もはや職業教育は高専や底辺大学レベル辺りまでやるべき?

「労働人口急減の中で生産力を維持するなら、めっちゃ生産性の高いホワイトカラーやエンジニアを育成する→短大・高専レベルの職業教育は必須」といういいの氏(@politica2117)の呟きに、職業高校やいわゆる「底辺大学」の教育内容まで交えた杉山真大氏(@mtcedar1972)や赤い豚氏(@cochonrouge)を交えた鼎談。 更に高専卒業生でフリージャーナリストの長岡義幸氏(@dokuritukisya)が、高専の実情に加えて進学者が殺到した時代的な背景・更に高専と言う存在が、その存在理由を喪いつつある現状まで含めた言及とそれに対する遣り取りもまで収録。
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いいの @politica2117

おふくろが商業で、楽しかったけど簿記2級とれないと居残り&夏休み無しだよ、という話を聞いて、私、普通科にしたの思い出したw

2014-09-16 13:18:50
赤い豚@トロスキスト @1eco1chon1rouge

@politica2117 @mtcedar1972 商業高校は八時九時まで、課外で簿記やってる高校がざらですね。

2014-09-16 13:11:56
杉山真大@震災被災者 @mtcedar1972

@politica2117 @cochonrouge とは言え、職業教育がよりハイスペック・ハイレベルになっていく中では、最早高専転換を促すくらいはやらないと求職側とのミスマッチは埋められないのでは。その為の特別措置・場合によっては特別措置法を作るくらいはしないと難しいかも。

2014-09-16 13:35:31
いいの @politica2117

@mtcedar1972 @cochonrouge それくらいのリソースを教育に割くべきだというのは同感です。今話題の国際教養大学あたり企業で評判高いのも、全寮制少人数教育で、語学教育を徹底するという感じで、要は文系版の高専なのかな、と。

2014-09-16 13:43:41
いいの @politica2117

古典的な学級の場としての大学と、ポリテク用の大学は、やっぱ名前分けたほうがいいと思う。目的も昨日も違うわけで。名前が一緒だと混乱しちゃうよ。

2014-09-16 13:45:34

長岡義幸氏のコメント

長岡義幸 @dokuritukisya

フリーランス記者。出版流通/出版の自由/子どもの権利/労働/時事諸々。著書『マンガはなぜ規制されるのか』平凡社、『物語のある本屋』アルメディア他。福島高専化学科卒・早大第二文学部中退。福島県旧小高町の実家は津波で流され、東電のせいで一時警戒区域に。詳しい自己紹介と連絡先、ツイッター利用の心がけは下記のサイトに記載。

twpf.jp/dokuritukisya

長岡義幸 @dokuritukisya

@mtcedar1972 高専は職業教育に特化しているわけではないですよ。学部並みの専門教育を速習させる詰込み教育こそが真骨頂。その間、留年・退学する学生は2割前後に達し、“選別”の結果、企業に有用な学生を供給できるしくみ。が、近年は大学編入が激増。そういう矛盾を抱えた学校です。

2014-09-16 20:45:59
杉山真大@震災被災者 @mtcedar1972

@dokuritukisya 確か以前にもまとめた togetter.com/li/96403 のですけど、生半可な職業への憧れ程度ではついていけないなぁって自分も思いましたね。余程職業に対する意識を抱いたりしてないと難しいし、「就職率100%」もそうした"選別"の結果だとは。

2014-09-16 20:53:43
長岡義幸 @dokuritukisya

@mtcedar1972 多分それなりに成績のいい子が入学していると思うものの、進路を間違えたと思った子にとって高専は苦役そのもの(私のこと)。中学時代、トップクラスの成績だったのに高専で留年して退学した同輩なんか、普通に進学校に行っていたら別な人生があっただろうに、と思ったり。

2014-09-16 21:11:40
杉山真大@震災被災者 @mtcedar1972

@dokuritukisya そう言えば、中学生向けの模試での偏差値、高専って一流進学校と同じくらいの"難関"だったりしますね>多分それなりに成績のいい子が入学していると思うものの、進路を間違えたと思った子にとって高専は苦役そのもの(私のこと)。

