「千の想いを」~最終章02「羅刹」~
- mamiya_AFS
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【『千の想いを』 最終章02 『羅刹』 開始】 【最終日 1435 航路上 第十五支援艦隊艇】 【介入制限:第十五支援艦隊メンバー及び同乗者・通信中のみ扶桑艦隊メンバー】
2014-06-14 21:03:10……。 操舵室。 船は自動運転機能を備えているので、舵を握る必要があるわけではない。 大きな通信機の前で、夕張がヘッドフォンを着けたままいくつかのツマミを慎重に操作していた。電波障害は聞いていたよりもずっと酷く、そんなに離れていないだろう扶桑達とも思うように通話できないでいた。
2014-06-14 21:27:03鎮守府を出立してからひたすら南南西へと進み、本部へは既に交信はできなくなっている。途中、扶桑率いる第一遊撃艦隊が南西へ、第十五支援艦隊は真南へと、海域を挟み込むように分断して大分時間も経った。 互いに合流する事こそ両艦隊にとって生還の糸口なので、通信は絶やすわけにいかない。
2014-06-14 21:31:07心配げな提督の問いに、夕張が機械をいじりながら答える。彼女のすぐ後ろでは樫野が腕を組んだまま灰緑色の後頭部を見下ろしていた。こと操作と調整に関しては、夕張の方が上なのである。鎮守府にいる全ての艦娘を並べても、夕張に勝るのは五十鈴くらいなものではあるが。
2014-06-14 21:34:18@Yubari_Yasaka @tiyodadayo0 ……事前に打ち合わせて合流地点は決めてあるとはいえ…拙いですね……
2014-06-14 21:33:46@blauer_Baum8114 @tiyodadayo あっちも赤城さんや祥鳳さんがいる。このまま繋がらないのは不味いわね
2014-06-14 21:33:40・・・妙だね。 ぶ厚い雷雲の影響だって聞いていたけれど、それにしては周囲の電波の強度が一定過ぎる。近付くにつれて強くはなっているけれど、何かがおかしいよ。
2014-06-14 21:37:08提督と夕張が焦りを見せ始め、通信機とは別の様々な計器が針を揺らしている機械を覗き込んだ樫野が呻く。 通信機の前で頭を抱える3人を、入口の傍らから千歳と常盤が並んで見守る。 千歳に関しては単純に目を離さないように、そして常盤が見張っている状態だ。 千歳は黙したまま動きを見せない。
2014-06-14 21:41:13室内に限らず、艦内全体に怪しい物は無いと樫野は確信していた。それ程までに彼女は念に念を重ねて調べ尽くしたのだ。 ちなみに千代田が預かった工廠のみんなから樫野への贈り物である白衣は、とりあえず邪魔だと部屋の隅に放置されたままである。若干嬉しそうだったのは誰の目にも明らかだった。
2014-06-14 21:46:08出力をヘッドセットからスピーカーに切り替え、夕張が静かに胸をなで下ろす。瑞雲のAIの声が、室内に響く。実際に口を開いているわけではないので、風やエンジンの駆動音等が含まれていたりはしない。
2014-06-14 21:50:39@zuiun_kankore @tiyodadayo ! こちら第15支援艦隊、軽巡夕張!聞こえますか!?
2014-06-14 21:49:44@Yubari_Yasaka @zuiun_kankore @tiyodadayo あっ、良かった聞こえた!通信状況が悪かったから、瑞雲を飛ばして中継してたの。
2014-06-14 21:51:42AIが判断し、通信を伊勢へと中継する。余計な応答無く最善を判断できる辺り、伊勢の艦載機らしいと言える。これが千代田の操る物であったのならば、もっとまごついていただろう。
2014-06-14 21:53:26@zuiun_kankore @tiyodadayo …電波状態が酷いわ、しかも天候のせいにしては何かおかしい!周囲の状況に警戒してください!
2014-06-14 21:54:18言いながら前方をパノラマで一望できるガラス面を夕張が見やる。 遥か前方ではまさしく「夜」がそこにあった。時折光っているのは稲妻だろうか。昼と夜が同時に存在する有り得ない光景なのに、神秘さは伺えない。
2014-06-14 21:57:56@Yubari_Yasaka @zuiun_kankore @tiyodadayo こっちも全然通信繋がらなかったから仕方なくね。通信以外は特に問題ないわ!
2014-06-14 21:58:04最上と赤城の声が夕張と伊勢の呼吸の間を縫って入り込む。流石に索敵と通信に関しては他の追従を許さない艦隊である。会話と操舵に無駄が無い。向こうは今のところ問題無い事がわかり、樫野がトランシーバーを掴む。
2014-06-14 22:00:59