- uchida_kawasaki
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面白いのは 2 章の寸法効果の話と、 3 章のイギリスでの揚力の循環理論 ( 要するにランチェスター・プラントルの理論 ) の受容、というかその遅れの話。
2014-09-15 00:40:35寸法効果というのは、現在の見方でいうと当時の風洞実験と実機ではレイノルズ数が全然違うので、特に抵抗係数があわないとか最大揚力もあわないとかの話。イギリスでの 1910 年代後半、第一次大戦中の話。
2014-09-15 00:40:37で、 ( もちろんそっちに問題がなかったわけではないけど ) 実機と風洞実験のずれが、実機側の測定の不確実性のせいにされる傾向が強くあったみたいな。
2014-09-15 00:40:393 章の揚力理論の話はもっとアレで、 1890 年代にランチェスターが循環と渦にもとづく 3 次元翼の理論をだしていたけどこれの論文は却下されて、ランチェスターは本を書いて自分の理論を公にするがイギリス国内では無視される。
2014-09-15 00:40:40で、ランチェスターが 1908 年にゲッチンゲンを訪問したあと、プラントルのグループは翼端渦に基づいた現代的な 3 次元翼揚力理論を構築していく。
2014-09-15 00:40:42一方イギリスではそもそも循環理論 ( クッタ・ジューコフスキーの理論 ) が受け入れられてなくて、不連続流の理論 ( とこの本では呼んでいるがいわゆるキルヒホッフの死水理論であろう ) に基づいた研究が第一次大戦終わりまで続いた。
2014-09-15 00:40:44まあその普通航空力学の歴史というとほぼドイツとアメリカしかでてこないわけで、それはつまりこういうことだったのねという。
2014-09-15 01:35:59aero.or.jp/web-koku-to-bu… 歴史に見る模型飛行機の顔さまざま (7) 模型航空力学の登場:実機データと正則の空気力学 だけでは、模型機の性能計算できなかった。
2014-09-15 21:42:49そういうわけで寸法効果がよく理解されていなかった 1910 年代 にイギ リスで開発された翼型 (RAF15 とか ) はやたら薄くて前縁が尖った、模型飛行機 には悪くなさそうな形をしている。
2014-09-15 21:51:50でまあ、橋本本では、ホイッグ史観を避けたいみたいのを割合明確にしているせいもあって、イギリスにおけるこの辺の混乱を単純には「間違い」とは捉えない立場をとっている。
2014-09-15 23:10:37別に「間違い」としなくたっていいんだけど、そういう混乱の中にとどまったことの結果として例えば死水理論の数学的洗練に投入された努力とか、実機測定派と風洞実験派の論争とか、ある意味無駄なことが発生し進歩が抑制されたということは認識してもいいのではないかみたいな。
2014-09-15 23:10:42