2014-09-16 21:14:56
長岡義幸 @dokuritukisya

@mtcedar1972 現状はわからないですが、私のころは在校生の半数が育英会の奨学金を受給していました。片親とか父親が日雇いとか、いわゆる貧困家庭。彼らは、大学進学を諦め、安い学費で大学並みの教育が受けられ、大企業にも容易に就職できる高専に入った、という一面があったかも。

2014-09-16 21:28:36
杉山真大@震災被災者 @mtcedar1972

@dokuritukisya 高専ってドイツの基幹学校→実科学校制度をモデルとして出来たと以前に耳にしましたけど、どちらかと言うとフランスのグランゼコールに近い性格がありますね>大学進学を諦め、安い学費で大学並みの教育が受けられ、大企業にも容易に就職できる高専に

2014-09-16 21:37:26
長岡義幸 @dokuritukisya

@mtcedar1972 海外の例はわかりませんが、創設当時産業界には、戦前・戦中の旧制高専のような複線型教育に対する憧憬があったのかも。しかし教育の民主化とは相容れない制度だったが故に、ほとんどが国立で私立は育たず。そして今、大学編入の形で単線ルートに回収、というのが現状です。

2014-09-16 21:53:06
杉山真大@震災被災者 @mtcedar1972

@dokuritukisya と言うより、戦後教育界で力をふるってた日教組とその系統が「単線型教育・総合制」ってのに拘り、職業と教育の連結ってのを「教育を産業界に奉仕させる!」と非難する論調が大きかったりしたんですよね。

2014-09-16 21:56:29
杉山真大@震災被災者 @mtcedar1972

@dokuritukisya で、高専が大学編入とかで単線ルートに回収される一方で、専門学校の甦生を生み大学でのキャリア教育だ資格取得講座とかで右往左往したり・・・・・戦後の教育民主化で職業教育が等閑にされたツケって気もしますね。

2014-09-16 21:58:16
杉山真大@震災被災者 @mtcedar1972

@dokuritukisya ちなみにドイツの普通→実科学校とフランスのグランゼコールは、共に職業教育制度ではあったりしますけど、ドイツのはマイスター制度と結びついた職人養成ってのに対し、フランスのは高度職業人の選別育成が主と全くの対照を成してたりしているんですよね。

2014-09-16 22:01:24
長岡義幸 @dokuritukisya

@mtcedar1972 私には高専に対するアンビバレントな感情があります。高専を中退した東北大の野村正實さん(面識有り)のサイト「偶感」というページ econ.tohoku.ac.jp/~nomura/impres… の04年7月6日以降に高専制度に対する考察が載っています。私もほぼ同意しています。

2014-09-16 22:10:01
リンク www.econ.tohoku.ac.jp 野村正實の偶感

高専の設立直後、高専全体で入学志願者倍率が17.5倍(1962年)、13.3倍(1963年)と10倍を超えた(国立高等専門学校協会[1992]410)。その最大の理由は、高専卒業生は修業年限は短大と同じであるが、高い専門教育のため、就職した場合、大卒者と同じ待遇を受ける、と宣伝されたことにある。この宣伝は、経済的に恵まれない中卒者を引きつけた。高専が経済的に恵まれない中卒者を引きつけた事実は、高専関係者によって早くから認識されていた。

しかし、企業における高専卒者の待遇は、高専が期待したようにはならなかった。第一期の卒業生を送り出してから10年あまりたった時期に(調査時点は1979年?)、国立高専協会事務局は卒業生と企業に対してアンケート調査をおこなった。「職務能力が大卒同等の場合の業務と給与」について、資本金百億円以上の企業は、「業務給与とも大卒同様」0社、「業務は大卒同等、給与は大卒以下」28社、「業務も給与も大卒以下」3社、「記入なし」7社、という結果であった。「官公庁」はそれぞれについて2、17、0、5という結果であり、大企業と官公庁は「業務は大卒同等、給与は大卒以下」としていることが明らかになった(国立高等専門学校協会[1992]61)。高専の1987年卒者と94年卒者にたいして98年におこなわれた日本労働研究機構の調査結果も、同様である(日本労働研究機構[1998]78-87)。


