rsbs日誌#26

﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌　『魚雷ダ！オソロシク速イ！』共に戦列を作る戦艦タ級が吠えた。恐ろしく速い魚雷だと…？『インペリアルネイビーノ、ロングランスカ！』『ソンナ物トハチガウ！避ケキレナイ！』次々に夜の海に爆発の炎が咲く。敵は…敵はどんな妖術を使っているんだ…！？

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#rsbs日誌　『隊列ノ間隔ヲ広ゲロ！狙イヲ疎ラニシロ！』『ソンナ事ヲシタラハグレルゾ！』『デハコノママ沈ミタイノカ！』何が正しいのかなんて私には既に分からなかった。だがこの大艦隊のまま航行していれば狙われ続けるのは確実だ。回避運動の為にも、間隔を広げなくては…

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#rsbs日誌　…同海域中。「１５番、命中です！」「了解しました。次弾の準備に掛かりなさい」不知火です。現在超高速魚雷の射撃指揮を取っています。提督と妖精さんの開発されたこの新型魚雷は凄いですね「１６番、諸元入力完了！用意ヨロシ！」「魚雷発射」「魚雷発射！」

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#rsbs日誌　海中に没した発射管からくぐもった音と共に飛び出していく超高速魚雷。キャビテーションと言う物を用いて水中抵抗を減らして速度を稼ぐのだそうです。難点は速すぎて真っ直ぐしか撃てない事でしょうか。殆ど弾丸みたいな気がします。「全弾発射後、すぐに離脱します。準備を」

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#rsbs日誌　超高速魚雷は一班につき20発支給されました。それが合計６班に支給され、遠方から静かに雷撃。敵もよもやこんな超高速の魚雷を用いて離れて攻撃されるとは思いもしなかったでしょう。夜戦とは夜の闇に乗じて近接攻撃を仕掛けるものですから。逆に不意を撃った、と言うわけですね

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#rsbs日誌　不知火達は露払いです。本命の吹雪さんの活躍に期待しましょうか…『不知火ちゃん？こちら川内、そっちはどう？』無線が入りました。魚雷班旗艦の川内さんからですね。「こちら不知火班、現在16発までの魚雷発射を終了。撤収の準備に入っています」『了解だよー』

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#rsbs日誌　「不知火さん不知火さん、魚雷19発目まで発射終了だよ。20発目も諸元入力完了！」皐月が答えてくれました。上々ですね。「発射です。その後即座に撤退。ランデブーポイントに向かいます」「ヨーソロー！」超高速魚雷、中々の代物ですね…外れたのが極僅かでした。

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#rsbs日誌　…――同海域、海中にて――…　無線通信士が機材を弄って連絡を取り合っているのが判ります。恐らくは頃合いでしょうか。「吹雪艦長代行！」来ました。目深に被っていた帽子を正します。「海上雷撃部隊の作戦行動が終了との連絡が入りました！同時に提督からも行動許可が出ました」

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#rsbs日誌　「有難うございます。その後も通信待機をお願いします」先頭指揮所のマイクを手に取り私は呼吸を整えました。「皆さん、艦長代行の吹雪です。戦況は第二フェーズへの進行を許されました。提督よりこの潜水戦艦を託された我々の番です。全力で戦いましょう。総員戦闘配置！」

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#rsbs日誌　艦内が赤色灯で照され、スピーカーから僅かにアラームが鳴り響きました。「機関始動、前進微速、艦を敵艦隊中央へ」「機関始動前進微速！艦首を敵艦隊中央へ向けろ！」副長が復唱しポンプジェット推進機が唸り、艦が揺れるのを感じました。「いよいよね、吹雪艦長代行」

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#rsbs日誌　「気を引き締めて戦うだけです」私は作戦指示の書かれたメモを今一度読み返しながら元五十鈴の艦娘さんに答えました。「提督のお役に立ちたいと思いますが、今私にとって一番大事なのは皆で生きて帰る事ですから」「そうね。全力を尽くしましょう。ソナー員！航海長！海上状況は？」

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#rsbs日誌　「大騒ぎですね。ドタバタしてます」「敵艦隊の一部の陣形がバラけてます。雷撃を警戒しているのかも」私は決意しました。「バラけている艦隊は無視しましょう。固まり続けている艦隊を狙います。艦首魚雷発射管室聞こえますか！」『此方発射管室、ブリッジどうぞー』

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#rsbs日誌　「当て馬の魚雷を撃ちます。酸素魚雷８本装填、雷速は最大速度で、狙いは構いません。敵艦隊へ真っ直ぐに発射してください」『了解！入力急げ！』暫くして発射管室から連絡が入りました。『諸元入力完了！何時でも撃てます』私は命じました。「魚雷発射」『魚雷発射！ヨーソロー！』

