今日の手近なところにあったBL読みできる歌コーナー

自分用に流しているBL読みできる短歌のピックアップ。気がむいたらつぶやきます。つぶやいたら更新します。なので永遠に作業中です。
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くらげ @hanaklage

(今日の人の少ない時間をねらって手近なところにあったBL読みしたい歌を流すコーナーです。)(今日は長いです。)(旧かな、新かなまじっています。原文ママで引用します。)(第16回)

2014-09-27 00:36:02
くらげ @hanaklage

今日はこれ。 あの夜の記憶毀れて落ちぬよう編み目の詰んだハイネック着る『月光文庫I アンスクリプシオン』(大和志保 月光の会 2012)p.9 下句で首を意識していることが、肉体の記憶が想起される。こういう匂わせ方は好き。 →

2014-09-27 00:36:14
くらげ @hanaklage

→ まずはこってりとした相聞を。 きみとわれのさかひに昧(くら)き淵ありとうめゐの糸曳き剰れる舌『アンスクリプシオン』(大和志保)p.62 わが声音いつしか低しきみとゐてほの弛(ゆる)びゆく弦(いと)となるべし『アンスクリプシオン』(大和志保)p.64 →

2014-09-27 00:36:28
くらげ @hanaklage

→ 火を熾すのはあなたゆえ我が皮膚の下のことなど敢えて言わざる『アンスクリプシオン』(大和志保)p.82 大和さんの歌はBLというとどうなのかという迷いはありますが、彼女の歌をJUNESTとして私は愛しているのでたくさん紹介します。 →

2014-09-27 00:36:46
くらげ @hanaklage

→ 俯くきみの肋の籠に飼われいるあたたかきもの眠らざり『アンスクリプシオン』(大和志保)p.11 「肋の籠」というのがうつくしい。眠る「きみ」の横で、肉体を意識しつつこの人は起きている訳です。その関係の微妙さ。 →

2014-09-27 00:37:03
くらげ @hanaklage

→ こちらは自分の肉体。 隙間だらけのはらわた縫い閉じてひとの象(かたち)に成りたるが歩けり『アンスクリプシオン』(大和志保)p.11 わが暗がりの胃袋は椅子ひとつ倒すことなく吊られ揺れる『アンスクリプシオン』(大和志保)p.19 嫌悪感というか不全感が漂っています。 →

2014-09-27 00:37:24
くらげ @hanaklage

→ 花と肉体。 この花は嘘この傷も嘘 悦びは煙ゆっくり昇って『アンスクリプシオン』(大和志保)p.45 ああ花の五臓六腑この冥(くら)きもの夜ひらくとも言葉よ、語れ『アンスクリプシオン』(大和志保)p.65 こちらはゆったりとした歌です。 →

2014-09-27 00:37:43
くらげ @hanaklage

→ 蹲って祈るそこは寝台それとも便所跪いて吐く六月の薔薇『アンスクリプシオン』(大和志保)p.44 こういう価値観ってたぶん90年代的なもので(時期は適当です)、表現としては甘いのかもしれないのだけどこれは末尾の薔薇で私はイイと思ってしまう。甘くても好きなものは好きです。 →

2014-09-27 00:38:43
くらげ @hanaklage

→ 男を腐(くた)す刑もあるとよ梔子一花いたづらに匂い顕つ『アンスクリプシオン』(大和志保)p.71 宮刑を題材にした一連の一首、この「腐す」をここで使うのは完全に大和志保語彙。 →

2014-09-27 00:39:01
くらげ @hanaklage

→ こういう乱れた歌も。 かはたれに肉ひとつだけ提げてゆく死んでもいい死んでもいいああ『アンスクリプシオン』(大和志保)p.56 エロス・タナトスあやめわかたぬわが夜々にあやしくО(オー)のくちびるひらく刻(とき)『アンスクリプシオン』(大和志保)p.61 →