当初のもくろみとは異なった結果になったのは、いくつかの理由が考えられる。

第一に、高専はきちんとした理念のもとに作られたのではなく、いわばご都合主義的に設立された。1950年代中頃からの文部行政関係者の議論では、技術者不足への対応と短期大学の改革とが同時に論じられていた。暫定的な存在である短期大学に代わるものとして「専科大学」制度を作り、短期大学を「専科大学」に変えようとした。「専科大学」の入学資格は高校卒業程度、修業年限は2年または3年とする。必要がある場合には3年の前期の課程を有する5年または6年制とする、というものであった。この構想は「専科大学」案として1958年に国会に提出された。短期大学関係者は、この法案を、短期大学を大学制度の枠外に置くようにするものだとして猛反発し、審議未了に追い込んだ。その後もこの案は国会に上程されたが、成立しなかった。技術者不足が深刻化する中で、文部省は短期大学の改革とからめた技術者養成学校の設立をあきらめ、1961年に高専設立法案を提出した。短期大学とは関係のない高専設立には短期大学関係者の反対もなく、法案は成立した(国立高等専門学校協会[1992]15-17)。高専の設立は短期大学改革の試みが挫折したためであった。高専は高等教育機関としての独自の理念にもとづいて設立されたものではなかった。このことが、高専の社会的位置づけをたえず曖昧にし、今日にいたるも、明確なイメージを打ち出すことができないでいる。

第二に、高専設立の背景は、高度成長にともなう技術者不足の深刻化であった。大学工学部からの技術者供給が間に合わないと予測されていた。ところが、1960年代に大学工学部が急膨張した。1960年におよそ9万3千人であった工学部学生数は、65年に約17万5千人に、そして70年には28万4千人まで増大した。10年間で3倍になったことになる。それにたいして高専の学生数は70年に約4万4千人で、工学部と比較して小規模であった(『文部統計要覧』)。工学部の急速な拡大によって高専による技術者養成の必要性は小さくなった。その上、高専が供給した「中堅技術者」の数が少ない以上、高専の存在感が薄れることは必至であった。

第三に、高専生の学力低下の問題がある。高専設立当初は10倍を超えた入学志願者倍率は、その後急速に低下し、設立5年目の66年には4.5倍に、そして10年目の2.9倍になり、それ以後はずっと2倍と3倍の間で推移している(『学校基本調査報告書』)。最初に設立された12校の国立高専のひとつである沼津高専で設立当初からかかわってきた教師たちの創立10周年記念座談会におおいて、次のような率直な意見がかわわされている。教授A「入学試験のとき、ぼくら採点した記憶があるでしょう。やっぱり一期二期三期あたりまでよかったね。とにかくもうこっちが感心するくらい」、教授S「だからまあ相対的なことが相当あるにしても、ちょっと総体的に下がりすぎたかなあ」(『沼津高専十年の歩み』146-47)。そしてトヨタ自動車工業に就職した卒業生は、次のように報告している。「これはその当時の担当者から直接聞いた話ですが、(昭和--野村)43年に初めて高専卒を採用した際、大卒と同じ試験問題で試験したところ旧帝大に次ぐ成績の卒業生もいて、金の山を発見したように感じたそうです。もっとも私のような5期生ともなると大分レベルダウンしていますが。このレベルダウンにより当然会社の高専卒に対する評価は変化しているはずです。」(沼津高専同窓会『同窓会誌』第4号、1974年、12頁)

このような事情のため、高専卒業生は結局、大卒と高卒の中間として処遇されている。これは学歴主義の強い日本企業において、当然の結果ともいえる。


今日、高専は設立当初の目的からいえばすでに変質している。高専の設立目的は「中堅技術者」の供給にあった。ところが、2003年に国立高専を卒業した約8万8千人のうち、就職したのはわずか53%にすぎず、41%は大学などに進学している(『文部統計要覧』)。高専卒業後の進学率がこれだけ多いということは、多くの高専生にとって高専が大学進学への経路となっていることを意味しており、高専が独自の高専教育において人材を社会に供給しているとはいいにくい状況となっている。