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#rsbs日誌　鈍い振動と音を響かせて艦首発射管から酸素魚雷が放たれました。休んでは居られません。次の手を用意しなくては。「特設大型魚雷、発射用意！」『特設大型魚雷、発射用意ヨーソロー！』一度こっきりの大花火、外してなるものですか。『発射用意よろし！』「魚雷、撃てぇ！」

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#rsbs日誌　…―――…全くもって酷い夜だ。恐ろしく速い魚雷の群れに襲われ、落伍したモノばかりだ。我が艦隊も何隻かが隊列から零れ落ちてしまった。『ロングランスダ！マタ来ルゾ！』目を厳しく凝らして水面を睨み付けた。極僅かな雷跡が鋭く激しく此方へと突き進んで来る。

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#rsbs日誌　先程の恐ろしく速い其れと比べれば温い雷速だったが、インペリアルネイビーのロングランスは十分に驚異だ。『回避ダ！』私は吠えた。８本の魚雷が艦隊をすり抜けて行く。幸いにも被害は無かった様だ…『マタ来タゾ！』叫びに見渡す。…やけに雷跡の目立つ魚雷だった。

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#rsbs日誌　其れは何かに当たる訳でも無く、艦隊の中へと突き進み…激しく爆発した。半径50メートルは優に巻き込む酷い爆発だった…『被害ホウコクダ！』『爆発ニマキコマレタ奴ガ沢山ダ！』『ル級！潜水艦ガイタゾ！恐ロシクデカイ！』重巡リ級が吠えた。『ソイツガ親玉ダ！追エ！』

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#rsbs日誌　刹那、灯りが遠くから煌めいた。不味い、と思った時にはもう遅い。『艦砲射撃ダ！ヨケロ！』一度に50は煌めいた…何なんだ、あれは一体…何なんだ、あのデカブツは…！？『―――！！！！』雄叫び、私は主砲を遠い彼方の影へと向けた。

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#rsbs日誌　「着弾を確認！」「次弾装填完了！」「誤差修正プラス１、撃て！」砲声が轟く。戦艦艦娘と、巨大な戦艦が。まるで悪夢の様な巨大戦艦が巨砲を煌めかせていた。「潜水戦艦ヴァールガイストは離脱出来たか！？」わしは無線士に吠えた。海の彼方から砲炎が煌めいたのが見えた

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#rsbs日誌　「現在、全力で尻尾を巻いて逃げている模様！」「砲弾来ます！」艦に被弾する、と思われた途端、強い光の明滅と共に障壁が深海棲艦の砲弾を防いだ。「防御重力場、作動！」「このまま斉射を続けよ！ヴァールガイストが離脱するまで遅滞戦闘を継続。出し惜しみは無しじゃ！」

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#rsbs日誌　20センチ４連装副砲や滞空ロケットさえも展開する。次々と飛来する砲弾を弾く重力場の輝きはまるで花火のようじゃった。夏の最後を締め括る、火薬臭い派手な花火。「ヴァールガイストより入電、海域より離脱との事です」「戦艦艦娘に入電しろ！艦隊離脱、斉Ｚにて回頭！」

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#rsbs日誌　「クルー総員へ次ぐ、これより180度回頭を行う！総員衝撃と傾斜に備えろ！操舵士、思いっきりブン回せ！」「イエスマム！」舵が切られ、グロースブラーゼンがその巨体に見会わぬ鋭い回頭を見せた。それはさながら、スポーツカーの行うアクセルターンにも似ていた。

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#rsbs日誌　回頭を終えたグロースブラーゼンは艦尾に備えた全ての武装を深海棲艦の艦隊を相手にばら蒔きながら撤退を開始した。いやはや、この巨艦で大立ち回りをやらかしたのは久しぶりじゃな…「榛名より入電、『殿を務めましょうか？』との事です」「問題ないと答えよ」わしは椅子に座った

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#rsbs日誌　「これであやつらも、そう易々とは本土を攻略する事は敵うまい…観測班、敵との彼我の距離は？」『撃って来ては居ますが、離れています』「上々じゃ。良かろう。置き土産を置いてやる」わしは海図を開き、我々と深海棲艦の間の海を指で触れた。そのまま呪文を呟き、丸を描いた。

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#rsbs日誌　なぞられた海は潮の動きを変え、やがて渦潮に姿を変える。海流は乱れ、大きな壁として深海棲艦の前に立ち塞がった。「アデュー。深海棲艦の諸君、再び出会わぬ事をわしは祈るよ」黙々と黒煙を上げ、敵を尻目に我々は離脱していく。仕事は果たした。あとは帰るだけじゃ。