四大聖戦:第一交流フェイズ【邪なる矛】

 ──立ちはだかりしは四人の魔王 赫焉@IgnisSatan 颶風@DeathWaltz_doll 徒波@fileWoz 続きを読む
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フロリーシャ・ラウィーニーア @flou_siki

少女の頭を撫でる手。暖かい手。少女に向けられる笑顔。暖かい顔。柔らかそうな赤い髪。あったかい姿。赫焉を失うのは、嫌。 少女の頭を撫でる手。優しい手。少女に淹れてくれた紅茶。優しい味。不思議なたくさんの翼。やさしい姿。颶風を失うのは、嫌。

2014-09-26 22:30:13
フロリーシャ・ラウィーニーア @flou_siki

少女に掛けられる声。かっこいい声。少女に見せてくれるお手本。かっこいい仕草。きれいな翡翠の瞳。かっこいい姿。徒波を失うのは、嫌。 「…うん」 少女は頭を撫でる二人の手を弱く掴む。 殺すのは怖いこと。だって友達になれない。 お庭の手入れは大切なこと。だって綺麗なお花が咲かない。

2014-09-26 22:30:48
フロリーシャ・ラウィーニーア @flou_siki

お花は『魔王』。雑草は『人間』。 「……おかし」 テーブルの上の甘い甘いお菓子。少女の好きなもの。死んじゃったら食べられない。少女を殺すものは『人間』。 「……めがみさま」 三人が口々に言う誰か。少女の知らない誰か。お腹の中で、グルルと何かが唸る。

2014-09-26 22:31:04
フロリーシャ・ラウィーニーア @flou_siki

「『今更現れるとは、なんと愚かな。傍観するしか能の無い下賤の女神の選んだ勇者など、高が知れているというものよ』」 知らない声。動いたのは少女の口。少女は首を傾げて、二人の手を強く握る。ぱちり、ぱちり。目を瞬いて。三人を、ゆっくりと見て。 「……ころさなきゃ」 少女は小さく呟いた。

2014-09-26 22:31:22
【聖焔の勇者】アンゼリカ @Feu_5hw

「やっちゃんのそれ、聞くの久々かァ?」  にまりと楽しげに唇を歪ませながら、少女の小さな手を握り返した。 「歯向かう奴ァ、皆殺しだ。欠片も余すことなく灰に帰してやらァ」  こきりと肩を慣らし凶悪な笑みを浮かべる。 「となるとアレだ、扉。どうすんよ」

2014-09-27 05:45:24
【聖焔の勇者】アンゼリカ @Feu_5hw

見つかっていない扉は二。すぐそこにある扉は三。徒波の見た扉は四。赫焉の見つけた扉は一。 「アタシはぶっちゃけどこだっていいンだけどよ」  少女の手に伝わる熱は少し熱いくらいかもしれない。高まる殺意に内側から燃え滾るようだ。 「一の扉はアタシの昼寝場所に出てやがった」

2014-09-27 05:47:12
【聖焔の勇者】アンゼリカ @Feu_5hw

燃やそうと灰を舞わせるもそれが灰に帰ることはなく、ふくれっ面で下に降りたところに颶風が眠っていたのだ。 「誰も選ばねーならアタシは一に行くぜ」  一番だ。何事も初めがいい。自分がさっさと決めれば他もどうにかなるだろうと思って口に出す。

2014-09-27 05:47:59
徒波の魔王 @fileWoz

「久方ぶりだな」 八衢の見せたそれ、に驚くことはせずむしろそれ自体に話しかけるように不敵に微笑む。 「しっかし扉ねぇ……赫焉がそれなら俺様も自分で見付けた番号で行かせてもらう、四番だ」 指を四本、皆に見えるように突き出す。 「ついでに扉は俺様の部屋の近くにあった」

2014-09-27 08:54:49
颶風の魔王 @DeathWaltz_doll

「…なら、僕はニの扉に。君達、ニだけはまだ見つけてないんだろ?」 風を統べる少女の元には、最後の扉が何処なのかもちゃんと届いていました。なら、その扉の位置を知っている少女が行った方が良い筈です。 手に生き物の暖かさを感じた少女は、それが八衢のものだと知るとふにゃりと笑いました。

2014-09-27 09:24:55
颶風の魔王 @DeathWaltz_doll

「…帰ってきたら、また、ここに集合しよう?……戻ってこないのは、なし、ね。ああ魔王よ、死んでしまうとはなさけないーー…なんて、私言いたくないもの…」 八衢の魔王の小さな手をそっと握り返します。 冷たい筈のその手は八衢の熱が移ったのか、ほんのりと温かみを帯びていました。

2014-09-27 09:25:36
フロリーシャ・ラウィーニーア @flou_siki

握り返される両手。少女の大好きなもの。にこにこ、にこにこ。少女は嬉しくなって笑う。 「じゃあ、やちまたは、さん、だね」 すぐそばにある扉をチラリ。ぷぅ。頬を膨らませて不満顔。あんなとびら、あらわれなければ、いつまでもこうしていられたのに。ひどい、ひどい、めがみさま。

2014-09-27 10:17:22
フロリーシャ・ラウィーニーア @flou_siki

「やちまた、みんな、だいすきだよ。だから、かえってきてね。やちまたも、かえってくるから。あえないのは、やだよ」 二人の手を離す。椅子から降りて、赫焉に抱きつく。ぎゅっ。強く力を込めてから、離れて。次は颶風。ぎゅっ。また離れて、徒波の側に駆け寄る。