さらに高専は別の問題もかかえている。現在では大学工学部卒のうち1/3近くが大学院修士課程に進学している。有力な大学工学部では、大学院進学者の割合は圧倒的である。たとえば東北大学工学部では、2002年度卒業生907名のうち83.5%が大学院進学である。高専教育は懸命に工学部卒と同等の学力を持とうとした。しかし、高専教育ではどのように努力しても大学院修士課程の教育に到達できない。大学院修士課程を終えた技術者が増えれば増えるほど、高専卒は「中堅技術者」としてではなく下級技術者として処遇されるであろう。このことはすでに高専当事者によって十分に認識されている。1991年に国立高等専門学校協会は大学審議会高等専門学校専門委員会への意見書に、「「中堅技術者」の教育機関として発足した当初とは異なり、現在の高専は、「実践的(臨床的)技術者」を育成する研究教育機関として事実上定着していると認められる」(国立高等専門学校協会[1992]275)、と自ら記している。

高専という新しい学校制度は、日本の企業にインパクトを与えなかった。そして高専自身は、存在理由を失いつつある。

杉山真大@震災被災者 @mtcedar1972

@dokuritukisya econ.tohoku.ac.jp/~nomura/impres… 野村氏の「偶感」を読んでみると、マイスター的な制度も無く、グランゼコールの様な位置づけもされず、更に場当たり的に制度を立ち上げたりして・・・高専ってのも何か「鬼っ子」の様になっちゃってる現状が皮肉ですね。

2014-09-16 22:38:35
長岡義幸 @dokuritukisya

@mtcedar1972 「鬼っ子」というのは言い得て妙……。一方、東大の本田由紀さん(父親は阿南高専校長)は職業教育面で高専を高く評価しています。 db.jil.go.jp/db/seika/1998/… リンクをたどれば報告書『高専卒業者のキャリアと高専教育』の全文を読むことができます。

2014-09-16 22:46:27

本田由紀、新谷康浩『高専卒業者のキャリアと高専教育』

高専は従来、第2次産業大企業技術職の人材を典型的に要請していたが、その割合は明らかに減少しており、第3次産業やより小規模な企業が増加している。その変化が著しいのは情報系など新しく設置された非伝統学科である。高専卒業者の転職率は、卒業後3年間で約2割、卒業後10年間で4割弱であり、最初の勤務先規模が小さいほど転職率が高い・・・・・転職によって企業規模や給与などの労働条件は低下しても、仕事の質そのものは向上している場合が多い

 高専教育で身につけた専門性が生かされている度合いが大きいのは、第2次産業大企業技術職というこれまで典型的な高専卒の就職先である。企業における能力形成の方針は、大企業技術職で積極的であるが、その積極性も近年では低下している。高専教育はいかなるタイプの職業キャリアの者にとっても、能力形成において重要な位置を占めている。ただし高専が十分に役割を果たしうるのは能力のうちでも「職業専門知識」の獲得に関してであり、この能力は一企業に定着して技術職のみを経験してきた者には必要性が高いが、それ以外の職業キャリアの者にとっては必ずしも重要でない場合もある。

 高専卒業者の処遇は、労働条件面では「大学工学部卒と高卒の中間」という位置づけがある一方で、仕事内容に関しては「大学工学部に類似」した処遇を受けている。このように大卒と同等の仕事とをしながらも賃金などの労働条件が大卒より下であることに対する高専卒業者の不満もかいま見られる。高専卒業者にとって非典型的な就職先である職場においては、高専卒業者の処遇が相対的に低くなるか、もしくは曖昧なものとなる傾向がある。現在の勤務先において高専卒業者が到達している最高位は、全体的には「課長レベル」という回答が多くなっている。この点についても、高専卒業者にとって典型的な職場においてはそのような明確な最高位がみられるのに対して、非典型的な職場においては、それが不明確なものとなっている。年収についてみると、技術職、大企業といった高専卒業者にとって典型的な職場では年収が高い。

