無表情で近付いて行く。 #深海長門の日常

2014-09-08 02:36:00
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

そんな提督を観て北方棲姫はどうしたらいいかわからない。人間にとって深海棲艦は恐怖の存在でしかない。そうだと知っているはずだ、武器を持たずに近付いて来るはずはない。それなのにこの男は違った、近付いて来る、こっちに、近付いて、来る。 #深海長門の日常

2014-09-08 02:45:12
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

しかし、何故か撃とうとはしなかった。武器を持ってように観えるだけで、きっとどこかに暗器があるかも知れないのに。何か企んでいるはずだ、深海棲艦の敵である人間なのに。 それなのに撃とうとは、いや、撃てなかった・・・。 #深海長門の日常

2014-09-08 02:49:16
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「ナァ・・・長門」 「・・・」 「アタシたちの提督はやっぱりとんでもネェ人ダ・・・」 「ダカら、ナンダ・・・今に始まった事でもナイダろう?」 「ソうダケどさ・・・わカんのはアタシたちガここに居るのは偶然ナンカじゃねェという事ダヨナ・・・」 #深海長門の日常

2014-09-08 02:51:34
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「アア・・・」 長門たちの視線の先に提督にしがみ付いてポロポロと涙を溢す北方棲姫の姿が、そこに居た。 #深海長門の日常

2014-09-08 02:52:34