「詩のレシピ」 pwGT組&現代詩手帖共同企画 個人の繋がり

2014.9月21日~10月5日「詩のレシピ」pwGT組&現代詩手帖共同企画に参加しました。個人の連詩をまとめました。しゆう詩50篇。
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春森しゆう @junju_usako

寝ることは健康なこと。もうこれで充分というほど寝てみたい。どこでも寝床にできる健全さ。わたしの巣は決まった場所。起きたらお腹が空いている。欲するのは活字の海。拓けるもの。寝ても覚めても追う譜面。音を綴って心で読む。身体が余って熱が足りない。 (詩のレシピ6)#pwGT組

2014-09-26 10:49:34
春森しゆう @junju_usako

日記を綴っているのは忘れたくないからでなく憶えているから。出ること出ること、経験したこと。枠を外そうとしたところで出られない。わたしが見る世界はとても狭い。けれど誰もが見られて見られない世界。黒い髪たまには茶色に染めてみる。気づかれないくらいでいい。 (詩のレシピ6)#pwGT組

2014-09-26 12:33:28
春森しゆう @junju_usako

手に入れば満足して練らないで置くものたちが、出番を待って佇んでいる。真剣なことが外からは見えない。 「陽が沈む前に帰りなさい。」腕時計は持たなかった日の夕陽はとても赤かった。鳥より遅れた帰還にお土産の花。無事であればいい。お味噌汁の匂いが染みる。 (詩のレシピ6)#pwGT組

2014-09-26 12:17:18
バンバサナエ @tombolo2010

コオロギの夜を明かして、朝、あたらしい鬼に遭う。うつむく日にも失われてゆく砂の上で。雨でも晴れでもやつらはやってくる。桜の花びら肩にのせ、コスモスくわえやってくる。きのうのキバは骨だった。きょうのツノも手強そうだが、冬年の滋養になるだろう。鬼を喰う。(詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 01:38:06
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☆「詩のレシピ6」から「つながれました」(番場選)しゆう(糸憂)@junju_usako さんです!ぱちぱち♪ #pwGT組

2014-09-27 05:31:29
春森しゆう @junju_usako

肉を焼くほとり、魚を釣らせる山。天狗が山を一跨ぎ。風雨に震えて作物が唸る。 鬼も笑うのだろう。子をもつのだろう。お湯が湧く。稲穂がたわわに揺れる。緑、緑、変わらないで、あること。 妹がよそのお姉さんにかわいがられた。「わたしの妹よ」声にはできない。 (詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 08:56:29
春森しゆう @junju_usako

牙を持ちながら噛みつかないでいる犬や猫が、限度を知っている。親兄弟と戯れる時間を過ごしてきた。 血を流すような喧嘩はしない。小さな傷は擦りむいた痕。かさぶたはいつか剥がれる。許されるから争えた。 「仲良くいてくれることを望みます。」母の言葉は強い。 (詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 09:14:34
春森しゆう @junju_usako

捕まえられなくて泣いていた、鬼から外された子が一番に主になった。掴むテーブルに灯るあかり。守りながら守られている腕が眩しい。幼い頃からの呼び名が遠くなる。座布団のシカクも丸い。熱を計るのが、あの子の手のひらになる。豆まきはきみの役目になるのでしょう。 (詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 22:30:21
春森しゆう @junju_usako

切り落とされた爪が骨のように白くて震える。 ヒゲも抜けてみればとても白い。 床に転がって石化していくものたち。動かない時間。 子どもに戻って口に運ぶ腕が変わった。 体温が染みていく。 咀嚼される音。花は赤く咲く。 (詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 22:46:35
Seia @shijin_kari

散、歩河川、敷向こ、う岸、人、影肌色、が。ぽつぽつと出てくる意味以上単語以下に耳を傾けメモをとる。水中無、音苦し、苦しか、っ足首。見たくないのに何度も見てしまう、足、首。順番右、目左目。うし、たことだ、ろう、私ま、で言、葉がう、まく、窓には、足首 (詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 10:19:36
カニエ・ナハ @naha_kanie

「そのマイルスのレコード、A面最後のところ、ごくまれに針飛びをするの。彼はステージから姿を消したまま、時間の歪みに足をとられて身動きがとれない。うまくいけば戻ってきて、さいご短く鋭利なソロを奏でて、拍手喝采。私たちはB面へと盤を進めることができる。」(詩のレシピ8)#pwGT組

2014-09-28 06:35:50
春森しゆう @junju_usako

Aが出るのかBが出るのか、面白がって会話する。 平面なだけ、なんてない。 凸凹をなぞって色がつく。 昨日と今日で違うけれどかまいませんか。 体温も一定ではいられない。 ご飯もパンも麺も食べたい。 (詩のレシピ8)#pwGT組