 高専への入学者は、中3時の成績が高いこと、実際に入学した高専・学科を第一志望としていたものが多いこと、専門的知識の取得や技術への興味を受験理由としている者が過半数を占めることなどを特徴としており、高専への進学に際しての進路選択は全体としては適切に行われているといえる。しかし他方で、中学の教師や家族などの勧めにより、成績による振り分けなどを理由として、受験の間際になってから高専への進学を決めた者も一部に存在しており、中学での進路指導には改善すべき点も残されている。高専進学の際の動機や経緯は、高専在学中の諸活動の活発さ、最終学年での教育達成、卒業後のキャリアへの満足度などを左右している。総じて、高専の教育内容そのものへの自発的な興味・関心に基づいて高専に入学した者が、高専教育に高い適合性を示している。その一方で、高専入学後に自らの進路選択の間違いに気づき、進路変更を望むものも少なからず存在しており、そのようなケースに対応しうる制度的柔軟性をいかにして導入するかが課題となる。

 高専の学生は専門科目、特に実験・実習には積極的に取り組む傾向が見られるが、人文・社会系の一般教育については、カリキュラムの中で量的にも少なすぎ、内容的にも充実していないという声が強い。高専の長所として、大学受験に縛られずのびのびと学校生活を送れるという点を多くの者が挙げているが、同時に、交際範囲の狭さや学業の中だるみ、施設・設備の不備を指摘する声も過半数に達している。学校生活の諸側面への取り組みの熱心さや、最終学年における教育達成は、卒業後に大学編入を予定しているか就職を予定しているかによって異なるだけでなく、編入先大学や就職先規模とも関連している。半数以上の学生が、主に第4学年の夏休みに企業実習を経験しており、実習期間の長さや実習先、有効性などには学科などによって相違がみられる。

 高専卒業後に就職することを決めた時期は高専入学前と高専高学年とに二極分化しており、前者の場合には積極的な理由から就職を選んだケースが多いが、後者の場合には大学編入には学業成績が十分でないなどの消極的理由から就職する者も含まれる。具体的な就職先の決定は、高専に来た求人や高専の教授の勧めなどに基づいて、最終学年の春から初夏にかけて急速に行われる。就職先企業規模は、高専5年時の学業成績や高専在学中の諸活動の熱心度、就職プロセスなどに影響されている。

 大学編入率は、87年卒の約1割から94年卒では2割以上に拡大しており、大学編入者は主に高専での成績が上位の者である。編入増加に伴い、編入先大学は技術科学大学以外の多様なタイプの大学へ、編入先学部も工学部から他の理系学部へと多様化している。進学機会の拡大により、大学編入を動機として高専に入学した者も増えている。大学編入希望者の増加に対して、高専側も編入試験への準備など多様な支援を提供しはじめている。大学編入後には、語学面ではギャップがあり、専門教育は重複しているという点で、高専と大学の教育内容の接続に問題がみられる。編入先の多様化により、大学生活に溶け込みにくいと感じる者も増加傾向にある。大学編入者の7割前後は大学院に進学しており、高専卒業後すぐに就職した者との間で、長期的な職業キャリアに相違が生じている。

 高専卒業者の間で、高専の教育内容や自らの進路選択に対する満足度は全体にかなり高く、大学編入者や、高専卒業後に高専教育を活かせる職業キャリアをたどってきた者において特にその傾向が強い。しかし高専教育に対する意見や評価には卒業者の中で分散が大きく、その分散はやはり卒業後のキャリアに強く規定されている。キャリアと意見の組み合わせから、高専卒業者のなかには、高専で得た知識を生かせる職業を経験してきた「典型的高専卒」グループ、大学編入者を多く含みアカデミックな教育内容を望む傾向が強い「超・高専卒」グループ、高専教育と関連の弱い職業の経験者の比率が高く教育内容に関しては実戦性志向が強い「周縁的高専卒」グループという、大きく3つの類型が見いだせる。