2014-09-27 10:17:28
フロリーシャ・ラウィーニーア @flou_siki

今度は抱きつくことはせず、ローブを軽く掴む。三人の姿を、順番に見つめ。 「やくそくだよ」 不安げな声で言う。徒波を見上げる少女の目は、未だ涙で潤んで見えた。

2014-09-27 10:17:32
徒波の魔王 @fileWoz

徒波の元へ、八衢が掛けてくる。先程二回のハグを済ませた少女は、男のローブを軽く掴んだだけだった。 それに対し、徒波は特に優し気な眼で迎えるわけでもなく、いつもの得意気な顔で、少女の頭に手を置いた。 「勿論だやちまたぁ。お前俺様達が死ぬようなタマと思うてか」

2014-09-27 10:39:37
徒波の魔王 @fileWoz

何処か涙を溜めた少女の頭を少し荒く、撫で始める。男にとっては、これで頭を撫でているつもりだ。 「こういう時こそ俺様達は魔王らしく笑ってやりゃあいいのさ。ひゃっはっはっはっは!」 頭を撫でるのを止め、手を広げ高笑い。黒いローブがはためき、両手を突き出す仕草はまるで蝙蝠のようだ。

2014-09-27 10:40:07
颶風の魔王 @DeathWaltz_doll

「わっはっはー、徒波のいうとおりですぞー」 からからと機械音を立て羽を広げながら、少女は笑います。 少し棒読み気味ではありましたが、彼女にしてみれば迫真の大笑いのつもりです。 「…私たちは魔王らしくあればいいのです。」

2014-09-27 12:34:43
颶風の魔王 @DeathWaltz_doll

「勇者と名乗っておけば魔王に勝てるだろうなんて甘い考えの奴らに、現実は厳しい事を教えてやりましょう」 きりきり。からから。 窓から落ちる光を背に、全ての翼を広げれば、広い天井の幾らかを覆い隠す程にその姿は大きく見えました。少女は幼い魔王を安心させるよう、魔王らしく、声をあげます。

2014-09-27 12:36:03
颶風の魔王 @DeathWaltz_doll

「約束は、きっと守りましょう。…それでも不安なら…えっと、指切りでもする?魔王っぽく」 魔王っぽい仕草はいつまでも続かず、すぐに恥ずかしそうに肩を竦めてしまった少女は、魔王達に向かってそっと小指を差し出しました。 …魔王っぽい指切りってどんなものだろうか、なんて考えたりしながら。

2014-09-27 12:36:22
フロリーシャ・ラウィーニーア @flou_siki

ぱちり、ぱちり。徒波の言葉に瞬いて。ぐわんぐわんと揺らされる頭に少女は笑う。 「そうだね、だいじょうぶだよね、だってまおうさまだもん!」 くすくす、くすくす。笑い声を立てて、それまでの不安など忘れたかのように楽しげ。少女は腕を広げる。徒波のまねっこ。 「わっはっはっはー!」

2014-09-27 12:41:42
フロリーシャ・ラウィーニーア @flou_siki

二人のように大声で笑う。それはとても魔王とは思えない幼いもの。けれども少女はえへんと胸を張る。 颶風の広げた翼に、目をキラキラ。かっこいい!少女は声を上げて賞賛する。 「ゆびきり?するー!」 今度は颶風に駆け寄って。差し出された指に自分の小指を絡め。残る二人をキラキラと見つめた。

2014-09-27 12:42:28
徒波の魔王 @fileWoz

「えっ……」 先程まで高笑いしていた徒波の動きが、まるで時間が止まったかのように、固まる。 目の前で絡まった二つの魔王の小指に、どう対処するべきなのか困っている。 脳が、器の小さい己の心が叫んでいる。大の大人がこの様な幼いことをして、どう思われてしまうか。

2014-09-27 13:12:26
徒波の魔王 @fileWoz

「ふ、ふはははは」 固まった顔のまま、笑い声だけが口の端しから漏れる。そのこめかみには、心の中の葛藤の証が流れる。 「良かろう、この俺様が魔王らしい指切りというものを見せてやろう」 漸く、男は動く。威張った様に胸を張り、顔は努めて余裕のある表情。

2014-09-27 13:12:34
徒波の魔王 @fileWoz

まるで古の書物を渡すかのように仰々しく小指を突き出し、余った右手は反らした胸に、蜘蛛のように指を立て、置く。 一応は、彼の考える魔王らしい仕草だ。 「……さぁ赫焉、お前もやろうぜぇ」 上から目線の彼の口元は、上手く葛藤を制した余裕が現れている。

2014-09-27 13:12:52
【聖焔の勇者】アンゼリカ @Feu_5hw

「おっまえなァ」  バカじゃねェのと言い掛けたのを飲み込んで肩を竦める。 「指切りに魔王もクソもあるかよ、ったくよォ……くく、ぶっくくくく」  肩を震わせ、噴き出しそうになるのを堪えながら小指を乗せる。乗せた小指が震えているのは気のせいだ。そう思って欲しい。

2014-09-27 13:23:47
【聖焔の勇者】アンゼリカ @Feu_5hw

「約束だ」  ただなんとなく、その方が魔王っぽいからなんて理由でつけていた黒い眼帯に灰が纏わりつく。 「何せアタシらは魔王だからな!」  まるで片目から火が噴き出したかのように眼帯が燃えて灰となり赫焉の周りを漂う。 「ゆーびきーりげーんまんッ、でいいんだったかァ」

2014-09-27 13:27:11
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