ラバウル少佐日誌:AL/MI作戦編其ノ肆.伍

艦これ二次創作小説です。 航空母艦娘のキャラ崩壊注意です。
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檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

------ラバウル基地、少佐艦隊区画、執務室。(1) #ラバウル少佐日誌

2014-09-26 15:16:03
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

青い空の下、無限に続きそうな程気の遠くなる水平線の果てを、長い黒髪の女が静かに睨んでいた。 その目は険しく、然し何かを追うような色も見える。 右拳は固く閉じ締めているものの、左手は己の袖を引き握っており、超然たる雰囲気を纏って、唯々『その時』を待っていた。(2)#ラバウル少佐日誌

2014-09-26 15:22:33
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「見えるのですか?」 側に寄り添うは、青い袴の女だ。 此方は肩まで伸ばした焦茶の髪を、側頭で結っている。 「聞こえもします」 黒髪の女が答える。 振り向かず、海原の向こうを凝視しながら。 「何が為に、今も尚『沈メヤ沈メ』と、あの者は歌い続けるのでしょう」(3)#ラバウル少佐日誌

2014-09-26 15:26:50
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「憎しみは消えません」 静かに、青い袴の女が返す。 「怒りや悲しみは時に磨かれ鋭さを増していき、憎しみという槍へと至ります。その憎しみは新たな怒りや悲しみを生んでは喰らい、生んでは喰らいを繰り返し、より強き鉾や刃となりましょう」 (4)#ラバウル少佐日誌

2014-09-26 15:32:51
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「断ち切らなければなりません」 決然と、黒髪の女…… 『赤城』が、窓の外へと言い放つ。 「どれ程に剛き槍であろうと、触れられない刃であろうと……!私が、私達が矢を放ち、折り砕かなければ」 だがその言葉とは反して、声が震えていた。(5)#ラバウル少佐日誌

2014-09-26 15:43:49
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「大丈夫よ、赤城さん」 赤城の名を呼び、青い袴の女…… 『加賀』は、彼女の右拳を両手で包み込む。 「私達は生きて帰る事も無論、敵を沈める事も今は造作無い事。艤装もそれを分かっているのでしょう。ずっと大人しいわ」 「加賀さん……!」(6) #ラバウル少佐日誌

2014-09-26 15:52:23
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

二人は、窓を開けた。 先程から語気を荒げていた赤城の声が漏れていたのか、沿岸の水面を警護していた何人かが心配げに二人へ視線を送っている。 「私達の使命と、この鎧の悲願は、今こそ叶うわ」 「そうね……きっと……!」 「いいえ、必ずよ」(続く) #ラバウル少佐日誌

2014-09-26 16:09:32