『行政法ガール出版記念講演 in 上智』実況 by 伊藤たけるさん

上記講演の「総論講義(行政法の思考法)」部分の実況をまとめさせていただきました。
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弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

大島義則先生「行政法ガール出版記念講演in上智」に来ています!行政法紛争事例における争点の確定は、問題点を見抜く作法が会得できますね。

2014-09-07 14:09:37
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

思考モデルとしては、田中二郎先生の三段階構造モデルは重要。①行政立法→②行政行為→③強制行為で分析する方法。現在は、これらの他に、④行政契約、⑤行政指導、⑥行政計画、⑦行政調査という類型がある。これらのどれに分類されるのかを確定することが大切。

2014-09-07 14:11:30
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

比例原則、平等原則の違反という論証を見かけるが、まずは「当該個別法の解釈であること」を意識する必要がある。これはそうですね。一般論や抽象論に頼るのではなく、あくまでも当該法令の個別的解釈が大切です。

2014-09-07 14:14:07
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

仕組み解釈とは、「憲法的価値を含む法律の目的、価値を考慮し、『法律による行政の原理』を中心とした行政法ドグマティクとの理論的整合性を重視しながら当該条文のみならず関連法令にまで視野を拡げて、法律全体の仕組みの中で当該条文を解釈する方法」のこと。

2014-09-07 14:19:20
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

仕組み解釈には、「悪しき仕組み解釈」と「よい仕組み解釈」がある。要するに、価値判断が入っている。最高裁が仕組み解釈をしているというのは正確ではなく、仕組み解釈というのは、ある種の思考・分析ツールにすぎない。

2014-09-07 14:20:25
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

処分性について。処分性、原告適格、出訴期間など、訴訟要件をすべて書き連ねる答案があるが、不要であろう。「典型的な処分」(許可など)については、わざわざ論証を展開する必要はない。

2014-09-07 14:23:12
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

行政処分の定義は、一言一句、ひらなが漢字を間違えることなく書けるようにしてほしい。「行政庁の処分とは、公権量の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう」

2014-09-07 14:24:40
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

この定義は、①公権力性と②法律上の地位への影響の2つに分類できる。②については、さらに、直接性、個別具体性、法的効果性の3つに分類することができる。

2014-09-07 14:26:11
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

判例についても、①公権力性、②法律上の地位への影響のうちⅰ直接性、ⅱ個別具体性、ⅲ法効果性に分類して、分析することが必要(キレイに分類されたレジュメあり!素晴らしい!)

2014-09-07 14:30:40
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

供託金取戻請求の却下の公権力性についての判決【百選Ⅱ155】は、民法上の寄託契約の性質を有するが、特別の不服申立て審査手続がある点を「仕組み解釈」することで、公権力性を認めた。

2014-09-07 14:32:25
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

医療法上の勧告【百選Ⅱ167】は、単なる勧告なので、行政行為の類型でいると行政指導。その定義は「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。」

2014-09-07 14:36:50
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

本当に行政指導といえるのかは、ばくっと認定するべきではない。行手法2条6号の「定義」にあてはめる必要がある。例えば、「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において」でなければならない。行政指導であるから何でもできる、という発想は間違いである。

2014-09-07 14:38:16
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

行政指導に処分性はあるのでしょうか。通常はないでしょう。それは「法効果性」がないという理由になる。【百選Ⅱ167】は行政指導に処分性を認めた点で新しい。田中二郎先生の三段階構造モデルによると、行政指導は強制行為ではないことから、モデルにあてはまらず、処分にはあたらない。

2014-09-07 14:40:48
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

ところが、仕組み解釈によると、たとえ行政指導であっても、処分性を認めるという発想が出てくる。医療法の勧告がなされると、保健医療法に基づく保健医療機関の指定拒否処分がなされる。指定拒否処分が「処分」である。そして、通達により勧告がなされると指定拒否がなされるという仕組みがある。

2014-09-07 14:42:36
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

このような時系列的な連鎖で勧告を見る。ここで仕組み解釈を「発動」すると、次のようになる。1つ目は、「勧告の時点で指定拒否処分を受け得る地位となる」として【法的効果を前倒し】することになる。これによると、ごみ処理判決の「法効果性」が認められることになると読むことになる。

2014-09-07 14:44:51
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

他方、多くの見解は、そのように理解しない。事実上の効果しかない勧告について、例外的な事情があるから、ごみ処理場判決とは【別に】処分性を認めたと読む。

2014-09-07 14:45:42
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

原告適格における処分要件説(法律上保護された利益説)と法律上保護に値する利益説(少数説)の違い。勝率上保護に値する利益説は、処分要件になんの手がかりもなくとも、保護法益があるならば救済すべきであるという見解。しかし、線引きはほぼ不可能であるから、実務上はわからない。

2014-09-07 14:51:12
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

そもそも、法的保護に値するか否かは、本案後の審理に該当することから、訴訟要件としての原告適格の心理にてゃ適していない。それゆえ、少数説にとどまるのであろう。

2014-09-07 14:51:57
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

主に原発訴訟における原告適格において、処分要件説では、侵害されるであろう利益を考慮することができないと思われていた。それゆえ、少数説である法律上保護された利益説には優位があった。ところが、仕組み解釈を利用することで、処分要件説においても、侵害される利益を衡量できるようになった。

2014-09-07 14:58:57
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

それゆえ、行訴法9条2項は、「当該処分において考慮されるべき利益に内容及び性質」や「利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度」を考慮することができると定めるのです。

2014-09-07 15:00:20
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

取消訴訟における訴訟物とは、違法性「一般」である。違法性とは、個々の要件を満たすかということであるが、違法性「一般」とは、当該処分がすべて要件を満たしているのかということ。

2014-09-07 15:04:27
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

行政訴訟における攻撃防御方法は、違法性をそれぞれ主張することになる。そのため、主張を組み立てるにあたって、処分要件を特定する必要がある。要するに、処分要件はこれであるの、本件事実はこれだから、処分は違法である、という主張になる。

2014-09-07 15:07:16
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

答案において「裁量権の逸脱濫用である(行訴法30条)」との論述が多いが、そもそも「処分要件」を満たすか否かの主張をするべきである。裁量問題ではなく、要件解釈こそが中心的争点となる。

2014-09-07 15:12:12
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

したがって、法令の解釈問題と裁量問題とは区別する必要がある。

2014-09-07 15:13:25
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

裁量があるか否かについては、単に「条文が抽象的であること」を指摘しても認められるわけではない。条文が抽象的であるとしても、行政庁が決めなくとも、裁判所が決めればよい(行政庁の裁量なし)。そうすると、実質的な根拠である、専門技術性などが必要である。

2014-09-07 15:19:52