2014-09-28 09:27:11
春森しゆう @junju_usako

付録のレコードが擦り切れるほど聴いた。 ひとつっきりが大事だった。 宛名の文字が何度でも光る。 微妙な違いを捨てられない。 くるくる回って秋がきた。 悴む前に反転していく。 同じ面だけ見せていられない。 筋ばった腕から紅葉が散る。 (詩のレシピ8)#pwGT組

2014-09-28 12:09:15
春森しゆう @junju_usako

コインを投げて裏表。 楽しそうならやってみる。 描くことは自由な時代に縛るのは自分の手脚。 前の家の庭は見えない。 後ろの家から草冠が溢れる。 ちょっと摘んでみたら猫の草。 必要のないものはない。 肌に夏を残して金木犀が廻る。 (詩のレシピ8)#pwGT組

2014-09-28 13:00:50
春森しゆう @junju_usako

かつては旦那さんが旦那だった。 やがて息子が旦那になった。 のちに孫が旦那になって熱い視線。 「気をつけてね(わたしはいつでもここにいるの)」 彼女のまわりをまわるのは、わたし達だ。 (詩のレシピ8)#pwGT組

2014-09-28 17:51:27
林明乎 @acico55

波形のてっぺんで破裂したのは何だったか。心臓をまわりごとぐいっと掴んでいった。痺れをほどきながら演奏は続く。 波頭を支えた厚い厚い水の層。暗がりの底に湛えたもの。 届かない、けど、撫でていった。 余韻よ去るな。目の前にはノートの新しい一行目がある。 (詩のレシピ8)#pwGT組

2014-09-28 22:58:11
s.kaneco @000214

「喉をふるわせろ 新しい陸地を目指せ」 海陸風の響きを乳呑み子は聴いた 実りを倉におさめる頃 干したアカザを手渡され 私たちは田園を出た (詩のレシピ9)  #pwGT組

2014-09-29 02:42:05
春森しゆう @junju_usako

ヒエの粒の小ささがインコをきれいに飛ばせる。 雑穀が混ざれば不良品だったものが、お釜に持て囃されている。 秋を知らせるのは、野原の海。 柿、栗、山法師、 すべての花が種になればいい。 (詩のレシピ9)#pwGT組

2014-09-29 09:45:39
春森しゆう @junju_usako

剥き出しの心が秋風に吹かれている。 晒されて劣化していく、前に探されたい。 秋の黄色は刻々と終わっていく印。 花がハナヲ呼んでいる。 なくなって気づく穂に、鍋の舟を浮かべて。 桜並木は、紅く、もえている。 色をなくせば見えてくる 風景がある。 (詩のレシピ9)#pwGT組

2014-09-29 12:03:39
春森しゆう @junju_usako

イーヨ、イーヨ、と 鳥が鳴く。 春の子どもが肥っていく。 さがせ、さがせ、 落ちた穂を 帆に変えて跳んでみせる。 広げた腕の幅くらい 抱きしめてやる自由。 精神だけでも秋の空。 (詩のレシピ9)#pwGT組

2014-09-29 13:58:15
春森しゆう @junju_usako

配られたものが終わってしまうから、早く早く次をください。 「昨日の今日なのに冷たい人たちだね」 歌う青い眼のうさぎが捕まった。 まやかしはいらない。 数珠を喰む。 (詩のレシピ9)#pwGT組

2014-09-29 17:44:27
春森しゆう @junju_usako

あっちもこっちも、ほしいほしい。 星星乱れて流れる夜の 短いさだめ。 干し草枯れてもなお干され 小さく細くなっていく。 せめて最後は燃えたいのですと 遺すハイさえ見当たらない。 あぜ道にある花 踏まないで行く。 (詩のレシピ9)#pwGT組

2014-09-29 22:18:50
葉月野 @hadukino_tc

声調を気にしすぎてはだめだよと やんわり諭す掌のかさつきが 右手の甲に貼り付いて消えない 面影は翻した袖の通り道に埋めた 花壇にアベリアが咲く間は 目印になるから 冬までにはおいで (詩のレシピ9)#pwGT組

2014-09-29 14:37:08
SATO A @a8ca

駅前にドーム屋根のついた石造りの遊び場があり、あちらには芝生の広場、むこうへ短い坂をくだれば西町の小学校、そのあとあのときの森がきて、農道へ抜けてビニルハウス、背高泡立草が倒れ合い、ガードレールが池を囲うのか (詩のレシピ10) #pwGT組

2014-09-30 09:06:14
春森しゆう @junju_usako

行ってはいけないよ。 未知な道ほど行きたいもの。 泡立つ期待が脚を向かせる。 新しい葉に脳が湧く。 ゆびさきをするどい葉で切った。 こんなに薄く柔らかいものが 自分を守っている。 「採ることを覚えさせないで。」 わたしは何を守ろうか。 (詩のレシピ10)#pwGT組

2014-09-30 12:52:04