FF6二次創作SS【鎮魂のアリア】その5

ピクシブ投稿分でいえば中盤の真ん中辺りまでようやく差し掛かりました。ここからの展開をどうしようか激しく悩みました。/前:http://togetter.com/li/725068/次:/第一回:http://togetter.com/li/707429
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みなみ @minarudhia

今日はFF6のプチオンリーイベントということもあり、鎮魂のアリアの続きを更新いたします。

2014-10-05 21:58:30
みなみ @minarudhia

FF6二次創作【鎮魂のアリア】その1 - Togetterまとめ togetter.com/li/707429 @togetter_jpさんから 初見はこちらから。

2014-10-05 22:02:08
みなみ @minarudhia

FF6二次創作SS:鎮魂のアリア~5~

2014-10-05 22:03:00
みなみ @minarudhia

慌てて階段を降りて出迎えたロック達に、ティナは軽く笑った。 共に戦ってから数年経った今の彼女はだいぶ大人びた表情になっており、初めて会った時からずっと長く見られた儚げな印象は影を潜めつつある。

2014-10-05 22:03:21
みなみ @minarudhia

「どうしてここに?」 「モブリズの復興で必要なものをエドガーが支援してくれたから、そのお礼を言いに来たの。そうしたらマッシュがオペラのチケット持ってるから一緒に観に行ったらどうだ、まだ間に合うって。…私、まだオペラって観たことないから、是非観たくってマッシュ探しにこっち来たの」

2014-10-05 22:05:41
みなみ @minarudhia

「あ、兄貴…このタイミングでそれはないだろうが…」 「?」 半ばげんなりしたように落ち込むマッシュにティナは首をかしげた。 「もしかして、もう…チケットないの?」 「それもそうなんだが、大変なことになってるんだ」

2014-10-05 22:07:56
みなみ @minarudhia

もうどうしていいのかわからない様子のマッシュに代わってロックが数日前の出来事を説明する。 それを聞くと、ティナの表情は真剣なものに変わった。 「歌…」 「今それについて書いてある手紙を読んでたんだ」 「リルム、ついさっき変な連中に襲われたし多分見張られてるのかも」 「え?」

2014-10-05 22:10:53
みなみ @minarudhia

一同がリルムの方を向く。 リルムも、興奮しきった様子で腕をばたばた振りながら話を続けた。 「さっきラクシュミ描くのに必要な絵の具の買い足しに行ったら、変な連中が道ふさいでてさ!格好はあの変な奴と同じ格好で風呂に入ってないみたいでくっさいし!」

2014-10-05 22:14:06
みなみ @minarudhia

変な奴、というのがオペラ座でヘンリーを殺した男の事だとわかるのに少々時間はかかった。 「よく無事だったな」 「それが、…変な人がいきなり上から降って来て、リルムをいきなり抱えて飛んだの」 「飛んだ?」 安堵する一方で聞かされる内容にロックは不安を覚えた。

2014-10-05 22:17:08
みなみ @minarudhia

合わせるようにティナがうなずく。 「私も見たわ、リルムを抱えてその人が宙から降りてきたのを。黒いフードとマントをはおってて顔は見えなかったけど、まるで空の上を滑るように飛んでいたの。その人がリルムを下ろしたのを見たから、すぐに駆け寄ったわ」

2014-10-05 22:20:19
みなみ @minarudhia

「そういえば、ティナ剣抜いてたよね」 「…リルムに何かあったら大変って思ったから」 ありがとう、とリルムがティナに向かって笑顔を投げかける。 ロックが気になることをさらに続けて聞いた。 「リルム、その人について他に覚えてることはあるか?」 「うーん…」

2014-10-05 22:22:47
みなみ @minarudhia

しばらく考え込んでいたが、やがてはたと手を打った。 「あ、そうだ。その人、すごく綺麗な脚してた」 「それだけかよ」 「裸足だったのその人。でも男の脚って感じじゃなかった。あれは女の人の脚だったよ」 「女、か」