2014-09-27 00:39:17
くらげ @hanaklage

→ 水蜜のあはれ滴るきみの掌に完膚なきでにひん剥かれをり『アンスクリプシオン』(大和志保)p.64 桃色の肉なるわれの着る皮膚にうるわしき裏地の脂肪の純白『アンスクリプシオン』(大和志保)p.68 自己嫌悪?不全感と自己愛。 →

2014-09-27 00:39:34
くらげ @hanaklage

→ あの船に乗ろうきみの優しい指のかわりに絹のスカーフ巻いたら『アンスクリプシオン』(大和志保)p.45 またも首の歌。首に指をかけられたことがあるもしくはそれを夢想したことがあるのですね。受っ子受っ子。 →

2014-09-27 00:39:52
くらげ @hanaklage

→ 垂直に降りてゆくきみ角灯(ランタン)かかげわが魂の底の暗みに『アンスクリプシオン』(大和志保)p.83 これは「垂直」がなんともいい。→

2014-09-27 00:40:34
くらげ @hanaklage

→ 垂直に降りるとは落下だろうか。しかし二句の表現によって落下よりもゆっくりとした動きに感じられる。それが心象風景だな、と思わせて「魂」という言葉に自然とたどりつく。こういう想像力による飛躍の豊かさが魅力。 →

2014-09-27 00:40:45
くらげ @hanaklage

→ 大和志保さんは「小説JUNE」に3作ほど小説を発表されていた方。今でも当時の読者の間では名前の出る作家さんです。私が特に好きなのは「花狂い」(「小説JUNE」6(1984年4月)号掲載)です。花が重要なモチーフなのは歌と共通しているかも。 →

2014-09-27 00:41:10
くらげ @hanaklage

→ その後、私にとっては長い間消息のわからなかった方。かつてはサイトやブログがあり、短歌を書かれているというのはわかっていたのですが、それがなくなって(更新停止して)から消息不明に。そうこうしているうちに2012年になって歌集が出ました。それがこの本です。 →

2014-09-27 00:42:10
くらげ @hanaklage

→ で、これが第一歌集とのことですが、人づてに聞いたのでウソ情報かもしれませんが、20年くらい前に出された作品集(歌集と思われる)もあるとのこと。そちらは未読未入手です。こちらも読む機会があったらうれしいです。 (以上。)

2014-09-27 00:42:33
くらげ @hanaklage

追記 俯くきみの肋の籠に飼われいるあたたかきもの眠らざり『アンスクリプシオン』(大和志保)p.11 これ「きみ」が寝ているとは限らないかも。結句で「内臓は眠らない(意識は眠っている)」と読んだけど、そうは書かれていないので。とにかく沈黙のターンであることは確かと思います。

2014-09-27 00:54:51

くらげ @hanaklage

(今日の人の少ない時間をねらって手近なところにあったBL読みしたい歌を流すコーナーです。)(第17回)

2014-10-20 17:19:22
くらげ @hanaklage

今日はこれ。 足音だけもつ誰かゐる春の疎林折れしくろもじいづこか匂ふ『鳥雲』(青井史 本阿弥書店 1988)p.10 →

2014-10-20 17:19:56
くらげ @hanaklage

→ よい香りの黒文字が折れてさらに鮮明な(しかし小さな)香りを放つ。春のまだ葉の濃くない林の中はさまざまな香りに満ちているはず。その中のちいさな気配に心が動くさまがうつくしい。 →

2014-10-20 17:20:09
くらげ @hanaklage

→ こんな歌も好き。 きしみゐし木椅子いつよりかしづまりてはつかに湿る春の空間『鳥雲』(青井史)p.23 きしむ椅子と湿る空間で充分に人の気配がするのがうまい。 →

2014-10-20 17:20:27
くらげ @hanaklage

→ そしてこれは受ですね。 反抗と思慕とのはざま少年の語る教師の貌定まらず『鳥雲』(青井史)p.19 ためらはず春に全身をゆだねつつ芽ぶき初めたる若木くれなゐ『鳥雲』(青井史)p.22 →

2014-10-20 17:20:45
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