2014-10-05 22:25:54
みなみ @minarudhia

セッツァーが怪訝な顔で呟いた。 彼の中で何かが結びつつあるのだろう。 「ともかく無事でよかったわ。…ティナはモブリズに戻らなくていいの?」 「実は私もそれが心配だったんだけど、…ちょうどカイエンが来てたの。拙者に任せていっていいって」 「カイエンか…」

2014-10-05 22:29:26
みなみ @minarudhia

アウザーに勧められ、その日の夕餉はティナも共にすることになった。 ティナからディーンとカタリーナの事、二人の間の子の成長過程の事、その他の子供達の事。 モブリズに関わる近況を話しながら、ティナは楽しげに夕食を食べていた。 「それにしても、だいぶ変わったわねティナ」 「…そう?」

2014-10-05 22:31:23
みなみ @minarudhia

セリスに言われ、ティナは首を傾げる。 「そうかしら?」 「ああ。前よりだいぶ明るくなったと思う。やはりモブリズで色々あったからなんだろうな」 マッシュもセリスに同意するようにうなずく。

2014-10-05 22:34:48
みなみ @minarudhia

“愛”を知ることへの苦しみ、迷い…そうしたものを経て、ティナも戦いの終わりから更に多く得るものがあったのだろう。 少しの間首を傾げていたティナだったが、やがてその顔がほころんでいった。

2014-10-05 22:38:29
みなみ @minarudhia

「私、愛するってことが何なのか答えがようやく見つかりそうなの。ディーンとカタリーナと一緒に、二人の子育て見てると、そう思えてきて…」 「必ず、見つかるといいな」 その声に、こくん、とうなずいた。

2014-10-05 22:42:13
みなみ @minarudhia

「それよりティナ、明日からはどうするんだ?」 「そのことなんだけど…オペラ観れなかったから、せめてエドガーにその旨だけ言ってモブリズに戻ろうって思うんだけど」 「待ったティナ。そんな事言おうってことは・・・」 「でも」

2014-10-05 22:45:07
みなみ @minarudhia

ティナは再び真剣な目になった。 「今起こってる事件をなんとかしないと、マッシュが捕まってしまうんでしょ?それに、オペラも観られないもの」 「まさか、ティナ」 ロックが焦って椅子から立ち上がった。

2014-10-05 22:47:53
みなみ @minarudhia

「そんな事言うが、大丈夫なのか?」 「ええ…もう長い事剣は使っていないけど、なんとかなると思う。任せて」 「余計心配よ!任せて、じゃないでしょう?それなら私が剣をもう一度鍛え直してあげるわよ。いくらカイエンがモブリズの面倒を見てくれてるからって、いつまでもいるわけじゃないし」

2014-10-05 22:48:26
みなみ @minarudhia

「ありがとう、セリス」

2014-10-05 22:48:53
みなみ @minarudhia

時刻は深夜。 ランプのみが薄明るく照らす中、ロックとセッツァーはカードに興じていた。 他の者達はすでに就寝しており、起きているのはこの二人のみだ。 しばらく沈黙したままゲームをしていたが、やがてロックが口を開いた。

2014-10-05 22:51:38
みなみ @minarudhia

「……なあ、セッツァー」 「・・・」 「リルムの話、どう思う?俺はもしかしたらあの歌声を歌う女じゃないかと見てるんだが」 「…かもな」 セッツァーも何か考え事をしていたようだが、それを口にするのは乗り気ではないようだ。

2014-10-05 22:53:43
みなみ @minarudhia

「なんだよ。…何か考えてるんだろう」 「疑わしいことが色々ありすぎてな。ただ、判断できる材料が女ばかりってのはどうも臭くってよ」 「トンボの事とかリルムの話にあった女らしい人の事とかか」

2014-10-05 22:56:41